akari庵+筒井紀博(後編)

周囲の環境から隔絶され、美しい空間を内包する白亜の家

住宅地のなかで、異質ともいえる存在感をまとう「akari庵」。白亜の壁に囲まれたその家に一歩足を踏み入れると、周りの環境とはかけ離れた、豊かで趣味性の高い空間が広がる。

ご自身がアルフィスタであり、ジュリアスーパーを日々のパートナーとする筒井さん。やはり設計段階では、自分が住むとしたら…という観点なのだろうか。

「もちろん考えます。とくに住宅の場合は、普通に造るのではなく、ボクだったらこう造るけど、いかが? という駆け引きが楽しいですね」

ガレージも同様?

「もちろん。クルマから湧くイメージもありますし、クライアントのキャラクターによってもイメージは変わってきます」

たとえば、今回のKさん邸はどんなイメージ?

「Kさんの愛車は、2台とも誕生してからすでに半世紀近く経っています。その間、さまざまなドラマが生まれてきたはずで、そんな歴史がクルマの魅力を一層引き立てているのだと思います。建築も同様で、何十年も先、すこしクタビレてきた頃に美しい空間となっていてほしい。日頃からそのように心がけていて、ここも同様です」

そう言いながら改めてakari庵を眺める筒井さんの眼は、今後この建築が2台のクルマとともに、どんな歳の取り方をするのか…という期待に輝いていた。

文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・郡 大二郎 photos / KORI Daijiro

2階はアナスイをイメージしたという紫と、鮮やかな赤で構成

あえて3~4畳ほどの狭い部屋をいくつも作り、個人の空間を大切にしている

akari庵
所在地:神奈川県/主要用途:専用住宅/家族構成:夫婦、子供2人/構造・規模:壁式木造・2階建て/設計:筒井紀博空間工房/敷地面積・延床面積:189.78平方メートル・124.27平方メートル