アルファ ロメオ アルファブレラ 外観|伊達セレクション
写真上は巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ先生による名作アルファブレラのリアビュー。フロントマスクは同世代のセダンであるアルファ159とほぼ同様だが、この得も言われぬお尻のラインは登場から7年がたった今もなお衝撃的。写真下はブレラ08年モデルの内装だが、中古車相場200万円ちょいでイケる06~07年モデルの内装もこれとほぼ同様だ。
アルファ ロメオ アルファブレラ 内装|伊達セレクション
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お味いまひとつの蕎麦も、値付けによっては「絶品」に変わる

とかく物事の評価というのは相対的になる場合が多く、特に「値段」によって、対象物の評価というのは随時大きく変わる。

卑近な話で恐縮だが、筆者の自宅近所にKという蕎麦屋があり、まぁ率直に言って大して美味い蕎麦を出す店ではない。しかし筆者はその店を高く評価している。なぜならば、土地代が高い都内某区にありながら“もり”1枚のプライスが450円。激安である。

だが、激安でありながら決して激マズではない。ていうか、値段を考えれば「かなり頑張っている」と評せる味だ。この味で900円なら「……責任者を出せ」とすごむところだが、450円で、しかもサービスも悪くないとなれば「ごちそうさまでした!」と笑顔で店を出るほかない。

これに類する話は輸入中古車の世界においても頻出する。例えばアルファロメオのアルファ ブレラだ。

ご承知のとおりアルファ ブレラとは、アルファ159の車台を流用して作られた2ドアクーペ。基本デザインを担当したのがジョルジェット・ジウジアーロだけあり、そのデザインは「流麗!」としか言いようのない素晴らしいものだ。特にリアセクションの色香については、00年代に製造された車のなかでは世界的に見てベストか、それに近い水準にあると多くの者が認めるだろう。

しかしいかんせん、エンジンと車両重量の重さがネックだった。

相場下落によりブレラの美点だけが浮かび上がってきた

ブレラのエンジンはヘッド部分こそアルファ独自のものだが、シリンダーブロックはGM製エンジンと共通。結果、アルファ本来のエンジンフィールを知る者としては「……悪いわけじゃないんだけど、500万円出してコレかぁ……」と思うほかなかった。

また様々な事情により重量がかさみ、直4エンジンを積むベースグレードでも車両重量は1.6t近くに。これにより“軽快感”というアルファロメオ車ならではの美点がいささか毀損されてしまった。言ってみれば「たしかにマズくはないし、盛り付けの美しさは最高だけど、これで1枚900円はないんじゃないの?」という蕎麦のようなものだ。

しかし今、ブレラの中古車相場は大きく下がっている。具体的には「06年式で走行4万km前後の2.2JTSスカイウインドウが200万円ちょい」というのがその大まかな相場イメージで、なかには100万円台の物件もチラホラ。あの、イタリアが誇る“ワールドクラスのお尻”が200万円ちょい……激安ではないか!

人間そうなれば現金なもので、エンジンフィールのことも重量のこともさほど気にならなくなる。もちろん「まったく気にならない」と言えば嘘になるかもしれないが、冒頭の蕎麦屋Kと同様、「この値段でこの“味”なら大いにアリでしょう!」となるものだ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
200万円ちょいならアルファブレラ、絶好の“買い銘柄”じゃないですか!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE