イタリア車の名門マセラティのエンジン音と、億を超える値段がつけられるバイオリンの名器「ストラディヴァリウス」の音色に共通点があることが科学的に解明された。

この分析が行われたきっかけは、2012年7月にサウンドデザインラボ合同会社と中央大学の音響システム研究室がエンジン音と弦楽器の音には共通点が多いという調査結果を発表したこと。これを受け、マセラティ ジャパンは自社のエンジンサウンドの魅力を解明するために、詳細な調査を両社に依頼した。

今回の調査では、マセラティ クアトロポルテ スポーツ GT S アワード・エディションの加速音と、5種類の管弦楽器、価格帯の異なる4種類のバイオリンの音を比較。聴音時の印象を調べる「音響心理実験(主観評価の実験)」、ストレス負荷と脳活性の変化を調べる「生体情報計測実験(客観評価の実験)」、「周波数分析(物理評価の実験)」の3つの実験で、それぞれの音色を分析した。

その結果、マセラティのエンジン音と1731年に作られたストラディヴァリウス「ロマノフ」は、すべての分析でよく似た特徴をもつことが判明。音響心理実験では「迫力があり、創造力をかき立てる」、生体情報計測実験では「脳を活性化させる効果がある」、周波数分析では「類似したスペクトルである」という共通点があった。

今回の結果について、マセラティ ジャパンのファブリッツィオ・カッツォーリ代表取締役は次のようにコメントしている。
「マセラティはスペックだけで語れる車ではありません。その数値にできない魅力をなんとかわかりやすく証明できないものかと考えていました。今回のプロジェクトで、マセラティの魅力をより多くの方に感じていただければと思います」。

なお、マセラティ ジャパンはエンジン音とストラディヴァリウスの音色を聴き比べられるよう、専用サイト「Sensory Driving Project」を開設している。

マセラティとストラディヴァリウスの音はよく似ていて、人間には心地よく感じられているという

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比較したエンジン音は、ギアを2速に固定しアクセルを全開にしたときのもの

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マセラティ車のエンジンの加速音は、他車の加速音に比べて脳を活性化させることがわかった

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