▲2015年6月にホンダの社長に就任した、八郷隆弘氏。1982年に入社し、鈴鹿製作所長やホンダR&Dヨーロッパの取締役社長、中国生産統括責任者などを経て社長となった ▲2015年6月にホンダの社長に就任した、八郷隆弘氏。1982年に入社し、鈴鹿製作所長やホンダR&Dヨーロッパの取締役社長、中国生産統括責任者などを経て社長となった

3年後に純利益8600億円を目指す

いつもは新車のスクープ情報をお届けしているスクープ班だが、今回は経営指標にまつわるスクープ情報をお届けする。その情報とは、八郷社長に代わって間もなく1年が経とうとしているホンダに関してだ。

本題に入る前に、ホンダの直近の業績見通しを見ておこう。2015年度の売上高は14兆5500億円(前期比9.2%増)、営業利益は6850億円(同2.1%増)、純利益は5250億円(同3.1%増)になる見通しだ。

中国の合弁会社分を含むグループ全体の四輪販売台数は473万5000台で、2014年度の436万7000台より8.4%増えそうだ。

では、ホンダが水面下でしたためている今後の経営目標を見てみよう。2016年度には純利益5400億円をめざす計画で、2015年度より2.8%増を目指している。それを3年後の2019年度には、8600億円まで伸ばす野望を抱いているというから驚きだ。

これは、今年度の5400億円と比べて、実に59.2%増である。伸びしろの大半はコストダウン効果と、売上変動構成差が占める。具体的には、1500億円分のコストダウンを図り、販売車種の構成を見直すことで1700億円の増益を見込んでいるわけだ。

じつは、2015年半ばの経営企画会議では、ずばり純利益9800億円を視野にいれていたというから驚きだ。しかし、地域別で見たときに、対南米の為替レートが想定と乖離しそうなこと。販売費の増加で300億円減、そして自らの粗利減による400億円減などを加味した結果、8600億円の見通しとなっている。下のグラフを参照いただきたい。

▲コストダウンと売上構成比によって、2019年度の純利益3200億円増へ ▲コストダウンと売上構成比によって、2019年度の純利益は3200億円増へ

伊東時代の拙速な計画があらためて判明

次にグローバル販売台数を見ていこう。2016年度に523万台、17年度に560万台、18年度に580万台といった具合に、増やしていく計画が策定されている。

ちなみに、前社長である伊東体制のときには、2019年度に719万台を売る計画が密かに掲げられていたことも判明した。だがその目標が無謀すぎて、いきなりフィットでつまずいてしまったことは周知のとおり。当然、八郷体制に代わって見直され、610万台へと引き下げられた。

とくに日本、中国、アジアにおける計画値の下方修正が目につく。また、国内販売100万台オーバーをめざしていたことも驚きだ。伊東前社長は、軽自動車とコンパクトカーのラインナップをさらに充実させるつもりだったのだろうか。

八郷体制では、2022年度に全世界で670万台の販売を見込んでおり、その頃になるとハイブリッド専用車を筆頭に、現在よりも環境対応車が増えているはず。クラリティに合わせて用意されたシャシーが流用され、大元のFCVも軌道に乗っていることだろう。

▲一度は夢見た、2019年度の生産台数700万台超えを見直して、堅実な数字に再設定された ▲一度は夢見た、2019年度の生産台数700万台超えを見直して、堅実な数字に再設定された

※2016年5月10日現在における予測記事です

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部