▲ボタン一発でクーペにもオープンカーにもなる「クーペ・カブリオレ」。輸入車のそれはなんだか高いというイメージがありますが、実は車両価格100万円以下でも余裕で狙えるのです ▲ボタン一発でクーペにもオープンカーにもなる「クーペ・カブリオレ」。輸入車のそれはなんだか高いというイメージがありますが、実は車両価格100万円以下でも余裕で狙えるのです

新車で買うとなるとどうしたって割高なクーペ・カブリオレだが

春はまだまだ先のような気もしますが、「光陰矢の如し」なんて言葉があるとおり、割とすぐにそれはやってきます。気候の良い春という季節は、ぜひともしゃれた輸入オープンカーで楽しみたいところです。

でもいわゆる普通のキャンバス製ソフトトップを備えたオープンカーは、正直ちょっとわずらわしい部分もなくはない感じです(走行中は割とうるさい、雨漏りがちょっと心配、イタズラで幌を裂かれたりしないかも心配、etc.)。なので、もっと気軽にオープンエアを楽しみたい場合は、古典的なオープンカーではなく「クーペ・カブリオレ」がおそらくはベストです。

「CC」と表記されることも多いクーペ・カブリオレとは、電動でガーッと開閉する格納式ルーフを備えたオープンカーのこと。ボタン一発で屋根を閉めれば見た目的にも機能的にもほぼクーペと同様で、しかしまたボタン一発で屋根を開ければ爽快なオープンカーに早変わりするという、いわばいいとこ取りのジャンルなのです。

ただ、複雑なルーフの機構を電気と油圧で動かしますので、新車の輸入クーペ・カブリオレというのはなかなか値段が張る場合が一般的です。具体的には、例えばプジョー 207というハッチバックは新車時価格200万~200万円半ばぐらいの車でしたが、そのクーペ・カブリオレ版である207CCの新車時価格はおおむね300万円台前半といったところ。どうしたって高く付いてしまうわけです。

▲何本ものアームをモーターと油圧ポンプで動かしながらルーフを開閉させる……という複雑な機構のため、その新車価格はどうしたってベース車両よりも割高に。写真は2台ともプジョー 207CC ▲何本ものアームをモーターと油圧ポンプで動かしながらルーフを開閉させる……という複雑な機構のため、その新車価格はどうしたってベース車両よりも割高に。写真は2台ともプジョー 207CC

コンパクト系のオススメお手頃CCはコレ!

しかしそれはあくまで新車時の話であって、もしも中古車でもOKというのであれば、車両価格100万円以下というかお手頃プライスで探せる輸入クーペ・カブリオレは実は多いのです。

例えば最も流通量豊富なのがプジョー 206CCです。

▲00年代初頭に大ヒットした小型車、プジョー 206をベースに作られたプジョー206CC ▲2000年代初頭に大ヒットした小型車、プジョー 206をベースに作られたプジョー 206CC
▲ルーフを閉めた際のビジュアルはこんな感じです ▲ルーフを閉めた際のビジュアルはこんな感じです

これは99年から07年にかけて売れに売れたプジョーの小型ハッチバック「206」をベースに作られたクーペ・カブリオレで、1.6Lまたは2Lのエンジンを積む、なかなか痛快な走りが楽しめるモデルです。現在の中古車相場はおおむね30万~80万円といったところで、走行短めの物件を探したい場合は50万~80万円付近が中心となります。きちんと整備されてきた個体であれば、まだまだ十分な現役感が楽しめるクーペ・カブリオレです。

ただ、「もう少し新しめの年式がいい」と思うかもしれないので、その場合は206CCの後継にあたるプジョー 207CCがいいでしょう。また「206CCを見てみたけど、後席がちょっと狭いなぁ……て」と思うのであれば、ひと回り大きなサイズとなるプジョー 307CCがオススメとなります。

 

▲あこちらはプジョー 207CC。上の206CCより1世代新しいプジョーの小型クーペ・カブリオレです ▲こちらはプジョー 207CC。上の206CCより1世代新しいプジョーの小型クーペ・カブリオレです
▲207CCのルーフを閉めたときのビジュアルはおおむねこのような感じに ▲207CCのルーフを閉めたときのビジュアルはおおむねこのような感じに
▲こちらは206/207より1サイズ大きい5ドアハッチバックである307がベースのプジョー 307CC ▲こちらは206/207より1サイズ大きい5ドアハッチバックである307がベースのプジョー 307CC
▲ルーフを閉めるとこんな感じ。後席の居住スペースは206CC/207CCと比べれば広めです ▲ルーフを閉めるとこんな感じ。後席の居住スペースは206CC/207CCと比べれば広めです

207CCは新車販売期間が07年6月から12年10月と比較的新しい関係でデザインもかなりシュッとしていますし、後席の空間も、決して広いわけではありませんが、前身の206CCと比べれば改善はされています。それでいて車両価格60万~80万円付近でも十分探せますので、サイズ的に小ぶりでも構わないのであれば、かなりオススメとなる1台です。

04年2月から08年5月まで販売されたプジョー 307CCは、207CCと比べると若干古い世代になりますが、この種の車としては後席もなかなか広いので、後ろに人を乗せることが多い人は要チェックです。こちらの相場はおおむね30万~80万円で、206CCと似たようなプライスとなります。
 

メルセデスの2シーターだって100万円以下でOK

2人乗りでもOKで、なおかつ「イカしてる感じ」のクーペ・カブリオレが欲しい場合は、メルセデス・ベンツの旧々型SLKクラスまたは旧型SLKクラスが車両100万円以下でイケます。

▲こちらはメルセデス・ベンツの初代SLKクラス。電動開閉式の「バリオルーフ」は衝撃的でした ▲こちらはメルセデス・ベンツの初代SLKクラス。電動開閉式の「バリオルーフ」は衝撃的でした
▲バリオルーフを閉めるとこのようなニュアンスに ▲バリオルーフを閉めるとこのようなニュアンスに

旧々型SLKというか初代SLKは、97年2月から04年8月まで販売された2シーターのクーペ・カブリオレで、メルセデス・ベンツの量産車として初めて「バリオルーフ」を採用した車でした。エンジンは2.3Lのスーパーチャージャー付き4気筒または3.2LのV6で、見た目的にもかなりスポーツカー的なのですが、実際の乗り味は比較的ゆったりとしたニュアンスです。目を三角にしてぶっ飛ばすというよりも、海岸や高原なんかを優雅に走るのがハマる感じでしょうか。そういった使い道を考えている人にとっては、ちょっと古いですが、まだまだ魅力的な存在です。最近はクラシカルな味わいみたいなものも出てきた気がしますし。中古車相場はこれまた30万~80万円ぐらいです。

「初代SLKだとさすがに古いかも……」という場合は、後継である旧型SLKクラスでどうでしょう?

 

▲初代の後を受けて04年途中に登場した2代目(旧型)メルセデス・ベンツ SLKクラス ▲初代の後を受けて04年9月に登場した2代目(旧型)メルセデス・ベンツ SLKクラス
▲バリオルーフを閉めた状態でもかなりシュッとしています ▲バリオルーフを閉めた状態でもかなりシュッとしています

こちらはグッと現代的なビジュアルに生まれ変わって04年9月から11年4月まで販売されたクーペ・カブリオレで、初代SLKよりもパワフルかつスポーティな走りを堪能できます。それでいて中古車は100万円以下でも検討可能。もちろんモデル全体の相場は80万~220万円ぐらいで、ボリュームゾーンは150万円付近なんですが、ここ最近は100万円以下の物件もまずまず増えてきているのです。

また、SLKクラスよりもう少し大きいサイズで、4人乗れて、そしてもうちょっと落ち着いたイメージの方がいいという人には、フォルクスワーゲン イオスがハマるかもしれません。

 

▲旧々型ゴルフをベースに作られたフォルクスワーゲン イオス。現在は絶版です ▲旧々型ゴルフをベースに作られたフォルクスワーゲン イオス。現在は絶版です
▲こちらも後席は(広いというほどじゃありませんが)まずまず使える広さです ▲こちらも後席は(広いというほどじゃありませんが)まずまず使える広さです

06年10月から10年2月まで販売されたフォルクスワーゲンの中型クーペ・カブリオレで、エンジンは2Lの直噴ターボまたは自然吸気の3.2L V6。なかなかパワフルな走りを堪能できますが、SLKと比べるとビジュアル的にかなり落ち着いた雰囲気ですので、「SLKみたいなスポーツカーはこっぱずかしい……」という人でも無理なく愛せるはずです。また、当然ですが「4人乗れる」というのも大きなポイントでしょう。中古車相場は70万~170万円付近ですが、100万円以下でも探せなくはありません。

さらに落ち着いた雰囲気がお望みの場合は、2代目のボルボ C70カブリオレでしょうか。

 

▲ボルボとしては初の電動格納式ルーフ採用車である第2世代のボルボ C70カブリオレ。写真は06年12月から10年3月の前期型。それ以降の後期型は、これとはちょっと異なるデザインになりました ▲ボルボとしては初の電動格納式ルーフ採用車である第2世代のボルボ C70カブリオレ。写真は06年12月から10年3月の前期型。それ以降の後期型は、これとはちょっと異なるデザインになりました

どこからどう見ても100万円以下には見えないステキすぎる北欧製クーペ・カブリオレですが、それだけに100万円以下の物件は今のところ希少です。なくはないのですが、ボリュームゾーンは100万円台後半といったところ。これについては「100万円以下でもしもイイのが見つかればラッキー」ぐらいに思っていた方がいいかもしれません。

結論として、2代目ボルボ C70カブリオレ以外は、車両価格100万円以下でもなかなかステキなクーペ・カブリオレが探せることはおわかりいただけたかと思います。ぜひ、これからやってくる「春」をこんな感じの車たちでもって存分にお楽しみいただけたら、編集部としても大いに幸いです!
text/編集部
photo/プジョー・シトロエン、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボ