ポルシェ911カレラ4S|伊達セレクション
写真上はタイプ996(旧々型ポルシェ 911)のいわゆる後期型から登場したカレラ4S。カレラ4Sとは、ざっくり言ってしまえば「ターボルックの996」で、フロントバンパースポイラー形状のほか、60mmワイド化されたリアフェンダー、ブレーキシステムなどがターボと同様になっている。で、下写真が同年代の「素のカレラクーペ」。これにお乗りの方には大変申し訳ないが、やはり素の996は2013年現在の目で見ると、カレラ4Sと違い中途半端な古さを感じてしまう筆者だが、皆さんはいかがだろうか。
ポルシェ911カレラ|伊達セレクション
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今、水冷911のユーズドカーを買うならベストな選択は?

今、ポルシェ 911という車を買うと考えたとき、大まかな方向性は主に以下の3方向に収斂するだろう。

1. 最新型を新車でGo
2. 男は黙って空冷一筋
3. 程良い水冷の程良い中古物件を、程良い価格で狙う

筆者は基本的には2のタイプで、実際以前はタイプ964のカレラ2という空冷911に乗っていた。しかし「そろそろ空冷は維持が大変な部分もある」「なんか水冷のほうがモテそう」という2つの重大な理由により、次回911を買うならば3、すなわち「程良い価格の中古水冷911」を選びそうな気配だ。ちなみに1の「最新型を新車でGo」というのは、筆者にとっては最初から予算的に論外である。

さて、とはいえ「程良い価格」の「程良い」というのは当然人によって異なるわけで、ある程度以上のお金を持ちであれば08年以降の、トランスミッションにPDKが採用された年次が望ましいだろう。しかし予算的にPDKモデルなど夢のまた夢である筆者としては、07年までの非PDKなタイプ997(旧型)か、あるいはタイプ996(旧々型)を選ぶことになる。

で、いきなり結論めいた話で、かつ個人的な嗜好に基づくアレで大変恐縮だが、「もしも筆者が今、中古の水冷911を買うならば……」という観点で選んでみたのがこのページいちばん下の物件リンクである。踏んでいただければわかるとおり、タイプ997の前期型と、タイプ996のみで構成されている。996でも前期型は除外されており、また996後期型であってもリンクが張られているのは「カレラ4S」と「ターボ」だけだ。

水冷911を選ぶなら「モード」としての観点も重要です

これが意味するところは、例えば「996後期型はエンジン排気量が3.6Lに拡大され、同時にバリオカム・プラスが採用されたことで云々」ではまったくない。また「ビスカスカップリング方式の4輪駆動レイアウトがもたらす超高速レンジでの圧倒的なる接地性が云々」でもない。申し訳ないが、まったくない。

単純にデザインの問題だ。

こういうことを言うと保守本流の硬派911マニアからはつるし上げをくらいそうだが、単純に、
●タイプ996のカレラ4Sはボディ形状が当時のターボと同じでカッコいい
●当然、996のターボもカッコいい
●997は現行の991と(パッと見は)ほとんど見分けがつかず、カッコいい


ということだ。逆に、ターボボディではない通常のカレラやカレラ4は、後期996であっても現代の路上に出るといささか中途半端な古さを感じるのだ。ならばいっそド古い空冷を選びたくなる、というか。

筆者のようなこういった見方を「911愛好家の風上にも置けぬ軽佻浮薄な輩め!」とお叱りになる向きもあろう。が、水冷化されたポルシェ 911とは、好むと好まざるとにかかわらず今や「モード」のひとつなのだ。それなのに機械性能やハンドリング云々のみで現在の911を語るのはいかがなものかと、逆に思う筆者ではある。もちろん、異論・反論は歓迎するが。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
現代の路上でも映える、それでいてお手頃プライスな水冷911!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE