▲軽自動車並みのボディサイズでも4名乗りオープンカーなんです ▲軽自動車並みのボディサイズでも4名乗りオープンカーなんです

30年前の車とは思えない可愛らしさ

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年3月11日に発見したのは「ホンダ シティカブリオレ」です。当時の言葉でいえば“ヤングアダルト”向けの“ファッショナブル・フルオープンカー”でした。

シティは「シティ!イン・シティ!」、「ホンダ、ホンダ、ホンダ」というキャッチフレーズのオープニングやムカデダンスのテレビCMが話題になりました。デビューは1981年11月で、デザインのコンセプトは「トールボーイ」でした。その名のとおり、当時としては全高が高めに設定されていました。標準ボディ、カブリオレともに全高は1470mm、ハイルーフは1570mm。これによって車内は開放的な雰囲気となっています。

それでいてシティの全長は、軽自動車ほどの3420mm(標準ボディが3380mm)しかありません。「コンパクトだけど広々」というコンセプトは、日本市場ではいつの時代も需要があるのでしょう。当時、ホンダには軽自動車がラインナップされていなかったことと、愛くるしいデザインが相まって、かなりの人気を博しました。

カブリオレの投入は1984年でした。デザインを手がけたのはイタリアのカロッツェリア、ピニンファリーナです。リアシートは決して広くありませんが、一応大人4名が乗車可能でした。そういう意味では日常的に使えるオープンカーであり、ヒットに繋がりました。

▲シティカブリオレはハッチバックモデルよりも少し全長が長いんですが、それでも現在の軽自動車レベルというコンパクトさです ▲シティカブリオレはハッチバックモデルよりも少し全長が長いんですが、それでも現在の軽自動車レベルというコンパクトさです
▲幌の開閉は手動で、リアウインドウは一般的なビニールではなくガラスが採用されています。小さいですがトランクも付いています ▲幌の開閉は手動で、リアウインドウは一般的なビニールではなくガラスが採用されています。小さいですがトランクも付いています

カブリオレに搭載する1.2Lエンジンは最高出力たった63ps(AT車の場合。MT車は67ps)。しかし車重が810kg(AT車の場合。MT車は800kg)しかありませんから、思いのほかキビキビしています。ATは今では考えられない3速しかありませんが、街中を颯爽と走るには十分でした。ちなみに、この頃の車は100km/h超えるとベル(速度警告音)が鳴る仕様でした。

当該中古車は走行距離が12万5000kmですが、新車時登録から30年が経過していることを考えれば少ない方です。写真で見るかぎり、内外装の状態はかなり良好だと言ってもいいくらいです。前後バンパー、オリジナルは黒い樹脂むき出しでしたが、前オーナーがボディと同色に塗装したようです。これはこれでアリだと思います。

▲室内に飾り気はありませんが必要なものは揃っています。ドアにはボディと同色のオーナメントが採用されていてオシャレです ▲室内に飾り気はありませんが必要なものは揃っています。ドアにはボディと同色のオーナメントが採用されていてオシャレです

新車時のシティをご存じの方にはノスタルジックな雰囲気たっぷり。今見ても可愛らしく見えるのはそれだけデザインが優れている証なのだと思います。

シティカブリオレのようなコンパクトオープンカーは、もはや2人乗りのものばかり。シティをご存じでない方でも、面白い選択肢でしょう。今でも十分、ファッショナブル・フルオープンカーとしてワクワクさせてくれる1台だと思います。

■本体価格(税込):78.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:12.5万km ■年式:1985(S60)
■車検:無 ■整備:別(5万4000円) ■保証:無
■地域:静岡

text/古賀貴司(自動車王国)