ランドローバーディフェンダー|伊達セレクション
写真上はランドローバーディフェンダー現行モデルの外観。搭載エンジンは2.2Lの新世代ディーゼルターボに改められているが、根本的なデザインと「ラダーフレーム+アルミボディ」という基本骨格は登場時から不変。さすがに内装は現代的なものになっており、写真下の2013年モデルはちょっとした上級サルーンのごとし。ただ、市場の中心である2012年モデルはもう少々無骨なイメージの内装だ(それでも以前と比べればかなりラグジュアリー方向だが)。
ランドローバーディフェンダー内装|伊達セレクション
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人間、結局は“納豆茶漬け”に行き着くものです

美食を極めた魯山人も、晩年は「結局、いちばん美味い食べ物とは納豆茶漬けである」といったニュアンスの境地に行き着いたらしい。

車趣味でも同じようなことが言える。美食ならぬ“美車”を極めた人にゴージャスな車を今さら勧めたところで、芳しい反応は期待できまい。例えば、こうだ。

「フェラーリにはいろいろ乗りましたし、今もランボルギーニとV8フェラーリを1台ずつ持ってます。ポルシェ911? 当然乗りましたよ。ロータスも良かったねぇ。最近はもっぱらメルセデスのGのAMGを下駄にしてますけど、なかなか快適ですよ、わっはっはっは!……ハァ」的に、もはや車に対してある意味“不感症”になっている人物に「ところで今度のマクラーレンとかロールスは?」と勧めたところで「そういうのはもうお腹いっぱいで……」となる可能性は高い。

上記ほどのお大尽ではないにしても、様々な車を乗り継いだ結果、「……そういえば、次に欲しい車が見当たらない……」と茫然とする瞬間は、車趣味を突き詰めていくと必ず生まれるものだ。

今、そんな人にこそお勧めしたい“納豆茶漬け”が、ランドローバーのディフェンダーである。

ディフェンダーという“最上の”お茶漬け

無論、“納豆茶漬け”はディフェンダー以外にも様々あるわけだが、ディフェンダーの何が素晴らしいかといえば、その絶妙なバランスだ。

外観および存在感は、左上の写真を見てのとおり一切の虚飾を廃した超ヘビーデューティ系。まぁ写真は2013年モデルのため若干の虚飾成分を感じないでもないが、市場の中心である2012年モデルは、国連が紛争地帯などで使用しているモデルとよく似たデザイン&質感。魯山人もびっくりの無我の境地である。

しかしそれでいて2012年以降の現行モデルは、ラダーフレームであることを感じさせない乗り味を誇り、内装もじつは普通以上に快適。ディーゼルターボエンジンはひたすら極太のトルクを感じさせ、バタバタカラカラうるさいということもない。走行中はステアリングから常に“本物感”が両の手に伝わる。ついでに言えば実燃費も意外と悪くない(普通に使って10km/Lぐらいは走るでしょう)。

つまり、ただの安納豆茶漬けではなく、水戸産の最高級納豆をふんだんに使った、しかし質素な茶漬けを、趣のある日本間でいただいているような、そんな車なのである。行き着くところまで行き着いてしまった大人な趣味人の“最後の1台”としても最適であると、不肖わたくしは考えている。

しかし、“最後の1台”とするにはやはり惜しいのかもしれない。なぜならば、下世話な話で恐縮だが、ディフェンダーはそのリセール価格もフェラーリ並みに高額となる場合が多いからだ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
ディフェンダーこそ、数寄者の最終到達点かもしれません!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE