アルファ ロメオ アルファ156GTAと147GTA|伊達セレクション
写真上は筆者が過去に取材したアルファ156GTA(右)と147GTA(左)の販売車両。通常の156や147とは明らかに異なる野太いエキゾーストノートのほか、ドカンとみなぎるパワー&トルクなど、実用的に使える車でありながら、「刺激」に関する成分も非常に濃厚な2台であった。写真下はアルファ147GTAのエンジンルーム。
アルファロメオ アルファ147GTAエンジン|伊達セレクション
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仮にフェラーリやポルシェ911は買わないとしても……

超個人的な意見としては、自動車愛好家たる者は可能な限りフェラーリやポルシェ911、あるいは逆スーパーカーとしてのシトロエン2CVなど、とにかく「極端な車」に乗るべきだと思っている。短い人生、ガンガン攻めたいものです。

しかし同時に、実際なかなかそうもいかないことも承知している。「こんな会社辞めて起業してやるぜ!」と思いつつも辞めず、「オレはもう怒った! 離婚だ離婚!!!」などと言いつつもなかなか踏ん切りがつかないのが人間であり、そこを「軟弱だ」などと責める資格がある者などほとんどいないだろう。人間だもの、しょうがないです。

ということで大半の自動車愛好家にとってポルシェ911やフェラーリなどの極端な車は、あくまでも「初恋の人」のようにそっと胸にしまい、ときおりそれを想ったりしながら、実際はカローラアクシオやVWワーゲンゴルフヴァリアントを買う。いわゆるひとつのセ・ラ・ヴィである。英語で言うならイッツ・ザ・ライフ(それが人生さ)である。

まぁセ・ラ・ヴィはいいとして、とはいえ自動車愛好家たる者、さすがにカローラアクシオはやめておきたいところだ。いやアクシオが悪いと言っているわけでは断じてなく、もう少しこう、本来の嗜好に近い線でセ・ラ・ヴィしておくべきではないかと思うのだ。

例えばアルファロメオのアルファ156GTAまたはアルファ147GTAである。

100万円台でイケるイタリア製実用超特急

ご承知のとおり156GTA/147GTAは、通常の156または147に強烈な3.2L V6を押し込み、足回り等も強化したスペシャルモデル。十分な実用性がありながら、しかし十分以上に刺激的な車だ。

新車時価格はそれぞれ544万円/444万円だったが、歳月とともに平均価格は下がり、7月末現在の平均価格は156GTAが約180万円で、147GTAは約125万円。ずいぶんと安くなったものだが、しかしこういった車の常で「好事家により手厚く保護されてきた個体」というのは結構あるものだ。さらに言えば、スペシャルモデルゆえに今後も(MT仕様であれば)まずまずのリセール価格は維持されるはず。わたしのような庶民にとってはありがたい話である。

この手の車に関しては「でもイタ車でしょ? アルファでしょ? で、特殊なエンジンでしょ? ……壊れるでしょ!!!」と四段論法で心配する人が多いかと思うが、GTAとよく似たアルファロメオ製V6エンジンを搭載する車にしばらく乗っていた筆者としては「そこまで心配する必要はないですよ」と言いたいところだ。

素性のハッキリとした個体を選び、走行3000kmごとを目安にエンジンオイル交換を行えば(←この作業にそこそこのコストはかかりますが)、割とフツーに維持できる車である。カッ飛ばすと燃費はいきなり悪化するが、エコラン的な長距離移動を心がけた場合は、少なくとも10km/Lはいくだろう。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
実用車としてのアルファ156GTA&147GTA、どうでしょう!

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE