“プジョー▲【PEUGEOT 3008 HYBRID4|写真=郡大二郎】

PHEVや最新ADASだけがニュースではない、3008 HYBRID4という反骨の電動化

先に白状しておくと、昨年9月に催されたオンライン発表会では「キツい顔つきになっちゃったな」と、少し引いた。プジョー 3008のマイナーチェンジ版の顔つきを、リモートとはいえ初めて見たときの印象は決して芳しいものではなく、むしろシュッとしたマスクの前期型がここから半年、買いかな? とすら思えた。

ところが、フェイスリフト顔となって日本に上陸した「3008 GT HYBRID4」と実際に向き合って、すっかり宗旨替えさせられた。歌舞伎役者の隈取りのようにエグく見えたLEDヘッドライト下にまでグリルメッシュが伸びる表情は、実物の方がずっと精悍に見える。牙状のデイランニングライトも最新のプジョー顔の文法通りだ。とはいえ新しい3008のデザインの秀逸さは、気分的な美醜やセンスの問題ではなく、その最重要ポイントは別にある。

それは3008のフロントグリルが、フレームレスとなったことだ。戦前の馬蹄型ラジエターの時代から連綿と続く超老舗メーカーであるプジョーにとって、古典的ディティールたるラジエターグリルを電動化の時代にどう扱うかは、一過性のトレンド的問題ではない。いかにも、EV専業ブランド的な鉄仮面か、国産メーカーに増えてきたボディ一体型グリルか、手法はいろいろあるが、「パラメトリック(不等長の、という意)」に広がる凸部アクセントをボディ同色バンパーと馴染ませ、古くささとも新奇さとも無縁の個性とした。その手並みのキレ味たるや、鮮やかというほかない。
 

プジョー 3008 GT ハイブリッド4 ▲2020年のマイナーチェンジによりフロントマスクを大幅に変更。ブランド初のプラグインハイブリッド4WDモデルがラインナップされた
プジョー 3008 GT ハイブリッド4 ▲充電口は右側のリアフェンダー部に配置。普通充電のみに対応し、200V/3kWで約5時間で満充電となる

明快なロジックに貫かれたデザインは、内装にも及んでいる。

ダッシュボード上面から水平に、i-コックピットならではの小径ステアリングから上は、視線の上下移動をできるだけ減らした視覚ゾーン。その下はエアコン吹き出し口やトグルスイッチ、バイワイヤのシフトレバーなどを配した操作&触覚ゾーン。さらに下はボディゾーンで、シートやサポート類が乗員を体幹からしっかり支えこむ。

二の腕を大きくもち上げずとも、直進時は快適に保持しつつ、操舵時は正確に切り込める独特のインターフェイスは、小径ステアリングだけでできている訳ではないのだ。
 

プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲液晶メーターなどの表示が異なるものの、インテリアはガソリンモデルと基本同様のデザイン
プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲ハイブリッド4にはアルカンターラとテップレザーを用いた、ダークグレー基調のシートを装着する。ナッパレザーを用いたレザーパッケージオプションも用意された
プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲リアシートは6:4分割可倒式を採用。ワンタッチでシートバックが倒れ、座面も沈み込む仕様となっている

180psを発揮する1.6LターボのFFをベースに、110psのフロントモーターと112psのリアモーターを備えたPHEVとして、総計ではないシステム出力300psは、控えめに聞こえるかもしれない。だが4WD化されているうえに、最大トルクは520Nmにも達する。使い切れないパワーを数値スペックとして掲げるよりも、素早く引き出せるパワートレインとシャシーの掛け合いと、その高効率性こそが、3008 GT ハイブリッド4の大きな魅力だ。

それは、具体的にまず欧州CセグSUVとしては長い、ゼロ・エミッションでの最大レンジに表れる。WLTCモードで約64㎞と、ストップ&ゴーの多い街中でも実質距離にして50㎞は電気だけで走れる。13.2kWh 大容量でリアシート下に収まるリチウムイオンバッテリーは、なるほど確かに重く、車重は1850㎏に達する。だが、前後重量バランスは54:46と従来のFFモデルよりも優れており、パワーウェイトレシオは1psあたり6.1kg少々。このパワーウェイトレシオ値に従来のプジョーで最も近かったのは、205 T16の5.7㎏/psもしくは205 GTiの6.8~7.7㎏/psといえば、その素性の良さが伝わるだろうか。

通常ペースで走っている分には、それなりにマスの大きさは感じる。だがひとたび積極的に走らせると、リアモーターの素早い蹴り上げトルクが立ち上がり、3008 GT ハイブリッド4は突然、プジョーらしい滑らかだが切れ味鋭いハンドリングと、軽快なレスポンスの1台に生まれ変わる。ワインディングで面白くないはずもない。車としてのスポーツ性というか、「プジョーかくあるべし」とか「こう走らせたい」というビジョンが、電動化されてもホットハッチの頃から変わっていないことを、ある意味、思い知らされるような走り味なのだ。

電動化によってドライバビリティや使い勝手が刷新され、新しさを感じさせるのは当たり前といえば当たり前。PHEV化と同時に、あえて歴史的背景や懐かしさすらほうふつさせるプジョーの仕立てには、ほとんど反AI的といっていい知性すら宿っている。
 

プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲立体感のある3D LEDリアコンビランプを採用、ウインカー点灯時に光が流れるシーケンシャルインジケーターが取り入れられている
プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲バッテリーのみで走行するエレクトリックモードを含め4つのドライブモードが選択可能。ただし、電池残量をセーブするモードなどは備わっていない。アクティブセーフティブレーキをはじめとした先進運転支援システム(ADAS)を全モデルに標準装備している
プジョー 3008 GT ハイブリッド4▲ラゲージ容量は通常520Lを確保。ハンズフリー電動テールゲートを標準で採用
文/南陽一浩、写真/郡大二郎

▼検索条件

プジョー 3008(2代目) × 全国

【試乗車 諸元・スペック表】
●プジョー 3008 GT ハイブリッド4

型式 3LA-P845G06H 最小回転半径 5.6m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.45m×1.84m×1.63m
ドア数 5 ホイールベース 2.68m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.58m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1850kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.18m
マニュアルモード
標準色

ハリケーン・グレー、セレベス・ブルー

オプション色

パール・ホワイト、ペルラ・ネラ・ブラック、プラチナ・グレー、ヴァーティゴ・ブルー

掲載コメント

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型式 3LA-P845G06H
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ハリケーン・グレー、セレベス・ブルー
オプション色 パール・ホワイト、ペルラ・ネラ・ブラック、プラチナ・グレー、ヴァーティゴ・ブルー
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.45m×1.84m×1.63m
ホイール
ベース
2.68m
前トレッド/
後トレッド
1.58m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1850kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.18m
掲載用コメント -
エンジン型式 - 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 52リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 16.9km/L
総排気量 1598cc 燃費(WLTCモード) 15.3km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外:16.7km/L
└高速:16.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 200ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
300(30.6)/3000
                     
エンジン型式 -
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1598cc
最高出力 200ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
300(30.6)/3000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 52リットル
燃費(JC08モード) 16.9km/L
燃費(WLTCモード) 15.3km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外: 16.7km/L
└高速: 16.7km/L
燃費基準達成 -