ベントレー コンチネンタルGT スピード コンバーチブル|海外試乗

ベントレーは大人の乗り物だ。だからこのグレードに限らず、ベントレーに乗るという行為そのものが大人のものである。そこに程度、グレードの差などない

考えるな、感じろ。力と風と歴史のシンフォニー

予定通り、予想通り

ベントレーにしてみれば、前モデルを否定するかのようなモデルチェンジやストラテジー変更をそうやすやすと採用するわけにはいかない、ということだろう。言ってみれば、それは、超老舗ブランドの矜持だ。

GTスピードが出たからには、当然、そのGTC版であるGTスピードコンバーチブルも近々登場する、なんてことは誰でも容易に想像がついた。はたしてその仕様はといえば、ノーマルGTとGTスピードとの違いに準じており、目新しさは特にない。

買う側にしてみれば、ボディタイプとパワートレインが最初の注文項目であるくらいに思っていればよく、「高いグレード持ってこい」的な発想が、実は最も似合わないブランドだろう。V8もエラいし、スピードも同じくらい、エラい。なぜなら、どちらも「ベントレー」…。

底知れないトルクとヘリテイジの泉

というわけで、予定通りにデビューしたGTスピードコンバーチブルのライドフィールもまた、予想通りのものだった。

つまり、GT→GTCの「方程式」を、そのままGTスピードに当てはめればいい。そもそも、V8モデルでさえ必要十分以上のパフォーマンスをもつ。W12ツインターボのハイチューン版ともなれば、「物足りない」と思うほうが間違っていて、その加速はゲキレツ。オープンゆえ、大迫力のサウンドが体感加速を増幅する。だから、数値的にはクーペより重い分だけ落ちているはずなのに、乗り手は「より速い」と感じてしまうのだった。

もっとも、この車の真骨頂は、バカみたいにアクセルペダルを踏むことには、決してない。秘めたる大パワーの威力をおくびにも出さず、悠然とドライブしたときに、乗り手の全身へじわじわと伝わってくる底知れないトルクとヘリテイジの泉を、「ああ、ベントレーだ」と実感すること、なのだった。

シャープなラインのフロントフェンダーは、アルミを複雑な形に成形できるスーパーフォーミング加工が用いられる

シャープなラインのフロントフェンダーは、アルミを複雑な形に成形できるスーパーフォーミング加工が用いられる

スパイラル加工が施されたエグゾーストテールパイプや専用デザインの21インチアロイホイールなどを装着する

スパイラル加工が施されたエグゾーストテールパイプや専用デザインの21インチアロイホイールなどを装着する

出力はベースの+50ps。クロスレシオ化した8ATやエネルギー回生システムなどで燃費は旧型比で15%向上した

出力はベースの+50ps。クロスレシオ化した8ATやエネルギー回生システムなどで燃費は旧型比で15%向上した

SPECIFICATIONS

グレード GT SPEED CONVERTIBLE
駆動方式 4WD
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4806×1944×1393
ホイールベース(mm) 2746
車両重量(kg) 2495
乗車定員(人) 4
エンジン種類 W12DOHCターボ
総排気量(cc) 6000
最高出力[ps/rpm] 625/6000
最大トルク[N・m/rpm] 800/2000
Tester/西川淳 Photo/ベントレー モーターズ