小さなプレミアムカーであることは間違いないけれど…

  • トヨタiQ フロントスタイル|ちょい乗り試乗
  • トヨタiQ リアスタイル|ちょい乗り試乗
トヨタの最小プレミアムコンパクト、iQの試乗会がありました。
試乗会は都心で行われたため、行き交う人々も珍しそうに注目していきます。それくらい、本当に小さい。その中に大人が3人乗れるというのも信じられないサイズです。

さて、大人が3人乗ってどうなのか。
結論から言えばまったく問題はありませんでした。首都高速も試乗しましたが、合流も流れに乗るのにも何の苦労もありません。しかもアクセルを床いっぱいに踏み込むどころか、ちょんと足を乗せる程度でグングン走ります。本当にあのヴィッツやパッソの1Lエンジンと同じなのかと思うほどです。

また乗り心地もよく、路面の突き上げも非常にうまく抑えられていています。ショートホイールベースの割に、ピッチングもほとんど感じられませんでした。

  • トヨタiQ インパネ|ちょい乗り試乗
  • トヨタiQ 運転席&助手席シート|ちょい乗り試乗
  • トヨタiQ センターパネル|ちょい乗り試乗

全長は確かに2985mmと短いのですが、室内幅はヴィッツの1390mmをしのぎ、カムリの1525mmに迫る1515mm。さらに助手席側は運転席より前方向にズレて座ることもあり、前席は意外と広々感じます。
それだけ横幅があるのに最小回転半径がわずか3.9mなので、ハンドルを握ると良い意味で違和感があります。やけにハンドルが切れるからです。横幅のぐっと短い軽自動車・スズキワゴンRでさえ4.2mですから、それより小回りが利き、これまでに体験したことのない感覚を味わえます。

もう一つ不思議な感覚なのは助手席に座ったときです。ドライバーより若干前に自分が座るので独特の感覚です。
後席は大人が座れるのは助手席側だけですが(運転席後ろは子供でも小さいお子さん程度)、センター寄りで前の風景がよく見えます。ただし私は座高が高めなので、ヘッドレストより先に天上に頭がぶつかりました。ちなみに膝元は十分ゆとりがあります(下の写真左)。
  • トヨタiQ 後席膝もと|ちょい乗り試乗
  • トヨタiQ 後席|ちょい乗り試乗
  • トヨタiQ 大きさイメージ|ちょい乗り試乗

室内はとても静か。標準装備されている6スピーカーから流れるFMラジオの音楽がとてもよく聴こえます。
車両の挙動を安定させるS-VSCや世界初となるリアウインドウカーテンシールドエアバッグをはじめとした9つのエアバッグなど、安全装備がたっぷりと標準装備されています。
インテリアの質感も、さすがトヨタと思わせる高いもの。よくぞこんな小さな車を、走りも含め、高級感あるものに仕上げたなという印象です。

ただ、この車を買うかどうかとなると、残念ながら私は車を2台も持てませんし、もし、持てたとしても維持費の安い軽自動車か、あるいはほぼ同じ燃費で大人が4人ちゃんと座れるホンダフィットやマツダデミオを選んでしまいそうです。
iQの競合を考えるなら、軽自動車やコンパクトクラスではなくスマートフォーツーになるのでしょう。あちらは2人乗りですが、街乗りでの乗り心地は良い印象でした。ヨーロッパでもiQは販売されますから、いい勝負になると思われます。

個人的には、iQが電気自動車ならば…などと思ってしまいます。編集部の一人は「(電気自動車バージョンが)そのうち出るんじゃないですか」と言っていました。そうなれば最強のプレミアムシティコミューターだと思うと同時に、こんな私でも触手が動くのですが…。

<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>