▲一般的にはハードルが高く感じる「ポルシェ 911オーナーになる」ということも、ちょっと見方を変えれば全然……とまでは言いませんが、さほど難しいことではないのです ▲一般的にはハードルが高く感じる「ポルシェ 911オーナーになる」ということも、ちょっと見方を変えれば全然……とまでは言いませんが、さほど難しいことではないのです

必要なのおは「ちょっとした決断」と、ちょっとしたお金だけ

過日、「東京フォッケウルフ」なる名称の草野球チームを作った。監督にはモータージャーナリストの清水草一さんに就いてもらったが、実質はわたくしこと筆者伊達が、部長兼マネージャー兼お茶くみ兼選手として切り盛りするチームである。

草サッカーを引退した8年前から草野球チームを作りたいとは思っていたのだが、ずっと延び延びになっていた。なぜならば「何かと大変そうだから」と思っていたからだ。

いざチームを作ろうにもメンバーが9人以上集まるかどうかはまったくの未知数であり、集まったとしても「練習場所はどうするんだ?」「用具類の確保は?」等々の問題について考えていると「……大変そうだから、とりあえずやめとくか」みたいな気持ちになり、気がついたら8年が経過していたのだ。

しかし先日、あることがきっかけで「よし、作るか」となぜかスパッと決断し、その場で清水草一さんをはじめとする各方面に連絡を取り、そしてSNSなどで告知をすると、あっという間に9人の「やってみたい」という人間が集まった。その結果「東京フォッケウルフ」は思いたった即日に結成されてしまったのだ。ちなみにこの記事が公開される頃には、第1回練習もすでに終わっているはずだ。

「カンタンなんだな……」と、わたくしは思った。もちろん、本格的なチームを作るのはかなり大変なのだろう。しかし「ただ草野球を楽しむ」ということだけであれば、SNSもある今の時代は何も思い悩むことがないぐらい簡単なのだ。ただ「よし、作るか」と決断するだけでいいのだから。

▲8月31日の16時過ぎにフェイスブックページとEメールでメンバー募集を開始。で、当日の深夜にはもう9人が集まり、「東京フォッケウルフ」はいきなり結成されちゃいました ▲8月31日の16時過ぎにフェイスブックページとEメールでメンバー募集を開始。で、当日の深夜にはもう9人が集まり、「東京フォッケウルフ」はいきなり結成されちゃいました

これと似たようなことは、「ポルシェ 911オーナーになる」という件についても言える。

筆者のような強度の自動車変態はさておき、一般的には「ポルシェ 911オーナーになる」というのはかなりハードルが高そうに見える所業だ。実際、最新911の前には「単純に超高額である」という経済的な絶壁が立ちはだかっており、旧世代の空冷911にも「維持費の壁」がある。というか最近は空冷911も相場高騰により「経済的な壁」が出現してしまったのだが。

それはさておき、いずれにせよ「ポルシェ 911オーナーになる」のはなかなか大変そうであり、実際大変であることも少なくない。

しかし、最新世代や人気の空冷世代ではなく「タイプ996でもいいわ」と考えるならば、実は今日すぐにでもポルシェ 911オーナーになれる人は多いはずなのだ。

▲それまでの空冷エンジンではなく水冷式のエンジンを搭載し、98年4月に登場したタイプ996こと旧々型ポルシェ 911。デビュー当初の「素のカレラ」が搭載したエンジンは水冷の3.4L水平対向6気筒 ▲それまでの空冷エンジンではなく水冷式のエンジンを搭載し、98年4月に登場したタイプ996こと旧々型ポルシェ 911。デビュー当初の「素のカレラ」が搭載したエンジンは水冷の3.4L水平対向6気筒

ポルシェ 911として初めて水冷エンジンを採用したタイプ996(旧々型ポルシェ911)は、率直に言って現在の中古車マーケットではさほどの人気モデルではない。いや「ターボ」や「GT3」などは今も大変な人気であり、後期型の「カレラ4S」も結構な人気を維持しているが、いわゆる素のカレラの、特に前期型は、正直さほど人気がない。「ポルシェ 911としてはやや趣味性に欠ける」的な見方をされることが多いためだ。要するに「乗用車的である」と。そのため中古車相場もポルシェ 911としては異例に安く、走行距離がやや多めの個体であれば車両価格200万円+αぐらいで狙えてしまう状況だ。

そんな状況のタイプ996カレラ前期型というのは、多くの者が指摘するように「乗用車的」、つまり面白味のようなものが若干欠ける車であるというのも、決して間違いではないと筆者も思う。しかしそれには「何と比較してそう思うのか?」という観点がつきまとう。

野趣あふれる空冷世代と比べれば、確かに「乗用車的」だ。最新デバイスで武装され、この世のモノとは思えない挙動を楽勝で披露する最新世代と比較すれば、やはり確かに「乗用車的」である。

だが、そこらを走っている普通のハッチバックやセダンと比べれば、タイプ996というのは今もその約1000倍(筆者推定)は刺激的なスポーツカーであり、新世代の各種高性能クーペと比べても「互角」と言うのが失礼なほどステキな性能と乗り味を披露する。要するに「最良の911」ではないが、「911はやっぱり911」ということだ。

そんな車が支払総額で見ておおむね300万円以下という、ちょっとした国産新車を買う程度の予算で買えるのだから、これはもう筆者が組織した草野球チームのように「思い立ったら即日」のレベルではないか。その気になりさえすれば、今日からあなたはポルシェ 911オーナーである。

▲手頃な予算で狙えるタイプ996は01年途中までの前期型が中心だが、写真の後期型カレラ(01年9月~)もおおむね200万円台後半からのプライスで探すこともできる ▲手頃な予算で狙えるタイプ996は01年途中までの前期型が中心だが、写真の後期型カレラ(01年9月~)もおおむね200万円台後半からのプライスで探すこともできる

もちろん、前述のとおり現時点でのタイプ996(の素のカレラ)は自動車マニアの世界ではさほど評価が高い車ではないので、あなたが素の996を買っても、そういったマニアからはもしかしたら失笑が漏れるのかもしれない。

だが、筆者としては「そんなの放っておけばいいじゃないですか」と言いたい。物事というのは、他人ではなく「自分がどう思うか」で決めるべきだと思うのだ。あなたが996でいいと思うのであれば、それでいいのだ。

ということで今回のわたくしからのオススメは、ずばり「300万円以下の旧々型ポルシェ911」だ。

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  • Car:ポルシェ 911(996)
  • Conditions:本体価格300万円以下&総額表示あり&修復歴なし
text/伊達軍曹