【オンリーワンを探せ】1950万円でも「安い」と感じさせるAMG SL65ブラックシリーズ
2014/02/24
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2014年2月17日に発見したのは「AMG SL65ブラックシリーズ」です。世界350台の限定販売で、「究極のSL」と言っても過言ではありません。日本に正規輸入されたのはたったの12台。当該車両はヨーロッパから並行輸入されたものです。
快適さを忘れた超絶スパルタンマシン
「ブラックシリーズ」はAMGのなかでも最も過激なチューニングが施されたスペシャルモデルです。V12気筒エンジンを搭載したSL65がベースで、昨今のAMGモデルにはない“ワイルド”さが特徴。トレッドが約100㎜拡大されており、DTM(ドイツツーリングカー選手権)のマシンのようなフェンダーが採用されています。ものすごい迫力で、威圧感すら感じさせます(笑)。
オープンカーであるSLをあえてクーペにしたほか、ドアパネル以外はすべてドライカーボンという贅沢ぶり。油圧アクティブサスペンションは取り払われ、全長調整式コイルサスペンションになっています。これらの変更によって、ベース車より250kgも軽くなっています。
肝心かなめのエンジンは、タービン、吸排気系、ECUなどが変更され、最高出力670ps/最大トルク101.9kg-mへと強化されています。0→100km/h加速は3.9秒。最高速は320km/hでリミッターが作動します。当時のM・ベンツ AMGラインアップ最強なのは言うまでもありません。
昨今のAMG車は快適さとスポーツ性能を両立させていますが、SL65ブラックシリーズはただただスパルタン。電子制御を最小限に抑えながら、これだけのパワーを足回りで収めようとすると、カチンコチンに仕立てざるを得ないのでしょう。カーボンフルバケットシートもホールド性能は最高ですけど、お世辞にも快適とは言えません。
しかし、なんというか「並の富裕層ではおいそれと手を出せない、快適性能を捨てた車」というところに、みな惹かれるのでしょう。例えるなら、「高いけど、味は良い頑固オヤジの寿司屋」みたいな魅力があります。
写真を見るかぎり、それはそれは綺麗な個体です。どこぞのお金持ちに買われ、大事にガレージに保管されてきたのでしょう。まぁSL65ブラックシリーズの新車時価格は4880万円(正規輸入モデル)ですから当然ですよね(笑)。
当該中古車は5年落ち、走行距離1万5000㎞。お値段は総額1950万円で、単純に新車時価格と比較すれば約60%もダウンしています。いえ、わかっています、絶対金額が高いことは。しかし、それでもなお「安い」と思わせてくれるスゴい車なんです。もはや写真を見るだけでも、ウットリしてしまいます。
Text/古賀貴司(自動車王国)
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