【オンリーワンを探せ】幻のアメリカン・スーパーカーが日本で流通
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2013/05/21
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年5月14日に発見したのは「ベクター W8」です。カーセンサーnetには現在、約30万台の中古車が掲載されていますが、よくよく調べてみると本当にすごい物件が埋もれているものです。
「ベクター」と聞いてピンときた方は相当なマニアです(笑)。ベクター・エアロモーティブはジェラルド・ヴィーゲルトによって設立されたメーカー。戦闘機に対する憧れを車というカタチで商品化しました。常識や固定観念にとらわれず自由な発想で世界最高のモノを作ろうとする人がいて、そのアイデアがどんなに大それたモノでも支援する投資家がいるというのが、いわゆるアメリカンドリームなのでしょう。
W8は1980年にプロトタイプが発表されましたが、1990年まで資金不足のために生産されませんでした。結局1993年までの間に、W8はプロトタイプ2台と顧客に納車した17台の計19台しか生産されなかったといわれている幻と呼べるような車なんです。
かつてのグループCカー(プロトタイプレーシングカー)をほうふつとさせるアルミハニカム・セミモノコックボディには、航空機水準のリベット(鋲)が約5000個も用いられています。さらに、軽量化と強度を両立させるカーボンファイバー、ケブラーなども採用。ベクターはオーナーが生涯、一般的なメンテナンスだけで車を維持し続けられるような耐久性を目指したんです。エンジンはGM製6LV8エンジンをベースにし、高価かつ耐久性の高いパーツをテンコ盛り。ツインターボチャージャーをも装着し、最高出力は643psとなりました。
運転席には見慣れたスピードメーターやタコメーターはなく、すべてをデジタルモニターで管理しています。これらの計器類、スイッチ類は航空機をモチーフにしたのではなく、航空機が採用する機能性をそのまま車に流用した雰囲気です。
4800万円という値段はフェラーリだったらF50が狙えるような価格で、W8はとても遠い存在かもしれません。しかし、ウルトラ・レアでスーパー・ファンキーなアメリカンドリームの塊を眺めながら車購入の夢を見るのも、カーセンサーnetの醍醐味のひとつでしょう。それにしても、こんな車を2万kmも走らせた前オーナーは、とても立派ですね!
Text/古賀貴司(自動車王国)