BMW 335iクーペ|伊達セレクション
写真上はBMW335iクーペ。06年後半に登場した初期モデルは直噴の3L直6DOHCにツインターボを合わせ、最高レベルの動力性能と省燃費性能を両立。10年のマイナーチェンジでシングルのツインスクロールターボに変更された。写真下のM・ベンツC63AMGは、6.2Lの自然吸気V8を搭載する最強最速Cクラス。11年のマイナーチェンジで湿式多板クラッチ採用の「AMGスピードシフトMCT」が与えられた。
M・ベンツ C63AMG|伊達セレクション
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BMW335iは永遠に600万円かと思っていた?

人間、年をとってくると固定観念にとらわれがちになるというか、新しい情報を無意識にシャットアウトしてしまう傾向がある。かく言うわたしもそうで、日本のポップミュージックといえばいまだにサザンオールスターズ、即席ラーメンはサッポロ一番だ。最近ではもっと進化したサカナクションとか、もの凄い即席麺もあるそうだが、詳しくは知らない。

中古車の相場に関してもそうだ。

輸入中古車研究家として恥ずかしい話なのだが、すべての車種の相場を常に脳内でアップデートさせているわけではなく、強烈なインパクトを感じた車ほど、そのインパクトを受けた時点での中古車相場で感覚が止まってしまっている場合がある。中年の性である。

例えば先代のBMW335iだ。これの広報車に試乗したとき、わたしは「な、なんて素晴らしい車なんだ! 激しくもあり、優しくもある。これがあればM3もアルピナもいらないじゃないか!」と驚愕した。驚愕ついでに猛烈に欲しくなったが、新車価格はおおむね700万円で、当時の中古車相場も600万円ほど。手が出ない。1年ほど待ってみたが、相変わらず中古車相場は600万円ほどで、依然手が出ない。「手が出ない車=自分には関係のない車」という鉄壁の公式が脳内に去来したわたしは、以後BMW335iの相場ウォッチをやめた。

気がつけば、激安

またメルセデス・ベンツC63AMGもそうだ。話が長くなるのでざっくりいくが、とにかくその猛烈な動力性能と「モテそうな感じ」に驚愕したわたしは中古車相場の下落を待ったが、1年たっても2年たってもC63AMGの相場は800万円級。前述の「手が出ない車=自分には関係のない車」理論により、わたしはC63AMGの存在を忘却の河に流した。

しかしあれから幾星霜、というか具体的にはたったの4年ほど。両モデルとも、「気がつけば激安」である。具体的にはBMW335iの好条件物件が300万円台半ば、C63AMGのそれがおおむね400万円台後半だ。一般的には「激安」と呼べる額ではないが、その素晴らしすぎる資質から考えれば「激安!」と称して許されるだろう。それほど突出している2台である。そして庶民派のわたしでも、気合を入れて臨めば手が出なくもない金額だ。この2台は今、俄然「自分に関係のある車」となって天空から舞い降りてきたのである。

今回の内容は車種そのものも、そしてその相場推移に関する不勉強っぷりも、もっぱらわたし個人の趣味や行動に基づく話であり、その点については大変恐縮である。しかし「あなたにとっての“気がつけば激安”」もマーケットには必ずあると確信するゆえ、あえて書かせていただいた。ぜひ今晩あたり、カーセンサーnetでそれを探していただけたらと願う。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
気がつけば意外と身近なBMW335iとC63AMG、そろそろどうでしょう?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE