フェンダー テレキャスター|伊達セレクション
写真上はフェンダーカスタムショップのテレキャスターというギター。車でいう「2年落ち」のモデルだが、長年使い込まれたように見えるキズ加工などが新品のときから施されている。ギターに限らず、このようにあえて古びて見えるものが昨今は世間一般の流行。そういう意味で写真下のVW ザ・ビートル(左側)など、過去の名車を現代にリバイバルさせたモデルは時流に合った選択肢と言えるだろう。
VW ザ・ビートル|伊達セレクション
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最近の車は「ド新品のジーンズ」みたいだ?

いきなり私事かつ車に関係ない話で大変恐縮だが、左写真上はわたしが所有しているエレキギターである。

キズだらけゆえ何十年も前に作られたオールドギターに見えるかもしれないが、実は割と最近の2010年製だ。キズや色のかすれ、サビなどは“あえて”加工されたものなのである。ギターの世界ではこういった加工は「レリック加工」と呼ばれ、大変に流行っている。最近は金属部分までピカピカ・キラキラの新品っぽいギターは逆にダサいとされているのだ。ド新品のジーンズはちょっとダサく、ダメージ加工されたものか、最低でも2~3回は洗濯したものじゃないとちょっと恥ずかしい、という時代の空気と同じと考えていいだろう。

車ではさすがに「レリック加工」は一般的ではなく、新車メーカーが「あえてボコボコ・サビサビ」なモデルを市販することは未来永劫ない(たぶん)。

それはそれでいいのだが、世間一般のモメンタムとして「レリック加工的なるもの」が衆生の支持を受け、「ド新品ジーンズ的なるもの」がちょっとダサイとされているのに、車業界だけは依然としてピカピカ・キラキラな方向性の新商品ばかりリリースしているのはいかがなものか……とお嘆きの貴兄に推奨したい輸入車は、やはりミニやフィアット 500、ザ・ビートルなどの「リバイバル系」だろう。あるいはジープ ラングラーやM・ベンツ Gクラスなどの「昔からほとんど不変系」か。

リバイバル系という次善の策

無論、「レリック加工的なるもの」を求める人、言い換えれば「世間一般のモメンタムとちゃんとリンクしてる人」にとって本当に最適なのは、リバイバル系ではなく「本当に古い輸入車」に乗ることであるかもしれない。リバイバル系や不変系もしょせんは現代の車であり、ある程度ピカピカ・キラキラしていることに変わりはない。しかし、過剰なLEDやエッジ立ちすぎなデザインにより、まるで「80年代のカフェバー(笑)」みたいな騒ぎになっている一部のモデルと比べれば、ずいぶんとマシだ。

また「メンテナンス」の問題もある。シトロエン 2CVやルノー 4などの「本当に古い輸入車」も、世間のイメージほどブチ壊れるわけではないが、それでもさすがにメンテナンスに気を使う必要はある。そういった手間をかけずに、気軽に“気分”を楽しむものとして、リバイバル系輸入車には一定以上の価値がある。

リバイバル系や不変系に乗るならば、その際の衣服も60年代や70年代のエッセンスを取り入れ、ちょっとクラシカルにしてみる。そして、なるべくジェントルな運転を心がける。その様は、いまだになつかしの「チョイ不良おやじ」みたいな恰好をして、LEDをキラキラさせながら追い越し車線をブッ飛んでいる「高級車」の何倍も高級だと思うのだが、どうだろうか。

ということで今回の伊達セレクションはずばりこちら。
カフェバーっぽい感じ(笑)が嫌いな人はリバイバル系に注目を!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE