▲日本で一、ニを争う「売れてる輸入車」なのに、どうにも「主役」にはなりきれない感もあるフォルクスワーゲン ゴルフ。その理由と、歴代ゴルフが備える本質的な魅力について考えます ▲日本で一、ニを争う「売れてる輸入車」なのに、どうにも「主役」にはなりきれない感もあるフォルクスワーゲン ゴルフ。その理由と、歴代ゴルフが備える本質的な魅力について考えます

選手も車も、本当の力はしばらく使ってみないとわからない

過日、テレビでプロ野球2015年度ドラフト会議の生放送を観ていた。その途中で思い出したのが、今季トリプルスリー(3割・30本・30盗塁)という偉業を達成した東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手。彼は5年前のドラフト1位だが、いわゆるハズレ1位、それも「ハズレのハズレの1位」だったのだ。

その年スワローズは早大の斎藤佑樹投手(現・北海道日本ハムファイターズ)を1位指名したがくじ引きで敗れ、代わりに八戸大学(現・八戸学院大学)の塩見貴洋投手(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)を指名。しかしそこでもくじ引きに敗れ、やむなく(?)1位指名したのが履正社高校3年の山田哲人選手だったのだ。

斎藤選手も塩見選手も一流のアスリートであり、現在もそれぞれのチームの支配下選手として活躍している。しかし「ハズレのハズレ」だった山田選手以上の活躍を見せているかといえば、客観的に見て「否」というほかないだろう。運命や人の才能というのはわからないものである。

▲2015年シーズンのリーグ優勝を決めた日の東京ヤクルトスワローズの選手たち。スタンドから筆者がスマホで撮った写真ゆえ粗くて恐縮だが、フラッグの向こう側中央に山田哲人選手がいる ▲2015年シーズンのリーグ優勝を決めた日の東京ヤクルトスワローズの選手たち。スタンドから筆者がスマホで撮った写真ゆえ粗くて恐縮だが、フラッグの向こう側中央に山田哲人選手がいる

これと似たようなことは枚挙に暇がない。

筆者はプロ野球選手名鑑が愛読書で、各選手の来歴と年俸を暗記したうえで、現在の活躍ぶりとの関係性について考えることを趣味にしている(……悪趣味ですみません)。で、その観察によると「栄えあるドラ1=その後も絶対に大活躍」とはどうも言い切れないのがプロ野球の世界だ。

もちろん花のドラ1からそのまま名選手に育つプレーヤーも多いが、1位指名されながら消えて行った選手や(例えば賭博問題で契約解除された読売ジャイアンツの松本竜也元選手)、逆にドラフト5位、6位といった微妙な位置から一流へと上り詰めた選手も多い。今季セ・リーグ打点王となった東京ヤクルトスワローズの畠山和洋選手は01年のドラフト5位。……「ギリギリ組」だったのだ。

人間万事塞翁が馬ではないが、野球チームは希望するドラ1候補を取ったからといって万事OKなわけではなく、希望どおりの補強ではなかったからといって悲観する必要もない。未来のことなどわからないのだ。

それと同種のことがフォルクスワーゲン ゴルフにも言えるような気がしてならない。

▲写真は13年4月から販売中の「ゴルフ7」こと現行フォルクスワーゲン ゴルフ ▲写真は13年4月から販売中の「ゴルフ7」こと現行フォルクスワーゲン ゴルフ

「ゴルフのことが好きで好きでたまらないんです! ゴルフのことを考えると夜も眠れません!」という人も世の中にはいるだろう。しかし筆者の勝手な取材に基づく勝手な推測によれば、ゴルフユーザーの7割ぐらいは、比喩的な意味での「ハズレ1位」としてゴルフを選択したのではないだろうか。

「本当はポルシェ911が欲しいけど、居住性と予算を考えると……」
「いちばん欲しいのはBMWなんだけど、今はそこまでのお金がないから……」
というような思考を経てのセカンドベストとして、実はフォルクスワーゲン ゴルフという車は選ばれている場合が多いのではないかと筆者は思う。

もちろんこの推測が大ハズレである可能性もあるが、日本でいちばん売れている輸入車なはずなのに、それを特集のメインに据えた号はどうにも売れない……という経験を何度もしてきた元雑誌編集者として、この推論についてはある程度の自信は持っている。……間違ってたらごめんなさいですが。

▲こちらは09年4月から13年3月までの旧型ゴルフ。現行に負けず劣らずコレもなかなかいい車 ▲こちらは09年4月から13年3月までの旧型ゴルフ。現行に負けず劣らずコレもなかなかいい車

さて、そのように(筆者に言わせれば)ハズレ1位としての側面も強いフォルクスワーゲン ゴルフだが、これから買おうとする人も、そして現在すでにゴルフに乗っている人も、悲観する必要などまったくない。なぜならば、……筆者などに言われずとも現役オーナーならよ~くご存じだろうが、ゴルフというのは、特に最近のゴルフは、極めて素晴らしい乗用車であるからだ。

以前は「実用車」と呼ばれることの多かったゴルフだが、現行の第7世代や一つ前の第6世代はもはや「高級車」と評してもおかしくない内外装の質感および意匠と、高級GTカーもかくやの走行性能を兼ね備えている。「ポルシェ911はちょっと買えないから、今はとりあえず……」で選んだつもりのフォルクスワーゲン ゴルフは、実は山田哲人選手もかくやのトリプルスリー(積めて・走れて・ビジュアルも良好で)を達成してしまう超絶名選手だったのだ。

▲もはや「実用車」と呼ぶのは失礼な現行ゴルフの内装。写真はTSIハイライン ▲もはや「実用車」と呼ぶのは失礼な現行ゴルフの内装。写真はTSIハイライン
▲こちらは旧型のTSIコンフォートライン マイスターエディション。なかなかの質感だ ▲こちらは旧型のTSIコンフォートライン マイスターエディション。なかなかの質感だ

かねてよりの希望どおりな指名だったとしても、もしくはハズレ1位的な指名だったとしても、ゴルフに乗るきっかけは何でもいい。結論としてフォルクスワーゲン ゴルフは、あなたの未来の毎日をステキに彩る「ちょっと地味なトリプルスリー達成選手」として、絶対に貢献するはずだから。

……未来に「絶対」はないとか言っておきながら、この予言ばっかりはけっこう当たる気がしてならない。ということで今回のわたくしからのオススメは、ずばり現行および旧型のフォルクスワーゲン ゴルフだ。

text/伊達軍曹