菅野美穂さんにはぜひこちらのCMにママさん役で出ていただきたい!

「子育てプレジャー」についてすっかり失念してました

その名のとおりのクロスオーバーモデルであるMINIクロスオーバー。最初に試乗した際の印象は最悪だった。「何なんだこのユルユル感は。こんなのMINI一族じゃない。ていうか、そもそも寸法がミニじゃないし」と思ったのだ。

しかし今では完全に宗旨変えして「MINIクロスオーバー? 最高ですよ!」と、あちこちで言っている。いや「最高」というのはちょっとホメすぎかもしれないが、「うん、いい車だ!」と思っているのは嘘じゃない。

なぜ評価が180度反転したかといえば、「子育てプレジャー」について考えるに至ったからである。

子を持たない筆者は当初、いわゆるドライビングプレジャーの点でのみMINIクロスオーバーを評価した。となれば、サイズが大きくなったことでミニらしいクイック感のようなものが減ずるのは当然のことで、そこに筆者は憤慨したのだ。「こんなのMINIじゃない」と。

しかし、無知蒙昧な筆者の闇を照らし出しててくれたのは、ある男性のひと言だった。

「でもね、子育て期間中ってのは何かと荷物を積まにゃならんのですよ。そうなると、おしゃれな車というのはほとんど選べないんです。でもそんなとき、MINIクロスオーバーが登場したんですよ。結構サイズのある5ドア車だからチャイルドシートとか荷物とかが積みやすくて、愛する子供のためになる。それでいてデザインも存在感も最高。走りはフツーのMINIと比べたら劣るのかもしれないけど、ボクにとっては十分以上。何の問題もないじゃないですか? てか、むしろ素晴らしいじゃないですか?」

走りも(このサイズ、ボディタイプとしては)決して悪くない

……確かにそのとおりである。「世の中はドライビングプレジャーだけで構成されているわけではない」という当たり前すぎる事実を、それまで完全に見落としていた自分を恥じた。山坂道のカーブをキュキュッと曲がるプレジャーなんぞより、愛する我が子が車内で安心してグーグー寝てるのを見るプレジャーのほうが、人生においてより優位であることは論を待たない。

そしてもちろんMINIクロスオーバーは、いわゆるドライビングプレジャーもなかなかのものである。当初、筆者はクロスオーバーとフツーのMINIを脳内で直接対決させてしまったため「こんなのMINIじゃない!」となったわけだが、それは異種格闘技戦のようなもので、勝敗にはあまり意味がない。MINIクロスオーバーは「あのサイズ」というカテゴリーの中では十分健闘しているのだ。それでいいではないか。幸せではないか。

……と、そんなこんなのMINIクロスオーバーが近頃めっきりお手頃である。具体的には、高出力版のクーパーSはまだ少々お高いが、クーパーまたはワンであれば、走行1万km台の物件でも支払総額200万円台半ばから後半といったところ。

価値観は人それぞれだが、「いよいよ俺も国産ミニバンを買うしかないのか……」と、夜ごと涙に暮れているそこのあなたにとっては、MINIクロスオーバーの高年式中古車は最高レベルの選択肢だと思うのだが、どうだろうか。

ということで今回の伊達セレクションはずばり「総額200万円台のミニクロスオーバー」だ!

ハッチバック、コンバーチブル、クラブマンに続く第4のMINIとして11年1月に登場したSUVモデル。全高はハッチバックよりも120mm高い

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MINI一族に共通するテイストのインパネ回り。全体のデザインからちょっとした部分の作りまで遊び心満点だが、使い勝手は犠牲になってない

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標準仕様の乗車定員は4名で、5人乗りは無償オプションだった。後席のシートバックを倒せば荷室容量は1170Lになる

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【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE