VWパサートワゴン
写真上は旧型VWパサートワゴン。車格的には「M・ベンツEクラスワゴンのちょっと下」なのに、あちらさんとは似ても似つかぬ地味なたたずまい。それゆえ日本では大ヒット作にはならなかったが、「逆にそこがイイ!」というタイプの人も多いはず。また写真下のピニンファリーナ作となるプジョー406クーペも、淡く優しい印象のボディラインが特徴の「ある意味和風」な1台だ。
プジョー 406クーペ
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はかない桜を好む日本人なのに、街を行く車は熱帯の花のごとし

以前、スペイン人の友人に言われたことがある。「日本人はみんな桜の花が大好きだけど、あんな地味な花を見て本当にうれしいわけ?」。またフランスの知人男性からは、秋の紅葉狩りについてこう言われたこともある。「なぜ、枯れた木をわざわざ見たがるのだ?」

これら2つは極端すぎる例かもしれないが、わたしたち日本人になぜか沁みついている嗜好、すなわち「淡くはかない感じのものが好き」というセンスが、地球規模で見るとやや特殊であることを示している。人類の大勢は、桜や紫陽花よりもっとヴィヴィッドで派手な色の花や、ダイナミックな新緑などに対して「うむ、美しい!」と唸るのだろう。

しかし、翻って車である。淡くはかない感じを好むはずの我々なのに、街を走る車はどれもキラキラ&ギラギラした感じなのは一体どうしたことか。あれでは熱帯のブーゲンビリアかハイビスカスに車輪をくっつけて走っているようなものである。和風ではかない日本車といって思い浮かぶのは日産のキューブとラシーンぐらいか。あとは昔のホンダN360とか。・・・誠に遺憾である。

「外国人選手枠」を使い“和風輸入車(?)”を探すべし

しかし、あまり案ずることはないのかもしれない。なぜならば、プロサッカーチームでいうところの「外国人選手枠」、つまりは「輸入車」を買うという選択肢が、我々にはあるからだ。無論、和の心を理解しない者ども(?)が主に作る輸入車だけに、基本的には日本車以上にキラキラ&ギラギラしている。が、なかには和の心の神髄を知っているとしか思えない輸入車も、一部存在するのだ。まるで「青い目のサムライ」と呼ばれた故アンディ・フグ選手のような!

そのサンプル群は下記の物件リンク中に示したつもりだが、代表的な例をここで挙げるとすれば、旧型のフォルクスワーゲン・パサートワゴンをおいてほかにあるまい。それなりのサイズを持ちながら、いわゆる「押し出し感」は皆無で、面構成は日本人女性の身体のようにたおやか(=しなやかでやさしい感じ)。それでいてその走りには全盛期のメルセデス・ベンツEクラスを思わせる重厚さと硬質感がある。・・・日本車以上に日本的な旧型VWパサートワゴン、一般ウケはあまりしないかもしれないが、ある種の日本人ドライバーならば絶対にストライクゾーンど真ん中なはず!

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
まるで桜や紫陽花のような和風輸入車(?)を、どうぞお見逃しなく!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE