’75 JENSEN INTERCEPTOR
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2013/03/28
技術と伝統を重んじる英国には驚くばかりだな
製造は1966年から1976年までで、72年以降は7218ccのハイパワーモデルを発売。派生モデルとして4輪駆動のFFや高性能モデルSP、コンバーチブルなどがあり、累計で約6500台が生産された。高級GTマシンに位置づけられる車で、日本ではコーンズが約1000万円で発売。当時の物価を考えるといかに高級だったかがうかがい知れる。
松本 今回はジャンルにこだわらず、とても珍しいモデルを選んでみました。なかなか高級な英国車ですよ。今まで何回かお世話になっている23区きってのぶれない英国車専門店です。
徳大寺 なるほど、ガレージ日英さんだな。
松本 はい。このお店では日本でめったにお目にかかれないモデルばかり紹介してきましたが、今回はさらに難易度が高い1台です。ちなみに僕は一度も乗ったことがありません。
徳大寺 そんなに珍しい車なのかい?
松本 ジェンセン インターセプターです。さすがに巨匠も乗ったことないんじゃ?
徳大寺 それはFF? それともインターセプターのSPか、どっち? 僕が当時乗ったのは普通のインターセプターだったかな。
松本 乗ってらっしゃるんですね(笑)。すごいな、ほんと。今回見せていただくのはSPのほうです。しかし巨匠、ジェンセンという知る人ぞ知る自動車メーカーにも詳しいですよね。
徳大寺 多少はな。このジェンセンというメーカーは戦前からの歴史あるメーカーなんだ。元々は架装メーカーだから、ボディを作ってシャーシに載っける時代には自動車メーカーから重宝されていたはずだよ。僕らの年代からすればよく知られたメーカーなんだが。
松本 ボディ製造メーカーとしては歴史があるんですね。調べると前にやはりこちらのお店でお世話になった、オースチン ヒーレー100のボディも実はジェンセン社が作ったんですね。
徳大寺 ところでこのSPは何年式だい? インターセプター自体はけっこう昔からあるんだよな。50年代のインターセプターはオースチンA70といった旗艦モデルをベースに作られた高級サルーンだったんだ。おおらかな形が特徴的だったね。でも我々は60年代に入ってからのインターセプターのほうがなじみやすかったな。
松本 今回のは1975年式のSPです。インターセプター自体は巨匠がおっしゃるとおり戦後の間もない頃から生産されていたので歴史があるんですが、今回の3世代目のインターセプターのようなグランツーリスモ(GT)の装いになったのは1966年からです。そしてバリエーションはインターセプター、SP、FFの3種類ですが、最もセンセーショナルなモデルはFFでしょうね。
徳大寺 そうだろうな。だって当時、グランツーリスモにフルタイム4WDはなかったからね。ジェンセンは世界初のGTのフルタイム4WDを作ったメーカーなんだ。
松本 最先端のGTというわけですね。しかもかなりの高級車というのが当時のカタログを見るとよくわかります。その証拠に当時の日本のディーラーはフェラーリやロールスでおなじみのコーンズ・モーターですからね。
徳大寺 ジェンセン・インターセプターはイギリスのデザインじゃないんだよな。何となくイギリスらしくない独特なデザインだろう。確かヴィニャーレだったんじゃないか。
松本 そのとおりです。ボディの製造はヴィニャーレなんですけど、その元のデザインは巨匠がいつも褒めているカロツェリア・トゥーリングですからね。イタリアで作られたボディをイギリスに運んでインターセプター専用のチューブラフレームにドッキングしてるんですよ。お金かかってますよ。
徳大寺 エンジンはクライスラーだったよな。普通のインターセプターよりもSPはパワーアップ版で、排気量とカムシャフトそれとキャブレーションも違ってたよな。
松本 排気量がノーマルに比べて1000cc以上大きいですからね。
徳大寺 ジェンセンはボディを作っていただけあってヴィニャーレに対して要求が高かったんじゃないかな。その証拠にこの大きな曲面ガラスを使ったリアのハッチの作りの良さ。全くゆがんでないもんな。
松本 イギリスでは復活の兆しもあって、日本ではなじみが薄い自動車メーカーですが、世界初のフルタイム4WD GTという伝統を引き継ごうとしているのがわかりますね。
徳大寺 そういう技術と伝統ある自動車メーカーを掘り返すことができるイギリスの層の厚さには、ただ驚くばかりだな。日本では考えられないだろう? 日本が自動車ではイギリスやヨーロッパに肩を並べられないところでもある。古い車たちを見るとつくづく感じるんだ。
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