プジョー206
写真上のプジョー206も写真下のVWゴルフ5も、いわゆる先代モデル。その微妙な古さを敬遠する人もいるかと思うが、それも考え方である。本文中にあるように「ちょうどいい具合に娑婆っ気が抜けてイイ感じになった」ととらえることもできるし、また先代のなかでもその末期モデルというのは熟成(様々な改良)が進み、かなり満足できる乗り味になっている場合が多いものだ。
VWゴルフ5
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平成の今も「100万円」という単語には夢がある

2回にわたり「100万円輸入車」についてお話ししたい。100万円。力強い響きである。昭和時代のそれは「社長」「富士山」「新幹線」などといった単語とともに、力強さと憧れのニュアンスを醸していた。平成の世となった今、それらの地位は若干下がった感もあるが、それでも依然として「100万円!」は力強い。

思うに「100万円」という単語は、「それがあれば新しい何かが始まりそう(=夢)」と、「しかし誰にとっても比較的容易に用意できそう(=現実)」という相反する2要素が絶妙にブレンドされた“希望の象徴”なのだ。

そしてもちろん輸入中古車においても、100万円あれば結構なモノを手に入れることができる。当然、諸費用を除いた車両価格ではなく「支払総額」での話だ。

総額100万円以内で輸入中古車を狙う場合、考え方は大きく分けて2つある。「テッパン路線」で行くか「アドベンチャー路線」か。テッパン路線とはすなわち「故障リスクが低い高年式系」で、100万円という限定された予算で高年式系を狙うとなると必然的にコンパクトカーが中心になる。もう一方の「アドベンチャー路線」については次回詳述したい。

この「ちょっとだけ古びたジーンズ」な感じが逆にイイのです

さて、そのテッパン系100万円輸入車だが、まずは下の物件リンクを覗いてみてほしい。詳しい人なら一目瞭然かと思うが、高年式といっても実はビミョーな年式であり、モデル的にも最新世代ではない。具体的には、「新車時から数えて車検を2回通した旧型モデルの末期バージョン。走行距離は3万kmぐらい」というのがその典型だろうか。

確かにややビミョーかもしれない。個体的にも設計的にも“もっと新しいモノ”を求める人は多いだろう。しかしそれでも、これら(比較的)高年式な総額100万円コンパクトは推奨銘柄なのだ。

なぜか。それは、「真新しいジーンズ」がちょっと恥ずかしいのと似ている。

新品のジーンズであっても「ちょっと使い古しました」的な軽いダメージ加工が最近は必須なのと同様に、車も「最新のハイスペックを追い求めました!」というのはちょっと恥ずかしい時代に突入した。2012年の今、車に限らず各種のモノというのは、その品質も機能も物量もとっくに飽和状態に達しているのだ。そんな状況下で「さらに新しいモノを! より高機能を!」と昭和的なモア&モアを求めるのってどうなのよ? ということだ。

その点、微妙に使い古された、でもまだまだ全然イケている輸入コンパクトカーを「や、僕はこれで十分ですから(←さわやかな笑顔で)」的にサラリと使いこなすのは、2012年的には「決して高価なブランド物じゃないけど、いい感じにこなれたジーンズをサラリと履きこなしてる人」のようにステキなのである。誰が何と言おうとも!

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら
いい感じにアブラが抜けた(やや)高年式100万円コンパクトに、サラリと乗る毎日はいかが?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE