原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年10月9日に発見したのは「トミーカイラM30Z」です。日産 フェアレディZ「300ZXツインターボ」(旧々型:Z32)をベースに最高出力が280psから350ps(AT車は330ps)までパワーアップされた公認チューンドカーです。バブル崩壊間近、過激なチューニングがもてはやされていた時代にしては“おとなしい”と分類されるでしょうが、それでも23年前の車両であることを考えれば十分過ぎるパワーだと言えます。

そもそもZ32は国産車として初めて最高出力280psをうたった車であり、当時の運輸省(現、国土交通省)の“指導”により300psでの発売ができなかったそうです(輸出用Z32は300psでした)。そんななか、M30Zが公認チューンドカーで堂々と「350ps」をうたうのは大変だったとか…。ボディは2シーターと、補助的な小型の後部座席がある2by2 Tバールーフの2種類を用意。この車両は後者で、オープンエアを楽しめます。

ビルシュタイン製のショックアブソーバーを備え、ステアリング、アルミホイール(この頃の3ピース鍛造17インチはかなりレア)、前後スポイラーなどはオリジナルパーツでまとめられています。ブレーキは当時の日産 スカイラインGT-Rから流用。4輪ステアリングシステム(4WS)は自然な操作を可能にするスーパーハイキャスで、ベース車両であるZ32のメカニズムを受け継いでいます。写真を見るかぎりではトミーカイラのマフラーはノーマルに取り換えられているようですね…。まぁ、これはじっくりオリジナルパーツを探すのも楽しいでしょうし、新たにあつえらえるのもイイかもしれません。

トミーカイラは過激さよりも、純正のような“大人っぽさ”が漂っています。公認チューンドカーはビジネス的に難しいのかなかなか新規参入もなく、トミーカイラは日本が誇る数少ないチューナーです。「スポーツカーに乗ろうと思う」というキャッチコピーで登場したZ32は、日本車史上最高峰に美しい“ワイド&ロー”スタイルだとさえいわれています。国産車で整備性よりもデザインを優先したなんて、後にも先にもこの車くらいです。そんなZ32のコンプリートカーを98万円で手にできるのは、めったにないチャンスだと思います! M30Z・・・、20台も生産されていないはずですから・・・。

Text/古賀貴司(自動車王国)

トミーカイラM30Z | オンリーワンを探せ
本体価格(税込)98.0万円
支払総額(税込)万円
走行距離 7.0万km
年式 1989(H1)年式
車検
整備
保証
地域大阪