【オンリーワンを探せ】ミニマリズムと遊び心が融合したシトロエン
カテゴリー: クルマ
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2012/09/04
原稿執筆時点(平成24年8月29日)でカーセンサーnetに唯一掲載されているのが、シトロエン メアリmade by Mehari Clubです。シトロエン メアリ自体は1988年に生産を終了していますが、これはフランスの「2CV・メアリクラブ・カシス」というバックヤードビルダーがシトロエンから残っているすべてのパーツを買い取り、足りないパーツは独自に作り、再生産しているユニークな車両です。ちなみにオーナーはパリダカ・レースに2CVで参戦する車バカ(良い意味で!)だそうです。
ミニマリズムと遊び心を融合させたコンセプトは、今でも世界中に多くのファンを虜にしています。この車、プラットホームに鋼管フレームを組み、ABS樹脂パネルはボルト留めされているだけです。フロントガラスは折り畳み式ですし、基本的にはサイドウインドウ、リアウィンドウ無しとの理解でイイでしょう。ほとんど、ゴルフカートと変わりません(笑)。内装にカーペットはなくボディはABS樹脂パネルですから水洗いできて、とにかくラフに使えてレジャー用、商用、軍用と多岐に用いられてきた車です。
1968年に登場した車ですから基本設計は古く、絶対性能に多くを期待できるわけではありません。搭載しているのは600㏄空冷水平対向2気筒エンジンで「最高速度は100km/h」といわれています。でも別荘周辺を走る足として、商店の配送車両としては今でも十分なんです。2CVの兄弟車ですから、MTのシフトノブはダッシュボードから水平に“生えている”形状です。シフトノブを左にひねり手前に引けば1速、ニュートラルに戻し奧に押し込めば2速・・・、慣れるまでは違和感を覚えるかもしれませんが、慣れれば理に適っていることがわかります。
見栄を張るわけでもなく、かといって安物でもない、それでいてとにかく個性的、というのもメアリの魅力かもしれません。デビュー当時からシトロエンらしい唯我独尊な雰囲気でしたし、今なお魅力が褪せないのはシトロエン・マジックでしょうね。車に対する固定観念を打ち砕くばかりか、乗っている人全員にワクワク感をもたらしてくれるところがすごいです。現代の車に味気なさを覚える人、何か人と違うものに乗りたい人はぜひ、一度乗ってみてもらいたい1台です。
Text/古賀貴司(自動車王国)