原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年1月29日に発見したのは「M・ベンツ ウニモグ」です。ウニモグとは「Universal Motor Gerät」(「多目的動力装置」を意味するドイツ語)の略語で、UMGとはせず、響きの良い頭文字いくつか(UniMoG)を取ったネーミングです。

ウニモグは、第2次世界大戦後に農家向けの作業車として誕生した、トラックとトラクターを掛け合わせたような車です。開発者はダイムラー・ベンツ社の航空機エンジンの元開発責任者だったというから、ちょっと意外です。

当時、連合軍の方針で、ドイツは自動車の開発・生産は厳しく制限されていました。だからこそ、持て余したエンジニアたちは、すごいものを作ろうとしたんでしょう。色んな秘話、苦労話がありそうで、「プロジェクトX」で扱っていてもおかしくないぐらいのネタです(笑)。

当該物件を見てみると、気になるのは年式の欄が「不明」と記されていること。走行距離不明はたまに目にしますが、年式不明は……。思い余って、販売店に電話してみました! なんでもこの車、ウェスタン自動車(ヤナセ傘下の自動車輸入会社)がちゃんと正規輸入したものらしいのですが、一昨年まで車検証登録されていなかったそうです。ですから“形式的”に年式を記すと2011年式(笑)。販売店によれば「農場かJRAで使われていたんだと思います」とのこと。ウニモグは作業車ですから、公道を走らないケースもあるんです。ちなみに、輸入の履歴がわかる書類のコピーはあるそうで、日本に入ってきたのは昭和63年だそうです。

「こんな車どうすんだよ!」とお叱りを受けそうですが、戦車のような悪路走破性は相当な魅力です。パリダカの“サポートカー”として使われ、ラリーにも参戦したことがあるほどタフなヤツなんです。そもそも、オーバースペックは車の醍醐味であり、贅沢でもあります。“能ある鷹は爪を隠す”的な車を所有することによる差別化も図れるでしょう。また、前進16速、後進16速のトランスミッションを操れたなら、他の車では味わえない“達成感”が味わえると思います。

見かける台数は相当少ないですから、周囲に与えるインパクトは文字どおり、デカいです(笑)。こんなんで遊びに出かけた日には、羨望のまなざしが集まることでしょう。もちろん、農場関係者にはうってつけな車だと思います。

Text/古賀貴司(自動車王国)

M・ベンツウニモグ | オンリーワンを探せ

「M・ベンツ ウニモグ」

本体価格(税込)298.0万円
支払総額(税込)―――万円
走行距離4.1万km
年式不明
車検2014(H26)年10月
整備
保証
地域北海道