【試乗】新型 プジョー 5008│楽しめる7人乗りディーゼルという希少価値、マイナーチェンジで磨きのかかったフレンチSUVを試す
カテゴリー: プジョーの試乗レポート
2021/07/13
走りの良さと実用性が両立した、プジョーの本気が感じられるモデル
ミニバンからSUVへファミリーカーの主流が移った今も、スタイリッシュなピープルムーバーの7人乗り需要は根強い。当然、国産車でも選択肢は広いが、輸入車のそれを知ってしまうとスケール感の違いというか、単なる窮屈さ以上の狭小さに気づいてしまう。
というのも、各列シートに求められるミニマムな座り心地や広さ、大人数や大荷物を載せた際の動的質感といった点で、満たすべき要件がまるで違うのだ。
メルセデス・ベンツのGLSやBMWのX5、アウディ Q7やボルボ XC90といった、ハイエンドかつプレミアムな7人乗りSUVは別カテゴリーであるとしても、BMWの2シリーズ・アクティブツアラーやVWのトゥーランといった、500万円アンダーの3列7人乗りの輸入車の中で、プジョー 5008は独特の位置を占めている。
同価格帯のドイツ車よりスポーティなSUVルックであるのに加え、イメージに反して2Lディーゼルは最もパワフルな、177ps/400N・mを与えられている。日本市場でもロングヒットを続けるモデルだが、春先のマイナーチェンジによって3008と同じフロントマスクが採用され、先鋭さが向上。
フロントグリルは最近流行りのフレームレスながら、グリル自体がフルLED化されたヘッドライト下にまで伸び、ボディカラーに馴染んでいく意匠も個性的だ。それでいて、車名の数字ロゴがノーズ先端に入るという、1960年代のプジョーに見られた古典的なディティールと組み合わせているところも面白い。
成功しているモデルの常で、5008のマイナーチェンジは基本的にはキープコンセプト。12インチのメーターパネルはコントラストを増して視認性を高め、大ぶりのシートはデザインを一新してよりモダンな雰囲気となった。スタンダードな「アリュール」グレードに装備されている、ファブリックと人工テップレザーコンビのシート質感は上々。
GTのシートはアルカンターラが採用され、起毛素材の落ち着きに加えて、前席シートヒーターや運転席パワーシートなどの装備が充実する。ちなみに、フルナッパーレザーもオプションで選択可能だ。2列目シートも独立3座で、シートアレンジが多彩である点も、初代はミニバン・モノスペースだった5008らしい気づかいではある。3列目シートは、大人にはエマージェンシー用の2座だが、荷室のフロア下に畳めるので使わないときは5名乗車+702Lの大容量荷室という、無駄のないコンビネーションも5008の基本骨格の骨太さを語る。
今回のマイナーチェンジではADAS関連もアップデートされ、アクティブセーフティブレーキの検知対象と範囲が夜間の歩行者や二輪車にまで拡がった。また、ACCにストップ&ゴー機能が備わり、前車が止まって3秒以内ならアクセルを踏まずとも自動的にリスタートするようになった。渋滞時のイージーさを増す改良といえるだろう。
だが、5008の本領はSUVで人数も荷物もたっぷり乗る・載る1台である一方、その走りに妥協がないところにある。最新の排ガス規制(EURO6.2)にも適合した、180psのピュアテック1.6Lガソリンターボエンジンもラインナップされるが、全長4640mmの車格には、やはり燃費やトルクで優るディーゼルの「BlueHDi177」エンジンがより相応しいと思わせる。今回のマイナーチェンジでは4WDのPHEV版は加わらず、すべてFF仕様にとどまる。
実際、年次改良を重ねたパワートレインやシャシーセッティングにおいて、滑らかさでは抗しがたい。欧州Cセグとしては明らかに大柄だが、ストレスのないトルクがもたらす加速とクルーズ時の静粛性、アイシンAW製8速ATのソツなく控えめなマナーは、申し分ない。3008より16.5㎝も長いホイールベースゆえ、速度域に関わらず上下方向におうようでピッチングがよく抑えられたフラットな乗り心地が持続する。
それでいて、ひとたび峠に差しかかりそれなりに荷重移動させるような走り方をしても、鈍重どころか躯体をうねらせるような躍動感を伴ってドライバーの意のままに操れる、そんなハンドリングを披露する。肘や腕を下げたままで操りやすいプジョー独特の小径ステアリングが、スポーティな過剰演出でもこけおどしでも何でもなく、ジャストサイズに感じるほどシャシーごとスポーティなのだ。ステアリングを通じて伝わってくる足回りの剛性感に加え、荒れた路面を踏み越えてもミシリともいわないボディや、内装の組みつけの剛性感も見事だ。
しかも今回の試乗では、アドバンスドグリップコントロールという滑りやすい悪路でトラクションを最適化する機構をオフロードで試せた。装着タイヤは本格クロカン4WD的でこそないが、電子制御によってある程度有効な走破性エクステンションをも備えている。
パワートレインの電動化は、今回見送られた。それがゆえに3008 Hybrid4に比べて、いわゆる未来感が薄い点は否めない。だが、ディーゼルをはじめ既存技術の粋を尽くした熟成モデルとして、好燃費と優れたドライバビリティは見逃せないし、実用車としてもツアラー的SUVとしても、おそろしく高いバランスを誇るのが5008といえる。
新車で手に入る3列7座という、同時代の横方向を見渡しても、電動化の潮流という未来への縦方向を見渡しても、5008は貴重な個性とバリューをもつ1台といえるのだ。
マイナーチェンジ前の2代目プジョー 5008の中古市場は?
初代のミニバンタイプから様変わりし、SUVとして2017年に登場した2代目プジョー 5008。現在の中古市場では本体価格300万円台が相場となっており、上位グレードや装備の充実した物件では400万円台前半となっている。2Lディーゼルターボモデルが物件の半数以上を占めており、ガソリンモデルより数十万円ほど高い相場傾向にある。
▼検索条件
2代目プジョー 5008 × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●GT ブルーHDi ディーゼルターボ
型式 | 3DA-P87AH01 | 最小回転半径 | 5.8m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.64m×1.84m×1.65m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.84m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.58m/1.59m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1690kg |
シート列数 | 3 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 7名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.18m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
セレベス・ブルー |
||
オプション色 |
パール・ホワイト、ペルラ・ネラ・ブラック、プラチナ・グレー、メタリック・コッパー |
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掲載コメント |
- |
型式 | 3DA-P87AH01 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | セレベス・ブルー |
オプション色 | パール・ホワイト、ペルラ・ネラ・ブラック、プラチナ・グレー、メタリック・コッパー |
シート列数 | 3 |
乗車定員 | 7名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.8m |
全長×全幅× 全高 |
4.64m×1.84m×1.65m |
ホイール ベース |
2.84m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.58m/1.59m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1690kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 56リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 21.2km/L |
総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
16.6km/L
└市街地:13.8km/L └郊外:16.4km/L └高速:18.4km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 177ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2000 |
エンジン型式 | - |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 177ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク容量 | 56リットル |
燃費(JC08モード) | 21.2km/L |
燃費(WLTCモード) | 16.6km/L
└市街地:13.8km/L └郊外: 16.4km/L └高速: 18.4km/L |
燃費基準達成 | - |