マツダ CX-8▲2017年12月に発売されたマツダ CX-8。初回車検時期を過ぎたこともあり、市場に大量の中古車が出てきている。昨年末と比べて流通台数は倍増。その分大きく値を下げている

直近6ヵ月で台数増加、価格はダウン

マツダ CX-8 ▲カーセンサーnetにおける、月間の延べ掲載台数の推移。CX-8の中古車は右肩上がりで増加している

マツダのフラッグシップSUVであるCX-8は、今年に入り中古車の流通量が大幅に増加している。上のグラフはカーセンサーnetにおけるCX-8の掲載台数の推移を示したものだが、2020年11月に約900台だった流通台数が2021年4月には1800台を超え急増している状況だ。

これは、2020年12月にデビューから3年がたち、初回車検を迎えたものが買い替えで市場に大量に出ているからだろう。

新車と違い「定価」が存在しない中古車の価格は、需要(ユーザー)と供給(流通量)のバランスで決まる。供給に対して需要が増えればより高いお金を出してでも欲しい人が現れるので中古車相場は上昇し、反対に供給量の方が増えれば安くしてでも買ってもらいたい販売店が出てくるので中古車相場が下がる。
 

マツダ CX-8 ▲カーセンサーnetにおける、月ごとの平均車両本体価格の推移。掲載台数の増加に比例する形で、平均価格は順当に下落

半年で流通量が倍増しているCX-8は、供給が需要を大きく上回っている状態だと言える。そのため、上のグラフのように平均車両本体価格も大きく下がっているのだ。

CX-8をお得に手に入れたいという人にとって、まさに絶好の買い場が訪れたと言えるだろう。
 

高年式・低走行車が多い中古車市場

マツダ CX-8 ▲なまめかしく光るテールライトは、マツダのデザインテーマである“魂動(こどう)デザイン”を象徴する部分のひとつ

2017年12月から販売がスタートしたCX-8は、1サイズ小さいCX-5と北米で販売されているCX-9のプラットフォームを融合し、日本の道路幅に合わせた3列シートSUVとして誕生した。

デビュー時は2.2Lディーゼルエンジンのみの設定で、ベースグレードの「XD」、中間グレードの「XD プロアクティブ」、上級グレードの「XD Lパッケージ」という3グレードを設定だった。それぞれにFFと4WDが用意され、乗車人数は「XD Lパッケージ」が6人乗りのみで、それ以外のグレードは6人乗りと7人乗りが設定された(2018年6月には「XD Lパッケージ」にも7人乗りを設定)。

2018年10月には2.5L NAとターボ、2つのガソリンエンジンを追加。計3種類のパワートレインで、選択肢が拡大している。
 

マツダ CX-8 ▲「XD」と「XD プロアクティブ」は6人乗りと7人乗り(写真)を設定。6人乗りは2列目がウォークスルー可能なキャプテンシートになっている

まだデビューから3年と少ししかたっていないので、CX-8にはそもそも年式の古い中古車が存在しない。走行距離も極端に多いものはごくわずかだ。その意味で、状態のいい高年式低走行の中古車を買いたいなら、うってつけのモデルと言える。

ガソリンモデルは追加されてからまだ3年が経過していないこと、そしてガソリンエンジンが追加された後も主力はディーゼルモデルであることから、中古車は圧倒的にディーゼルモデルが多い。

ディーゼルというとアイドリングや走行中の音が気になるという人もいるが、マツダのディーゼルエンジンは「ナチュラルサウンドスムーザー」という独自技術により、ノック音そのものを低減させることに成功。ディーゼル=うるさいと考えている人も心配は無用だ。
 

マツダ CX-8 ▲「G-ベクタリングコントロール」の作動イメージ。ハンドルを切り始めてすぐにトルクをコントロールし安定したコーナリングを実現

CX-8の特筆すべきもうひとつの技術が、「G-ベクタリングコントロール」だ。これはコーナリング時にドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを自動的に変化させることで、スムーズにコーナリングを行えるようにするもの。

実際に運転すると、コーナーでこの機能が働いていることを察知するのはほぼ不可能。あまりにも自然な制御でコーナーを抜けていくので、自分の運転が上手くなったと錯覚するほど(!?)。この「G-ベクタリングコントロール」は、2018年10月に「G-ベクタリングコントロールプラス」へと進化。これはエンジン制御だけでなく、ブレーキ制御が加わることでより繊細な制御を可能にしたシステムだ。
 

マツダ CX-8 ▲デビュー時、「XD」は6人乗りのみの設定だった。中央には豪華なコンソールボックスが備わる
マツダ CX-8 ▲2018年6月に追加された「XD Lパッケージ」の7人乗り仕様

また、2018年6月には6人乗りしか設定がなかった「XD Lパッケージ」に7人乗り仕様が追加されている。

現時点で流通量が多いのは「G-ベクタリングコントロールプラス」が搭載される以前のもので、「XD Lパッケージ」は6人乗りが中心になる。

このように、機能のアップデートや細かなマイナーチェンジはあるが、3年間で大きなデザイン変更は行われていないので、初期型を購入しても古さを感じることがないというのもうれしいポイントだ。
 

総額260万円以下で低走行のディーゼル車が狙える

マツダ CX-8 ▲装備が充実している中古車が数多く流通しているのも◎

2021年5月末時点でのCX-8の中古車は1460台ほど流通している。まだデビューから3年強しか経過していないこともあり、総額220万~260万円の最低価格帯でも走行距離は5万km前後のものが多い。

しかも、CX-8はフラッグシップモデルということもあり、ベースグレードの「XD」はごくわずかだ。

大半はヒーテッドドアミラーやステアリングヒーター、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ)などが備わる「XD プロアクティブ」と、運転席&助手席パワーシートや2列目席シートヒーター、そしてナッパーレザーシートが備わる「XD Lパッケージ」になる。
 

マツダ CX-8 ▲「XD Lパッケージ」には2種類の内装色が用意された。写真上はピュアホワイト
マツダ CX-8 ▲もうひとつのカラーがディープレッド。シックで大人っぽい色合いだ

ちなみにCX-8デビュー時の新車価格は、グレード別に下記のとおりだ。

XD|319万6800円
XD プロアクティブ|353万7000円
XD Lパッケージ|395万8200円

これを考えると、今の中古車価格帯、特に低価格帯がいかにお得な状況かが分かる。

予算を260万円に設定すると、80台ほどの中古車が見つかる。年間1万km少し走った走行距離3万~5万kmのものが多く、「XD プロアクティブ」と「XD Lパッケージ」の流通台数は同程度だ。

この状況から、上級グレードの「XD Lパッケージ」の中古車を見つけることができれば、かなりお得な買い物になるだろう。もちろん、「XD プロアクティブ」でも装備は充実しているため、こちらで走行距離ができるだけ少ない物件を探すという作戦もアリだ。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型) × 総額260万円以下

新車検討の前に、見ておいて損はない超低走行車の相場

マツダ CX-8 ▲グリルやミラーをブラック基調にしてシックさを強調した、特別仕様車の「ブラックトーンエディション」

流通量が多いのは初回車検を過ぎたものになるが、それより新しい中古車の流通状況もご紹介しよう。新車の購入を検討している人にとって、狙い目の物件があるからだ。

登録だけ済ませてほとんど走行していない登録済未使用車は15台とかなり少ないが、特別仕様車の「XD ブラックトーンエディション」(新車価格:399万9600円)を、総額390万円から狙うことができる。

人気の特別仕様車をお得な価格、かつ短い納車期間で手に入れることができるのはうれしいところ。ただ、登録済未使用車は購入後にメーカーオプションを付けられないこと、ボディカラーは流通しているものから選ぶしかないことが新車と異なる。ここに納得できるなら大いに検討の価値アリだ。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型) × 登録済未使用車
マツダ CX-8 ▲「ブラックトーンエディション」のインテリア。黒を基調にさりげなく赤い差し色が使われている

登録済未使用車ほどではないが、走行距離が1万km以下という使用感の少ない物件は約300台ある。

その中での最安値帯は総額280万~310万円となっている。2.5Lガソリン車の「25S プロアクティブ」が多く選びやすい。

ディーゼル狙いなら、予算は310万円から。340万円までの価格帯で2.2Lの「XD プロアクティブ」を探すことができる。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型) × 走行距離1万km以下

※記事内の情報は2021年5月31日時点のものです。
 

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/マツダ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL