▲現行モデルの中で最もデカいクーペはありとあらゆるものが“Too Much”という贅沢 ▲現行モデルの中で最もデカいクーペはありとあらゆるものが“Too Much”という贅沢

スーパーカーよりも“スーパー”なオーラを放つ、4人乗りクーペ

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年6月20日に発見したのは「ロールスロイス ファントムクーぺ」です。はい、普通の人にはおいそれと手を出せないウルトラ高級クーペです。なんせ新車時価格が5000万円近くもしますから……。都内でも一般的なマンションが買えるような額です。

車名のとおり、ベースとなっているのはファントムです。クーペとはいっても全長5605mm、全幅1985mm、全高1600mmの巨漢ぶりです。現行モデルのクーペでは世界最大級でしょう。搭載するエンジンはファントム同様、6.75L V12エンジンで最高出力は460ps、最大トルク720N・mとなっています。ただ、ファントムクーペにとっても、ファントムクーペを運転するドライバーにとっても、数値は関係ありません。

ファントムクーペのたっぷりとしたボディサイズは「存在感で他の車を凌駕するため」とも考えられます。もはや“車”として捉えることすら憚られるほどです。巨漢ですからスポーティなわけではありません。静粛性の高さ、有り余るパワー、スムーズな乗り心地、すべて高級車として第一線級です。ただ、もっと安くて、もっとパワフルで、もっと運動性能に優れた高級クーペは存在します。

▲ホイールベースはセダンのファントムより250mm短い3320mm(エクステンディッド ホイールベースは除く)。親会社、BMWのDNAを受け継いだのか前後重量バランスは49:51 ▲ホイールベースはセダンのファントムより250mm短い3320mm(エクステンディッド ホイールベースは除く)。親会社、BMWのDNAを受け継いだのか前後重量バランスは49:51
▲他の車ではありえないボディの大きさは、ファントムクーペをどの角度から見ても一目で分かる。タイヤサイズはフロント255/50R21、後:285/45R21! ▲ボディは他の車ではありえないほどの大きさ。ファントムクーペだと、どの角度から見てもひと目で分かります。タイヤサイズはフロント255/50R21、リア285/45R21です!

要は、ファントムクーペはロールスロイスの最高級クーペであることが重要なんです。ファントムが運転手付きの移動車両であるとすれば、ファントムクーペはオーナーが自らステアリングを握る車として作られています。高級車としてのスタンダードを確保しながら、ありとあらゆるものが“Too Much”なんです。最高級の本革と本木目パネルがふんだんに使われ、文字どおり、贅を尽くした空間に仕立てられています。

▲ふかふかの絨毯、とにかく精緻に仕立てられたインパネ周り、本木目パネルと最高級本革のおりなすインテリアは・・・、異次元の世界 ▲ふかふかの絨毯、とにかく精緻に仕立てられたインパネまわり、本木目パネルと最高級本革のおりなすインテリアは……異次元の世界

そういう意味では、本気で唯我独尊ですし、やっぱり車とは呼べないのかもしれません。時代がエコだろうと、効率だろうと、ファントムクーペを乗る人には関係ありません。なぜならば、それが昔ながらの大富豪のスタイルだからです。そう考えると、大富豪は普遍性を重んじるのかもしれませんね。いつの時代でも、誰もがひと目で「凄い人が来た!」と認識させる車であることが重要なんでしょう。

まぁ、ロールスロイスは世界中の王族、貴族、大富豪といった超絶セレブリティの“会員権”みたいな存在でした。最近でこそ“買い求めやすい”ゴーストやレイスといったモデルもありますがファントム(セダン)、ファントムドロップヘッドクーペ(オープンモデル)そして、ファントムクーペは今でも超絶セレブリティの会員権的存在です。ファントムシリーズが1台、自宅のガレージに収まっていることが、超絶セレブリティの条件と言えるほどです。

▲ファントムドロップヘッドクーペと違い、屋根の収納スペースが必要なく、ゴルフバッグが4つ入ります。燃料タンクはドロップヘッドクーペが80Lなのに対し、ファントムクーペは100Lを確保しています ▲ファントムドロップヘッドクーペと違い、屋根の収納スペースが必要なく、ゴルフバッグが4つ入ります。燃料タンクはドロップヘッドクーペが80Lなのに対し、ファントムクーペは100Lを確保しています

当該中古車、4年落ちにも関わらず走行距離はたった6000kmです。写真を見る限り、卸したての新車のような雰囲気です。新車時価格は5000万円程度でしたから、3850万円でも安く感じます(笑)。でも、マジメな話、自分へのご褒美としてランボルギーニやフェラーリの12気筒モデルを狙う成功者は正統派セレブリティの車、ファントムクーペというウルトラ高級クーペの選択肢もぜひご検討いただきたいものです。ただただ美しい工芸品だと思います。

ちなみに、ロールスロイスの顧客は、不動産を除く純資産は約30億円以上が“普通”という調べがあるそうですよ(笑)。

■本体価格(税込):3850.0万円 ■支払総額(税込):
■走行距離:0.6万km ■年式:2011(H23)
■車検:2016(H28)年4月 ■整備:有 ■保証:有(2年/無制限)
■地域:東京

text/古賀貴司(自動車王国)