【オンリーワンを探せ】元祖4ドアスポーツカーはマセラティ最高級セダン
2012/11/20
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年11月15日に発見したのは「ロイヤル」です。1986年に登場したマセラティの最高級4ドアモデルで、完全受注生産かつ手作りされた贅沢な車です。1979年から1990年まで生産された「クワトロポルテIII」のスペシャルバージョンという解釈でイイでしょう。最近でこそポルシェ・パナメーラや、アストンマーティン・ラピードなど“スポーツカーでありながら4ドアセダン”がもてはやされていますが、実はこの頃から存在していたんです。
ものすごく長い車のように見えますが、全長は5mに届かない4910mm。ワイド&ローというスポーツカーのデザイン方程式にのっとりながら直線基調のセダンに仕上がっていますから、その外見は異様です(笑)。それでもイタリアでは首相が乗る公用車に用いられましたし、映画「ゴッドファーザーPart III」でドン・コルレオーネがシチリア島を訪れるシーンで登場しました。威風堂々唯我独尊といった言葉がピッタリなほど個性的です!
ただ、売れませんでした…。ロイヤルの生産台数は諸説あるんですが、50台強で間違いなさそうです。エンジンは4.9LV8で最高出力300ps。街乗り重視でデチューンされているとはいえ、かつてマセラティが生産していたカムシン、ギブリSSなどのスーパーカーと基本は同じエンジンです。ひとたびアクセルを踏み込むと、高級セダンらしからぬワイルドさが垣間見られます。では現代の4ドアセダン・スポーツカーのような走りを披露するかといえば、それは無理ですのであしからず(笑)。
世界に50台強しか存在しないかつての最高級マセラティ車となれば、マセラティオーナーからは羨望のまなざしが集まることでしょう。23年前の車ですので、いい意味での“ヤレ”(色あせなどの経年劣化)を感じさせます。そのまま乗ってもオシャレですし、コツコツとレストアしていっても楽しいと思います。壊れるパーツもあるかもしれませんが、聞くところによるとコンピューター仕掛けではないので直すのは想像以上にシンプルらしいです。
この車は一生付き合う覚悟さえ決まれば、充実したカーライフが送れると思います!
Text/古賀貴司(自動車王国)