▲ロードスター、コスモに次ぐユーノスブランドの第3弾として、1991年6月に登場したユーノスプレッソ ▲ロードスター、コスモに次ぐユーノスブランドの第3弾として、1991年6月に登場したユーノスプレッソ

デビュー当初は世界最小のV6エンジンを搭載していたが……

ユーノスプレッソはかつて、マツダが展開していた高級ブランド「ユーノス」として最後となったモデルだ。ユーノスのテレビCMでは、必ず「Project Eunos ○(数字が入る)」と明示していたが、プレッソは「Project Eunos 9」となっていた。

そんなプレッソが登場したのは、“スペシャリティ”と呼ばれるカテゴリーがもてはやされた1991年。つまりはバブルの落とし子であった。

2シーターのように見えて、4シーター。ファミリアのプラットフォームを採用していながら、唯一無二なデザインとなっていた。そして、プレッソが搭載したエンジンは1.8Lという排気量ながら V6で「世界最小のV6エンジン」とうたわれていた。

▲発売当時には世界最小だったV6エンジンを搭載しており、見た目だけではなく中身もユニークだった ▲発売当時には世界最小だったV6エンジンを搭載しており、見た目だけではなく中身もユニークだった

このエンジンはなかなかのもので、当時としては“まぁまぁ速い”0→100km/h加速8秒台を誇っていた。ただ、その後、三菱が1.6L V6エンジンを投入し、あっさり世界最小V6ではなくなった……。

当時、マツダには5系統のディーラー網があったが、その中のひとつ「オートラマ店」からはプレッソの姉妹車であり、新車時価格が安かった「AZ-3」が1.5L 4気筒エンジンを搭載して併売されていた。

プレッソは「V6エンジン」を搭載していることで差別化を図っていたにも関わらず、後にプレッソにもこの4気筒エンジン搭載モデルがラインナップした。

つまり、それほど当時のマツダの経営はひっ迫しており、なりふり構わず台数をさばきたかったのかもしれない。そういう意味では、4気筒エンジンを搭載したプレッソの方がエポックメイキングなのかもしれない。

しかし、プレッソだけでなく、いずれのユーノス車もデザイン面ではとてもユニークだった。例えば、プレッソのリアハッチのガラス処理は大胆で、ボディラインをガラス面で引き継いでいた。

今見ても斬新だし、コストがかかっている。 また、この後席のサイドウインドウは省略されているため、2シーターのような印象を生んでいるのも特徴だ。若干、“尻上がり”なデザインとなっているため、後席の天上高が思いのほか確保されている。

▲リアから見る2シーターにも見えるが、しっかりと後席も備えている4シーターなのだ ▲リアから見る2シーターにも見えるが、しっかりと後席も備えている4シーターなのだ

デビューから27年がたった今でも、色あせないスペシャリティ感を漂わせているのは不思議でならない。さすがに動力性能うんぬんで今の車と比較することはできないが、ノスタルジックで今見ても感心するリアウインドウまわりのデザインは必見だ。

そんなプレッソだが、現在カーセンサーnetにはたった2台しか掲載されていない。(2018年10月19日時点)

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text/古賀貴司(自動車王国)
photo/マツダ、カーセンサー

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マツダ ユーノスプレッソ(初代)