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【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(後編)
【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(後編)
2021/06/14
みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。
前回は自動車業界の深刻な半導体不足がなぜ発生したかをお話ししました。
読者諸兄におかれましても工場の操業停止や納車の遅れなど、昨今の半導体需給に起因する諸問題をニュースで目にする機会も多いと存じます。もちろん、不肖フェルもその手の記事に目を通してはいるのですが、記者自身が本質を理解せずに書いているケースが多いので、妙に内容が薄かったりトンチンカンな視点で書かれていることが多いのが現状なのです。
前回の話をしっかり読んでいただければ、ニュースの捉え方も変わってくるはずです。
しかしまあ、このままだと自動車業界は当分明るい話がありそうにありません。そんなことでは身もふたもなくなってしまうので、今回の半導体大特集の最後は、西村編集長と自動車業界の未来について明るく楽しく、かつ少しだけ真面目に考えていこうと思います。
※この対談は2021年6月4日に行いました。
異業種メーカーが自動車を作るのは必然の流れ?
編集担当・大津 フェルさん、編集長。今回もよろしくお願いします。これまで2回にわたり、半導体とは何か、なぜ今自動車業界が半導体不足に苦しんでいるのかを伺ってきました。最後は、今後自動車業界がどうなっていくかをお二人の視点でお聞かせいただければと思います。
カーセンサー・西村編集長(以下、西村) まず、目先のことから考えると、いまの状況はいつ元通りになるのかが知りたいです。新車販売は将来の中古車流通量に直結するので、この状況が長引くと必ず中古車業界にも大きな影響が出てきます。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、フェル) いまの状況は本当に深刻です。報道では「今年後半に元通りになる」という意見が多いですが、現実問題、年内に元通りになるのは難しいでしょう。私は、みんなが欲しい半導体をちゃんと作れるようになるには来年いっぱいかかると見ています。
西村 そんなにかかりますか。本当に深刻ですね……。
フェル 半導体の世界では、例えばメモリーが足りなくなって価格が跳ね上がり、大増産をしたら今度は市場にダブついて在庫も増えてしまって価格が下落する。こんな堂々巡りを何度も何度も繰り返してきたんです。しかし、いまはずっと足りない。1年以上も半導体が足りなくなるなんて、人類が初めて経験する事態ですよ。
西村 そうなると、当然価格も跳ね上がりますよね。
フェル 前回話に出したTSMCは、今年の1月に製品を一律15%値上げしました。そして、今年の5月にまた一律15%値上げしました。ちなみに、4月には全従業員の給料を20%上げました。
西村 一律ですか! そんなすごいことがあるなんて。それにしても、半導体を多用した電子デバイスは、例えば、手巻き時計のような何十年もメンテナンスしながら大事に使い続けようというものではなく、世代が古いと有無を言わさず変えざるを得ないようなサイクルになる と思います。ということは、いまの供給不足、需要過多という状況は一過性のものではなく、今後も続いていくということですね。
フェル そのとおりです。
西村 おそらく、これからの車も様々な電子デバイスと同じようになっていくかもしれません。
フェル 車も含め、世の中の半導体の使用率はとめどもない状態です。本当に何もかもが電子化していきます。変な話、恋人との出会いだってそうなっていますよね(笑)。いまはまだはんこを押すために週に何度か出社している人も、今後はなくなっていくでしょう。
西村 リモートワークが進むと、ますます電子デバイスなしには考えられない世の中になりますね。当然、高性能な半導体の需要は今以上に増える。
フェル 車に目を向けると、ADASはもちろん、コネクテッド技術により車がいろいろなものとリンクする世の中がやってきます。
車とスマホをつなげる技術は今や当たり前。この先はより多くの電化製品と車がつながる日がやってくるかも(イメージ図)
西村 車単体でものを考えるのではなく、生活の中のひとつのピースとしてあらゆるものとかみ合っていく世の中がすでに始まっています。
フェル そして忘れてはいけないのが、自動車メーカーではなかったところが車を作る動きがあることでしょう。テスラはすでに量産車を販売していますし、アップルカーも様々な話が飛び交っていますよね。
西村 ソニーのVISION-Sはすでにその姿が世の中に公開され、公道での走行テストも行われています。
フェル これらもさることながら、車そのものではないけれども車の心臓部をつかさどる部分に参入しようという動きも活発です。有名なところでは、中国のファーウェイが自動車部品事業を強化するために様々な動きをしています。ファーウェイに関しては定期的に「自動車事業に参入するのではないか」といううわさが飛び交い、つい先月もそれを否定する声明を出したばかりです。
西村 EVが主流になり半導体をユニット化できると、これまでの常識では考えられなかったところが車を作ることもあり得るということですね。
フェル アメリカにはニコラという新興大型車メーカーもありますし、これからも新しい自動車メーカーが出てくる可能性は十分あるでしょうね。
機体は同じでもそれぞれの航空会社にファンがいる。車もそうなっていく!?
西村 MaaS(バスや電車からカーシェアまで、すべての交通機関をITでシームレスに結びつけるという概念)も盛り上がっていますよね。ただ、その議論の中でも動くものを作るのは特殊技術が必要だから、あくまで自動車メーカーが担うというのが3年ほど前まで主流でした。
フェル その議論も時代とともに変わっていくでしょう。
西村 異業種から参入してきた企業が完成車までは作らなくても、何割かはソフトウエアメーカーなどが作るようになる。提携か協業かの差はあるでしょうが、その流れはすでに見えてきています。
フェル そもそも、車業界に変革の波が押し寄せた初期の頃は、「EVなんて絶対に普及しない」という意見が主流でした。異業種から自動車業界に参入なんて話になると「車をナメるな」という話になる。自動車メーカーには何十年も積み上げたノウハウがありますからね。私は、これが両方とも否定され始めている流れを感じています。とくに、EVの時代はすぐ目の前までやってきているし。
西村 EVに関しては「EVだからこそできる自動車メーカーのアイデンティティは何か」という流れにシフトしてきています。
フェル なるほど。
西村 モーターは、出力の上げ下げを自由にコントロールできるじゃないですか。調理に例えると、かつてまきや炭で火を起こしていた世界からIHにまで進化し、どういう温め方をするのか、(火を使っているような)色の味付けをするのか、そういう部分で各社の個性が出る。
フェル 確かに!IHだと様々な部分にメーカー独自の考えを表現することができます。
西村 調理の時間だけでなく、掃除しやすい、壊れにくいというのもメーカーの個性です。どこでどんな表現をすると、そのメーカーらしさにつながるのか。EVはよく「自動車としての個性がなくなる」といわれますが、僕は逆にEVだからこそ自動車メーカーが自分たちらしさを打ち出す幅が広がると思うんですよね。
フェル なるほど! それはそのとおりですね。それをやらないと「みんな同じ電気自動車でしょ」と見向きもされなくなってしまいますからね。
西村 あるメーカーはデザインを際立たせるかもしれないし、別のメーカーはインテリアの質感を高めるかもしれない。走りで個性を出すのも、スポーツカーのような速さもあれば、エコな走りというアプローチもあるでしょう。そのコミュニケーションを各社が模索しています。
フェル 自動車自体もプラットフォームがメーカー間で共用され、空力性能を高めた結果形も同じようになってしまった。自動車の個性がどんどんなくなった中で、これからは新たな形で個性を表現できるようになる。楽しみですね。
西村 その表現が様々な半導体を使うことでベースアップできるようになる。他社より高性能な半導体を積むことで安全性をアピールしたり、快適性を高めたりできるようになる。まさに多様化ですね。逆に言うと、これまでの車のようにメガヒットしないとコストを回収できないような開発の仕方ではなく、先ほどフェルさんから教えてもらったようにいくつもの企業が分担して作っていくことで、可能性が大きく広がっていくのではないでしょうか。
フェル 目に見える機能だけでなく、性能面でもこれまでの自動車メーカーでは考えられなかったようなものが生まれる可能性もあります。
西村 開発も、これまでは自動車メーカーが一気通貫で行っていたものが、開発を分担することで時間もコストも抑えられるようになるかもしれません。そうすると、車がもっとおもしろくなるかもしれない。ポジティブな意味で業界の常識が変わっていくことを期待したいです。
フェル 進化の過程で“異種混入”はとても大切なことですからね。そろそろ、まとめに入れたらと思いますが、経済産業省は2030年代半ばまでに乗用車の新車販売で100%電動車にすると言っています。そのとき、西村編集長は車がどのようになっていると思いますか?
西村 間もなくEVの方がよりこだわったってブランドを打ち出すという時代がやってくると考えています。そうなると、どこかが思い切ったことをやって「これ、楽しいでしょう!」というものが必ず出てくるはず。ある意味、テスラはその先駆けだと思います。
フェル テスラはネガティブなこともいろいろいわれますが、なんだかんだですべてやり遂げちゃっていますからね。
西村 いまだとHonda eは「ホンダらしいEVの楽しさってこういうこと」というのを分かりやすい形で打ち出すことに成功していますよね。一方で、今のブランドの延長線上で電動化を進めているメーカーもあります。その意味では、極端にEVかクラシックカーかではなく、その間のグラデーションが埋まっていく感じになるのではないかと感じます。
ホンダが2020年に販売を開始した新型電気自動車「Honda e」。シンプルでモダンなデザインと、力強い走りが魅力的
フェル そうなると先ほども話があったように多様な個性が生まれて、車にそんなに詳しくない人は選ぶのが逆に大変になるかもしれない。
西村 だからこそ、カーセンサーをはじめとする自動車メディアは、人々が複雑すぎることで興味を失わないように、みんなが自分の好みで楽しめるものを選べるんですよということを接合し、購入後の未来を描いていくことが重要になるでしょうね。
フェル それができるメディアとできないメディアとで、勝敗は大きく分かれそうですね。自動車メーカーだけでなく、メディアのセンスもいま以上に問われる。
西村 航空業界だと、JALとANAは同じ飛行機を使いますが、JALが好きな人とANAが好きな人に分かれます。車もサービスの違い、搭載されるエンタテインメントシステムの違い、どんな形で家やスマホとつながるかということで好きなメーカー、好きなブランドに差が出てくるのかもしれません。
フェル それは分かりやすい! 飛行機はよほどマニアでもない限り、「俺は絶対に787がいい」という理由で航空会社を選びません。だからこそ、ソフトやサービスが重要になる。これからどんな時代がやってくるか楽しみです。ただ、私はその頃には免許返納の年齢になるので最後までスポーツカーの走りを楽しもうと思います(笑)。
文/フェルディナント・ヤマグチ 写真/ルノー、尾形和美
カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。
【関連リンク】
【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(後編)/旬ネタ
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<p>みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。<br />
<br />
前回は自動車業界の深刻な半導体不足がなぜ発生したかをお話ししました。<br />
<br />
読者諸兄におかれましても工場の操業停止や納車の遅れなど、昨今の半導体需給に起因する諸問題をニュースで目にする機会も多いと存じます。もちろん、不肖フェルもその手の記事に目を通してはいるのですが、記者自身が本質を理解せずに書いているケースが多いので、妙に内容が薄かったりトンチンカンな視点で書かれていることが多いのが現状なのです。<br />
<br />
前回の話をしっかり読んでいただければ、ニュースの捉え方も変わってくるはずです。<br />
<br />
しかしまあ、このままだと自動車業界は当分明るい話がありそうにありません。そんなことでは身もふたもなくなってしまうので、今回の半導体大特集の最後は、西村編集長と自動車業界の未来について明るく楽しく、かつ少しだけ真面目に考えていこうと思います。<br />
<br />
※この対談は2021年6月4日に行いました。<br />
</p>
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<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
<li> </li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65851.html" target="_blank">中編はこちら</a></li>
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<h3>異業種メーカーが自動車を作るのは必然の流れ?</h3>
<p><b>編集担当・大津</b> フェルさん、編集長。今回もよろしくお願いします。これまで2回にわたり、半導体とは何か、なぜ今自動車業界が半導体不足に苦しんでいるのかを伺ってきました。最後は、<b>今後自動車業界がどうなっていくかをお二人の視点で</b>お聞かせいただければと思います。<br />
<br />
<b>カーセンサー・西村編集長(以下、西村)</b> まず、目先のことから考えると、いまの状況はいつ元通りになるのかが知りたいです。新車販売は将来の中古車流通量に直結するので、この状況が長引くと必ず中古車業界にも大きな影響が出てきます。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェルディナント・ヤマグチ(以下、フェル)</spam> いまの状況は本当に深刻です。報道では「今年後半に元通りになる」という意見が多いですが、<b>現実問題、年内に元通りになるのは難しい</b>でしょう。私は、みんなが欲しい半導体をちゃんと作れるようになるには来年いっぱいかかると見ています。<br />
<br />
<b>西村</b> そんなにかかりますか。本当に深刻ですね……。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 半導体の世界では、例えばメモリーが足りなくなって価格が跳ね上がり、大増産をしたら今度は市場にダブついて在庫も増えてしまって価格が下落する。こんな堂々巡りを何度も何度も繰り返してきたんです。しかし、いまはずっと足りない。<b>1年以上も半導体が足りなくなるなんて、人類が初めて経験する事態</b>ですよ。<br />
<br />
<b>西村</b> そうなると、当然価格も跳ね上がりますよね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 前回話に出したTSMCは、今年の1月に製品を一律15%値上げしました。そして、今年の5月にまた一律15%値上げしました。ちなみに、4月には全従業員の給料を20%上げました。<br />
<br />
<b>西村</b> 一律ですか! そんなすごいことがあるなんて。それにしても、半導体を多用した電子デバイスは、例えば、手巻き時計のような何十年もメンテナンスしながら大事に使い続けようというものではなく、<b>世代が古いと有無を言わさず変えざるを得ないようなサイクルになる</b> と思います。ということは、いまの供給不足、需要過多という状況は一過性のものではなく、今後も続いていくということですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そのとおりです。<br />
<br />
<b>西村</b> おそらく、これからの車も様々な電子デバイスと同じようになっていくかもしれません。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 車も含め、世の中の半導体の使用率はとめどもない状態です。本当に何もかもが電子化していきます。変な話、恋人との出会いだってそうなっていますよね(笑)。いまはまだはんこを押すために週に何度か出社している人も、今後はなくなっていくでしょう。<br />
<br />
<b>西村</b> リモートワークが進むと、ますます電子デバイスなしには考えられない世の中になりますね。当然、高性能な半導体の需要は今以上に増える。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 車に目を向けると、ADASはもちろん、コネクテッド技術により車がいろいろなものとリンクする世の中がやってきます。<br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="日産 リーフ" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65852/A_001.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">車とスマホをつなげる技術は今や当たり前。この先はより多くの電化製品と車がつながる日がやってくるかも(イメージ図)</span></div>
<p><b>西村</b> 車単体でものを考えるのではなく、生活の中のひとつのピースとしてあらゆるものとかみ合っていく世の中がすでに始まっています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そして忘れてはいけないのが、<b>自動車メーカーではなかったところが車を作る動きがある</b>ことでしょう。テスラはすでに量産車を販売していますし、アップルカーも様々な話が飛び交っていますよね。<br />
<br />
<b>西村</b> ソニーのVISION-Sはすでにその姿が世の中に公開され、公道での走行テストも行われています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> これらもさることながら、<b>車そのものではないけれども車の心臓部をつかさどる部分に参入しようという動きも活発</b>です。有名なところでは、中国のファーウェイが自動車部品事業を強化するために様々な動きをしています。ファーウェイに関しては定期的に「自動車事業に参入するのではないか」といううわさが飛び交い、つい先月もそれを否定する声明を出したばかりです。<br />
<br />
<b>西村</b> EVが主流になり半導体をユニット化できると、これまでの常識では考えられなかったところが車を作ることもあり得るということですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> アメリカにはニコラという新興大型車メーカーもありますし、これからも新しい自動車メーカーが出てくる可能性は十分あるでしょうね。<br />
</p>
<h3>機体は同じでもそれぞれの航空会社にファンがいる。車もそうなっていく!?</h3>
<p><b>西村</b> MaaS(バスや電車からカーシェアまで、すべての交通機関をITでシームレスに結びつけるという概念)も盛り上がっていますよね。ただ、その議論の中でも動くものを作るのは特殊技術が必要だから、あくまで自動車メーカーが担うというのが3年ほど前まで主流でした。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> その議論も時代とともに変わっていくでしょう。<br />
<br />
<b>西村</b> 異業種から参入してきた企業が完成車までは作らなくても、何割かはソフトウエアメーカーなどが作るようになる。提携か協業かの差はあるでしょうが、その流れはすでに見えてきています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そもそも、車業界に変革の波が押し寄せた初期の頃は、<b>「EVなんて絶対に普及しない」</b>という意見が主流でした。異業種から自動車業界に参入なんて話になると「車をナメるな」という話になる。自動車メーカーには何十年も積み上げたノウハウがありますからね。私は、これが両方とも否定され始めている流れを感じています。とくに、<b>EVの時代はすぐ目の前までやってきている</b>し。<br />
<br />
<b>西村</b> EVに関しては「EVだからこそできる自動車メーカーのアイデンティティは何か」という流れにシフトしてきています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> なるほど。<br />
<br />
<b>西村</b> モーターは、出力の上げ下げを自由にコントロールできるじゃないですか。調理に例えると、かつてまきや炭で火を起こしていた世界からIHにまで進化し、どういう温め方をするのか、(火を使っているような)色の味付けをするのか、そういう部分で各社の個性が出る。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 確かに!IHだと様々な部分にメーカー独自の考えを表現することができます。<br />
<br />
<b>西村</b> 調理の時間だけでなく、掃除しやすい、壊れにくいというのもメーカーの個性です。どこでどんな表現をすると、そのメーカーらしさにつながるのか。EVはよく「自動車としての個性がなくなる」といわれますが、僕は逆に<b>EVだからこそ自動車メーカーが自分たちらしさを打ち出す幅が広がる</b>と思うんですよね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> なるほど! それはそのとおりですね。それをやらないと「みんな同じ電気自動車でしょ」と見向きもされなくなってしまいますからね。<br />
<br />
<b>西村</b> あるメーカーはデザインを際立たせるかもしれないし、別のメーカーはインテリアの質感を高めるかもしれない。走りで個性を出すのも、スポーツカーのような速さもあれば、エコな走りというアプローチもあるでしょう。そのコミュニケーションを各社が模索しています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 自動車自体もプラットフォームがメーカー間で共用され、空力性能を高めた結果形も同じようになってしまった。自動車の個性がどんどんなくなった中で、これからは新たな形で個性を表現できるようになる。楽しみですね。<br />
<br />
<b>西村</b> その表現が様々な半導体を使うことでベースアップできるようになる。他社より高性能な半導体を積むことで安全性をアピールしたり、快適性を高めたりできるようになる。まさに多様化ですね。逆に言うと、これまでの車のようにメガヒットしないとコストを回収できないような開発の仕方ではなく、先ほどフェルさんから教えてもらったようにいくつもの企業が分担して作っていくことで、可能性が大きく広がっていくのではないでしょうか。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 目に見える機能だけでなく、性能面でもこれまでの自動車メーカーでは考えられなかったようなものが生まれる可能性もあります。<br />
<br />
<b>西村</b> 開発も、これまでは自動車メーカーが一気通貫で行っていたものが、開発を分担することで時間もコストも抑えられるようになるかもしれません。そうすると、車がもっとおもしろくなるかもしれない。<b>ポジティブな意味で業界の常識が変わっていくことを期待したい</b>です。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 進化の過程で“異種混入”はとても大切なことですからね。そろそろ、まとめに入れたらと思いますが、経済産業省は2030年代半ばまでに乗用車の新車販売で100%電動車にすると言っています。そのとき、西村編集長は車がどのようになっていると思いますか?<br />
<br />
<b>西村</b> 間もなくEVの方がよりこだわったってブランドを打ち出すという時代がやってくると考えています。そうなると、どこかが思い切ったことをやって「これ、楽しいでしょう!」というものが必ず出てくるはず。ある意味、テスラはその先駆けだと思います。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> テスラはネガティブなこともいろいろいわれますが、なんだかんだですべてやり遂げちゃっていますからね。<br />
<br />
<b>西村</b> いまだとHonda eは「ホンダらしいEVの楽しさってこういうこと」というのを分かりやすい形で打ち出すことに成功していますよね。一方で、今のブランドの延長線上で電動化を進めているメーカーもあります。その意味では、<b>極端にEVかクラシックカーかではなく、その間のグラデーションが埋まっていく感じになるのではないか</b>と感じます。<br />
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<div class="taC w600_img mB10"><img alt="ホンダ Hondae" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65852/_34A6132.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">ホンダが2020年に販売を開始した新型電気自動車「Honda e」。シンプルでモダンなデザインと、力強い走りが魅力的</span></div>
<p><spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そうなると先ほども話があったように多様な個性が生まれて、車にそんなに詳しくない人は<b>選ぶのが逆に大変になるかも</b>しれない。<br />
<br />
<b>西村</b> だからこそ、カーセンサーをはじめとする自動車メディアは、人々が複雑すぎることで興味を失わないように、みんなが自分の好みで楽しめるものを選べるんですよということを接合し、<b>購入後の未来を描いていくことが重要になる</b>でしょうね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> それができるメディアとできないメディアとで、勝敗は大きく分かれそうですね。自動車メーカーだけでなく、メディアのセンスもいま以上に問われる。<br />
<br />
<b>西村</b> 航空業界だと、JALとANAは同じ飛行機を使いますが、JALが好きな人とANAが好きな人に分かれます。<b>車もサービスの違い、搭載されるエンタテインメントシステムの違い、どんな形で家やスマホとつながるかということで好きなメーカー、好きなブランドに差が出てくる</b>のかもしれません。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> それは分かりやすい! 飛行機はよほどマニアでもない限り、「俺は絶対に787がいい」という理由で航空会社を選びません。だからこそ、ソフトやサービスが重要になる。これからどんな時代がやってくるか楽しみです。ただ、私はその頃には免許返納の年齢になるので最後まで<b>スポーツカーの走りを楽しもう</b>と思います(笑)。<br />
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<div class="author2019">文/フェルディナント・ヤマグチ 写真/ルノー、尾形和美</div>
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<p class="katagaki">コラムニスト</p>
<p class="writername">フェルディナント・ヤマグチ</p>
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<p>カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。</p>
</div>
<div class="kijiyomu">
<p><a class="iconLink arrowRight" href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3141/">この人の記事を読む</a></p>
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<!--ライター紹介パーツ終了-->
<h3 class="link_tit">【関連リンク】</h3>
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<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65851.html" target="_blank">中編はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3172/" target="_blank">これまでの時事放談はこちら</a></li>
<li><a href="https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00105/00099/" target="_blank">西村編集長を取材した日経ビジネス電子版の記事はこちら(※外部サイトに遷移します)</a></li>
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<div class="taC w600_img"><img alt="フェルディナント・ヤマグチ" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65852/_no_name(1).jpg" width="600" /></div>
<p>みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。<br />
<br />
前回は自動車業界の深刻な半導体不足がなぜ発生したかをお話ししました。<br />
<br />
読者諸兄におかれましても工場の操業停止や納車の遅れなど、昨今の半導体需給に起因する諸問題をニュースで目にする機会も多いと存じます。もちろん、不肖フェルもその手の記事に目を通してはいるのですが、記者自身が本質を理解せずに書いているケースが多いので、妙に内容が薄かったりトンチンカンな視点で書かれていることが多いのが現状なのです。<br />
<br />
前回の話をしっかり読んでいただければ、ニュースの捉え方も変わってくるはずです。<br />
<br />
しかしまあ、このままだと自動車業界は当分明るい話がありそうにありません。そんなことでは身もふたもなくなってしまうので、今回の半導体大特集の最後は、西村編集長と自動車業界の未来について明るく楽しく、かつ少しだけ真面目に考えていこうと思います。<br />
<br />
※この対談は2021年6月4日に行いました。<br />
</p>
<ul class="Base_Templete_Link3">
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
<li> </li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65851.html" target="_blank">中編はこちら</a></li>
</ul>
<h3>異業種メーカーが自動車を作るのは必然の流れ?</h3>
<p><b>編集担当・大津</b> フェルさん、編集長。今回もよろしくお願いします。これまで2回にわたり、半導体とは何か、なぜ今自動車業界が半導体不足に苦しんでいるのかを伺ってきました。最後は、<b>今後自動車業界がどうなっていくかをお二人の視点で</b>お聞かせいただければと思います。<br />
<br />
<b>カーセンサー・西村編集長(以下、西村)</b> まず、目先のことから考えると、いまの状況はいつ元通りになるのかが知りたいです。新車販売は将来の中古車流通量に直結するので、この状況が長引くと必ず中古車業界にも大きな影響が出てきます。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェルディナント・ヤマグチ(以下、フェル)</spam> いまの状況は本当に深刻です。報道では「今年後半に元通りになる」という意見が多いですが、<b>現実問題、年内に元通りになるのは難しい</b>でしょう。私は、みんなが欲しい半導体をちゃんと作れるようになるには来年いっぱいかかると見ています。<br />
<br />
<b>西村</b> そんなにかかりますか。本当に深刻ですね……。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 半導体の世界では、例えばメモリーが足りなくなって価格が跳ね上がり、大増産をしたら今度は市場にダブついて在庫も増えてしまって価格が下落する。こんな堂々巡りを何度も何度も繰り返してきたんです。しかし、いまはずっと足りない。<b>1年以上も半導体が足りなくなるなんて、人類が初めて経験する事態</b>ですよ。<br />
<br />
<b>西村</b> そうなると、当然価格も跳ね上がりますよね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 前回話に出したTSMCは、今年の1月に製品を一律15%値上げしました。そして、今年の5月にまた一律15%値上げしました。ちなみに、4月には全従業員の給料を20%上げました。<br />
<br />
<b>西村</b> 一律ですか! そんなすごいことがあるなんて。それにしても、半導体を多用した電子デバイスは、例えば、手巻き時計のような何十年もメンテナンスしながら大事に使い続けようというものではなく、<b>世代が古いと有無を言わさず変えざるを得ないようなサイクルになる</b> と思います。ということは、いまの供給不足、需要過多という状況は一過性のものではなく、今後も続いていくということですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そのとおりです。<br />
<br />
<b>西村</b> おそらく、これからの車も様々な電子デバイスと同じようになっていくかもしれません。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 車も含め、世の中の半導体の使用率はとめどもない状態です。本当に何もかもが電子化していきます。変な話、恋人との出会いだってそうなっていますよね(笑)。いまはまだはんこを押すために週に何度か出社している人も、今後はなくなっていくでしょう。<br />
<br />
<b>西村</b> リモートワークが進むと、ますます電子デバイスなしには考えられない世の中になりますね。当然、高性能な半導体の需要は今以上に増える。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 車に目を向けると、ADASはもちろん、コネクテッド技術により車がいろいろなものとリンクする世の中がやってきます。<br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="日産 リーフ" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65852/A_001.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">車とスマホをつなげる技術は今や当たり前。この先はより多くの電化製品と車がつながる日がやってくるかも(イメージ図)</span></div>
<p><b>西村</b> 車単体でものを考えるのではなく、生活の中のひとつのピースとしてあらゆるものとかみ合っていく世の中がすでに始まっています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そして忘れてはいけないのが、<b>自動車メーカーではなかったところが車を作る動きがある</b>ことでしょう。テスラはすでに量産車を販売していますし、アップルカーも様々な話が飛び交っていますよね。<br />
<br />
<b>西村</b> ソニーのVISION-Sはすでにその姿が世の中に公開され、公道での走行テストも行われています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> これらもさることながら、<b>車そのものではないけれども車の心臓部をつかさどる部分に参入しようという動きも活発</b>です。有名なところでは、中国のファーウェイが自動車部品事業を強化するために様々な動きをしています。ファーウェイに関しては定期的に「自動車事業に参入するのではないか」といううわさが飛び交い、つい先月もそれを否定する声明を出したばかりです。<br />
<br />
<b>西村</b> EVが主流になり半導体をユニット化できると、これまでの常識では考えられなかったところが車を作ることもあり得るということですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> アメリカにはニコラという新興大型車メーカーもありますし、これからも新しい自動車メーカーが出てくる可能性は十分あるでしょうね。<br />
</p>
<h3>機体は同じでもそれぞれの航空会社にファンがいる。車もそうなっていく!?</h3>
<p><b>西村</b> MaaS(バスや電車からカーシェアまで、すべての交通機関をITでシームレスに結びつけるという概念)も盛り上がっていますよね。ただ、その議論の中でも動くものを作るのは特殊技術が必要だから、あくまで自動車メーカーが担うというのが3年ほど前まで主流でした。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> その議論も時代とともに変わっていくでしょう。<br />
<br />
<b>西村</b> 異業種から参入してきた企業が完成車までは作らなくても、何割かはソフトウエアメーカーなどが作るようになる。提携か協業かの差はあるでしょうが、その流れはすでに見えてきています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そもそも、車業界に変革の波が押し寄せた初期の頃は、<b>「EVなんて絶対に普及しない」</b>という意見が主流でした。異業種から自動車業界に参入なんて話になると「車をナメるな」という話になる。自動車メーカーには何十年も積み上げたノウハウがありますからね。私は、これが両方とも否定され始めている流れを感じています。とくに、<b>EVの時代はすぐ目の前までやってきている</b>し。<br />
<br />
<b>西村</b> EVに関しては「EVだからこそできる自動車メーカーのアイデンティティは何か」という流れにシフトしてきています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> なるほど。<br />
<br />
<b>西村</b> モーターは、出力の上げ下げを自由にコントロールできるじゃないですか。調理に例えると、かつてまきや炭で火を起こしていた世界からIHにまで進化し、どういう温め方をするのか、(火を使っているような)色の味付けをするのか、そういう部分で各社の個性が出る。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 確かに!IHだと様々な部分にメーカー独自の考えを表現することができます。<br />
<br />
<b>西村</b> 調理の時間だけでなく、掃除しやすい、壊れにくいというのもメーカーの個性です。どこでどんな表現をすると、そのメーカーらしさにつながるのか。EVはよく「自動車としての個性がなくなる」といわれますが、僕は逆に<b>EVだからこそ自動車メーカーが自分たちらしさを打ち出す幅が広がる</b>と思うんですよね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> なるほど! それはそのとおりですね。それをやらないと「みんな同じ電気自動車でしょ」と見向きもされなくなってしまいますからね。<br />
<br />
<b>西村</b> あるメーカーはデザインを際立たせるかもしれないし、別のメーカーはインテリアの質感を高めるかもしれない。走りで個性を出すのも、スポーツカーのような速さもあれば、エコな走りというアプローチもあるでしょう。そのコミュニケーションを各社が模索しています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 自動車自体もプラットフォームがメーカー間で共用され、空力性能を高めた結果形も同じようになってしまった。自動車の個性がどんどんなくなった中で、これからは新たな形で個性を表現できるようになる。楽しみですね。<br />
<br />
<b>西村</b> その表現が様々な半導体を使うことでベースアップできるようになる。他社より高性能な半導体を積むことで安全性をアピールしたり、快適性を高めたりできるようになる。まさに多様化ですね。逆に言うと、これまでの車のようにメガヒットしないとコストを回収できないような開発の仕方ではなく、先ほどフェルさんから教えてもらったようにいくつもの企業が分担して作っていくことで、可能性が大きく広がっていくのではないでしょうか。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 目に見える機能だけでなく、性能面でもこれまでの自動車メーカーでは考えられなかったようなものが生まれる可能性もあります。<br />
<br />
<b>西村</b> 開発も、これまでは自動車メーカーが一気通貫で行っていたものが、開発を分担することで時間もコストも抑えられるようになるかもしれません。そうすると、車がもっとおもしろくなるかもしれない。<b>ポジティブな意味で業界の常識が変わっていくことを期待したい</b>です。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 進化の過程で“異種混入”はとても大切なことですからね。そろそろ、まとめに入れたらと思いますが、経済産業省は2030年代半ばまでに乗用車の新車販売で100%電動車にすると言っています。そのとき、西村編集長は車がどのようになっていると思いますか?<br />
<br />
<b>西村</b> 間もなくEVの方がよりこだわったってブランドを打ち出すという時代がやってくると考えています。そうなると、どこかが思い切ったことをやって「これ、楽しいでしょう!」というものが必ず出てくるはず。ある意味、テスラはその先駆けだと思います。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> テスラはネガティブなこともいろいろいわれますが、なんだかんだですべてやり遂げちゃっていますからね。<br />
<br />
<b>西村</b> いまだとHonda eは「ホンダらしいEVの楽しさってこういうこと」というのを分かりやすい形で打ち出すことに成功していますよね。一方で、今のブランドの延長線上で電動化を進めているメーカーもあります。その意味では、<b>極端にEVかクラシックカーかではなく、その間のグラデーションが埋まっていく感じになるのではないか</b>と感じます。<br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="ホンダ Hondae" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65852/_34A6132.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">ホンダが2020年に販売を開始した新型電気自動車「Honda e」。シンプルでモダンなデザインと、力強い走りが魅力的</span></div>
<p><spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そうなると先ほども話があったように多様な個性が生まれて、車にそんなに詳しくない人は<b>選ぶのが逆に大変になるかも</b>しれない。<br />
<br />
<b>西村</b> だからこそ、カーセンサーをはじめとする自動車メディアは、人々が複雑すぎることで興味を失わないように、みんなが自分の好みで楽しめるものを選べるんですよということを接合し、<b>購入後の未来を描いていくことが重要になる</b>でしょうね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> それができるメディアとできないメディアとで、勝敗は大きく分かれそうですね。自動車メーカーだけでなく、メディアのセンスもいま以上に問われる。<br />
<br />
<b>西村</b> 航空業界だと、JALとANAは同じ飛行機を使いますが、JALが好きな人とANAが好きな人に分かれます。<b>車もサービスの違い、搭載されるエンタテインメントシステムの違い、どんな形で家やスマホとつながるかということで好きなメーカー、好きなブランドに差が出てくる</b>のかもしれません。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> それは分かりやすい! 飛行機はよほどマニアでもない限り、「俺は絶対に787がいい」という理由で航空会社を選びません。だからこそ、ソフトやサービスが重要になる。これからどんな時代がやってくるか楽しみです。ただ、私はその頃には免許返納の年齢になるので最後まで<b>スポーツカーの走りを楽しもう</b>と思います(笑)。<br />
</p>
<div class="author2019">文/フェルディナント・ヤマグチ 写真/ルノー、尾形和美</div>
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<p class="katagaki">コラムニスト</p>
<p class="writername">フェルディナント・ヤマグチ</p>
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<p>カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。</p>
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<div class="kijiyomu">
<p><a class="iconLink arrowRight" href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3141/">この人の記事を読む</a></p>
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<!--ライター紹介パーツ終了-->
<h3 class="link_tit">【関連リンク】</h3>
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<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65851.html" target="_blank">中編はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3172/" target="_blank">これまでの時事放談はこちら</a></li>
<li><a href="https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00105/00099/" target="_blank">西村編集長を取材した日経ビジネス電子版の記事はこちら(※外部サイトに遷移します)</a></li>
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<p>みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。<br />
<br />
「半導体の供給不足により自動車メーカーが工場の稼働を停止」というニュースをご覧になった方も多いでしょう。5月18日には、これまで供給網の整備などでこの状況をしのいでいたトヨタも6月に初めて国内工場の一時停止をするというニュースが流れました。<br />
<br />
1台の車は数万点にもおよぶ部品が組み合わさってできています。半導体はとても小さく、車に使われるのはどんなに大きくても数cmほどのサイズ。それでも、ひとつでも足りなければ車を製品として世に送り出せません。<br />
<br />
半導体不足という自動車業界を襲った深刻な問題。今回はその核心に迫ります。専門的な話も出てきますが、みなさんしっかりついてきてください。<br />
<br />
※この対談は2021年6月4日に行いました。<br />
</p>
<ul class="Base_Templete_Link3">
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
</ul>
<h3>グローバルで分業化が進んだ半導体業界</h3>
<p><b>編集担当・大津</b> フェルさん、編集長。今回もよろしくお願いします。前回は本題に入る前に半導体がどういうものなのかを読者の皆さんにも理解していただこうと、基礎的なお話を伺いました。いよいよ今回から、自動車業界で現在起こっている問題についてお話を伺えればと思います。<br />
<br />
<b>カーセンサー・西村編集長(以下、西村)</b> 車はスマホや家電などと比べて大きな製品だし、使う半導体の数も半端じゃないから、半導体メーカーにとっては上得意では? という感覚があります。実際、半導体業界ではどのような位置付けなのですか? 例えば半導体が使われている量だとか、半導体の供給先として自動車産業が占める割合などを教えてもらっていいでしょうか。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェルディナント・ヤマグチ(以下、フェル)</spam> 2020年の世界の半導体市場は4403億ドルでした。1ドル=109円で換算すると約48兆円ですね。その中で、車載の半導体は500億ドル。シェアは約11.4%です。<br />
<br />
<b>西村</b> 思ったよりも少ないですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 車には非常に多くの半導体が使われていますが、そのほとんどは何年も前に開発されて価格も十分下がったものになります。今、高度な半導体の需要は圧倒的にスマートフォンなんですよ。西村さん、大津さん、そして読者の皆さんにも半導体のことを学ぶうえで「TSMC」という会社を絶対に覚えておいてもらいたい。<br />
<br />
<b>西村</b> 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> TSMCは世界一の半導体受託生産会社です。半導体業界はグローバルで分業化が進んでいて、日本の半導体メーカーは最先端の半導体を製造していません。<b>高度な技術を要する最先端の半導体の多くをTSMCが生産を請け負っています。</b><br />
<br />
車載半導体はドイツのインフィニオン・テクノロジーズとオランダのNXPセミコンダクターズ、そして日本のルネサス エレクトロニクスが3大メーカーといわれています。<br />
<br />
半導体は中の線の幅が細いほど性能が高くなりますが、これらの会社も線幅が40ナノメートルより細いものの製造はTSMCに委託しています。<br />
<br />
<b>西村</b> それはなぜですか?<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 最も大きな理由は設備投資です。半導体の生産ラインを作るためには莫大な設備投資が必要で、高度なものになるほどその額も跳ね上がります。ハイエンドの半導体製造ラインだと一棟数千億円は必要になるでしょう。<br />
<br />
<b>大津</b> 数千億! それをいくつか作ったら兆の設備投資が必要ですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> だとしたら自前で作るのではなく受託生産の方が効率的であるという判断ですね。半導体メーカーの中には自社で一切製造ラインをもたないところもあります。<br />
このようなメーカーを“ファブレス”といいますが、ルネサスなどはミドルレンジまでを自身で製造し、ハイエンドの製品を外部に委託しているので“ファブライト”といわれています。<br />
<br />
<b>西村</b> なるほど。そして、その能力をもった会社に生産依頼が集中する構造になったわけですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> では、TSMCの売り上げの中で車載半導体のシェアはどれくらいか。大津さん、分かりますか?<br />
<br />
<b>大津</b> 半導体市場での車載のシェアが1割強ですから、同じくらいでしょうか。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> わずか4%です。しかも、それは車載の中では最先端ですが、TSMCが製造する半導体の中ではそこまででもない。いま、TSMCが作っている<b>超最先端の半導体は線幅が5ナノメートルのもの</b>になります。それを使うのはスマホなのです。<br />
<br />
<b>西村</b> 車載向けのものはどれくらいの線幅ですか?<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> スバルの新しいアイサイトには最先端の半導体が使われていますが、それも16ナノです。スマホより3倍も太い。しかも、半導体メーカーは車載向けに対して、その他の半導体の6倍のテストを行っています。<br />
<br />
<b>大津</b> 6倍も! それはなぜですか?<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> ひとえに、<b>車が人の命を預かる製品だから</b>です。万が一、走っている最中に半導体が原因でトラブルが発生したら、人の命が奪われる可能性だってありますよね。スマホは最悪壊れたとしても、人が死ぬことはありません。<br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="スバル アイサイトイメージ" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65851/2010LEV017(1).jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">スバルが最先端のテクノロジーを駆使して搭載した「アイサイト」は、自動車位置を正確に把握して複雑な道路情報まで認識する。この技術にも、もちろん半導体が欠かせない</span></div>
<p><b>西村</b> 確かに。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> テストに6倍の時間がかかるということは、その分コストもかかる。製造側の負担は非常に大きなものになります。それなのに、売り上げは全体のわずか4%しかない。<br />
<br />
<b>西村</b> そうなると半導体メーカーの立場で考えれば、値段は高いし手間もかからないからスマホ向けのものを作った方がいいとなります。<br />
</p>
<h3>コロナに停電、火災……。半導体業界を襲った悲劇</h3>
<p><spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そのとおりです。そして、ここからが悲劇の始まりの話になります。昨年からの新型コロナウイルスによるパンデミックで世界の自動車メーカーは需要が大幅に減ると判断し、注文していた半導体製造を大量にキャンセルしました。<br />
<br />
<b>西村</b> 突如キャンセルされた方はたまったもんじゃないですね。当然、他の業界へ営業をかける。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そのとき、TSMCの中で車載半導体のシェアは2%にまで落ちたそうです。<br />
<br />
一方で、同じ時期に巣ごもり需要でスマホやゲームPCをはじめとするハイエンドPC向けの半導体の注文が大量に入った。そのため、半導体メーカーはそちら向けの生産にシフトしました。一方、ふたを開けてみたら自動車はパンデミックの中でも思ったより需要が下がりませんでした。<br />
<br />
<b>西村</b> 日本でも公共交通機関を使うのが不安だからと、<b>これまで車は必要ないと考えていた人が車を買う</b>という現象も見られましたね。自動車業界は再び半導体を注文するけれど、半導体メーカーは生産体制をガラッと変えたからそれを急に戻すことができない。スマホやハイエンドPCの需要が減ったわけではないから。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 「は? 突然キャンセルして今さら再注文と言われたって対応できるわけないでしょう」というのが半導体メーカーの正直な気持ちでしょうね。それでも、なんとか頑張って戻そうとしていますが、先のTSMCでいえば、社内の比率はやっと3%になったくらい。コロナ前の状態にはまだまだ戻っていません。<br />
<br />
<b>西村</b> つまり、いまの状況は<b>たった1%元に戻っていないだけで起こっている</b>ということですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> そして、この状況に追い討ちをかけるように大問題が起こりました。<br />
<br />
<b>西村</b> それはなんですか?<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 先ほど名前を挙げたNXPとインフィニオンの車載半導体の工場はアメリカのテキサスにあります。今年の冬にテキサスが大寒波に見舞われて大停電が発生し、両社の工場は長期の生産停止を余儀なくされたのです。さらに、ルネサスは今年3月に茨城県にある那珂工場の生産ラインで火災が発生。やはり、こちらも半導体の製造がストップしました。<br />
<br />
<b>西村</b> 最先端の半導体だけでなく、大量に使う部分まで供給がストップした……。<br />
<br />
<b>大津</b> ルネサスの火災は日本の自動車メーカーなど取引先からの応援が入って、火災から1ヵ月で生産が再開し、5月末時点で9割弱まで生産能力が復旧したという報道がありました。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 実はルネサスの工場は東日本大震災のときにも完全に倒壊してしまい、このときも世界中の自動車メーカーが車を作れないという事態になったことがあります。その際、トヨタをはじめ日本の自動車メーカーが再建に向けて社員を大量に応援に出して、わずか半年で工場がフル稼働できるようになりました。<br />
</p>
<h3>半導体不足の影響で中古車の落札価格も上昇傾向に</h3>
<p><b>西村</b> もう少し話を掘り下げてもいいですか。半導体が不足しているという危機感とそれをすぐには補えないという事情はよく分かりました。この話は自動車メーカーが全体的に業績を下方修正するような話なのか、あるいは特定メーカーや特定の機能の部分に影響が出る話なのか。そのあたりはいかがでしょう。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> コロナ前だと<b>世界の自動車販売台数は年間9000万台強</b>でした。2021年の第一四半期では、半導体不足によって世界中の電動車が100万台減産されたといわれています。通年だと、300万台分の生産が遅れるのではないかという見方も出ています。<br />
<br />
<b>西村</b> なるほど。それはかなりの数です。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> TSMCは台湾にある会社ですが、実は今、台湾は深刻な水不足に陥っています。半導体は製造過程で大量の水を使うんですよ。<br />
それによって減産を強いられる事態も出ています。シェアが低いとはいえ、<b>この影響は自動車業界にも出てくるでしょう。</b>先ほど話した100万台、300万台という数字はあくまで電動車の数字です。普通の車にも半導体はたくさん使われているので、今年はかなり厳しいかもしれないですね。<br />
<br />
<b>西村</b> ちなみにいま、中古車まわりでは新車がお客さんのところに納車できないので下取り車が発生しないために、オークションに車が出てこなくて落札価格が上がっているという現象が出てきています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 新車がないから、中古車がたくさん売れてもうかるという単純な話ではないわけか。<br />
<br />
<b>西村</b> 業態にもよりますが、仕入れ値に影響が出ているので中古車だけが売れて、中古車業界がもうかるという単純な構図にはなかなかなっていないですね。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 仕入れ値が上がったからといって、すぐに売値に反映できるわけではない。<br />
<br />
<b>西村</b> それもありますし、あとは単純に商品を仕入れにくくなっているという状態だと思います。中古車マーケットの需要は盛り上がっていますが、すべての販売店がすべからく利益を上げているかというと、必ずしもそうではなくグラデーションがある状況でしょうか。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> なるほど。それは分かりやすい。<br />
<br />
<b>西村</b> コロナ禍になってからは、<b>世界中でハイエンドの車やスポーツカーの人気が高まっています。</b>どこかに行って何かを楽しむことができなくなった中で、ただ走るだけで楽しめる、あるいは1人でいじって楽しめる車が日本はもちろん、世界中で盛り上がっています。<br />
<br />
<spam class="text-bold-orange">フェル</spam> 日産のスカイラインGT-Rや80系スープラ、あるいは初代ロードスターなどは海外での人気もあって相場が高騰していますよね。私のポルシェも値段が上がらないかな。<br />
<br />
<b>大津</b> すみません。そろそろ中編のお話を終わりにしてもいいでしょうか。いまの半導体不足がなぜ発生したのか、それをすぐ解消できない理由は何かがよく分かりました。後編では半導体を軸にこれからの自動車業界がどうなっていくか、フェルさんの考えをぜひ聞かせてください! <br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="マツダ ロードスター" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65851/P1J16502l.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">世界中のファンから熱視線を集めているマツダ ロードスター(初代)。半導体不足によって中古車の価値も上昇する未来が来る?</span></div>
<p>(次回へ続く!)</p>
<div class="author2019">文/フェルディナント・ヤマグチ 写真/スバル、マツダ</div>
<!--ライター紹介パーツ開始-->
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<p class="katagaki">コラムニスト</p>
<p class="writername">フェルディナント・ヤマグチ</p>
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<p>カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。</p>
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<p><a class="iconLink arrowRight" href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3141/">この人の記事を読む</a></p>
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<!--ライター紹介パーツ終了-->
<h3 class="link_tit">【関連リンク】</h3>
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<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1585/_65850.html" target="_blank">前編はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_3172/" target="_blank">これまでの時事放談はこちら</a></li>
<li><a href="https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00105/00099/" target="_blank">西村編集長を取材した日経ビジネス電子版の記事はこちら(※外部サイトに遷移します)</a></li>
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<div class="taC w600_img"><img alt="キャンプ" data-credit="Photo AC" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65870/01.jpg" width="600" /><span class="CP_txt">▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「カーセンサー自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム</span></div>
<h3>アウトドアブームに符合する流行る車とは</h3>
<p>アウトドアがブームになって久しい。そんな最中に発生したコロナ禍は、密を避けながら楽しめるとあって、ブームをさらに後押しする形となった。<br />
<br />
今年のゴールデンウイークは混雑を警戒し休業したキャンプ施設も多かったが、営業していたキャンプ場には、にぎわっていたところもあったという。<br />
<br />
昨今のアウトドアの流行は、1990年前半以来の盛り上がりとあって、第2次ブームとも呼ばれている。<br />
<br />
その起源は、大規模な野外音楽フェスが定着したり、山ガールという言葉が流行語になったりした2010年頃と見るのが定説になっているようだ。<br />
<br />
ファッションにアウトドアの要素が取り入れられ、それに呼応する形でアウトドアメーカーが高品質で洗練されたギアを市場に投入したということも、第2次ブームを加速させた要因と考えられる。<br />
<br />
また、ソロキャンプやグランピングなどキャンプの楽しみ方が多様化。そうした“ひと味違う”スタイルがSNSや動画で拡散されることで、アウトドアの裾野が広がっている。さらに、アウトドア=“映える”という認知が広がる一方で、東日本大震災などの自然災害の経験から、サバイバルの一環としてアウトドア用品を揃えたり、スキルを身につけたりする人も増えいるようだ。<br />
<br />
このように、レジャーの領域を超えてライフスタイルまで浸透している点が、今回のアウトドアブームの特徴だろう。<br />
<br />
このアウトドアブーム、実は周期がクロカン・SUVの流行とシンクロしているのをご存じだろうか。第1次では、三菱 パジェロやトヨタ ハイラックスサーフなどの4WD車を筆頭とするRVブームが起こっていた。そして今回は、昨今のSUVブームと見事に重なっている。<br />
<br />
しかも、第1次のときに流行った4WD車は、本格的な悪路走破性を備えた非日常・脱都会なモデルが主流だったが、今流行のSUVは都会的なルックスだったり、コンパクトカーにSUVのエッセンスを加えたクロスオーバーだったりと、多様化している。<br />
<br />
つまり、車の傾向がそれぞれのアウトドアブームの特徴とどこかリンクしているようにも見える。<br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="カーセンサー自動車総研グラフ" data-credit="日刊カーセンサー" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65870/02.jpg" width="600" /></div>
<p>グラフ①をご覧いただこう。ここ数年、荷物がたくさん載せられる車に対する興味・関心が着実に上昇している。<br />
<br />
同様に、マルチルームとしても使える車への興味・関心も微増傾向にある(グラフ②)。これらのデータから、今後も多目的に使える広い車内のニーズが高まりそうだと予想される。<br />
<br />
昨今の過熱気味なアウトドアブームが続けば、たとえコロナ禍が終息したとしても、ゴールデンウイークのキャンプ場のようにキャパシティ不足となる懸念は拭いきれない。そうなれば、アウトドアから離脱する人が出てくる一方で、より先鋭化する人も増えてくるはずだ。<br />
<br />
その兆候はすでに見られており、キャンプを極めるために山林を購入したり、改造した1BOXなどで移動しながら暮らすバンライフにチャレンジする先駆者たちのSNSや動画に、多くのファンがついており、第2次アウトドアブームの新章の幕開けを予感させる。<br />
<br />
先のデータが示した多目的に使える広い室内空間をもつ車への興味・関心の高まりも、こうした流れと関係があるのかもしれない。<br />
<br />
第1次ブームとシンクロしたRVブーム終焉後に台頭したのは、「モノより思い出」というキャッチコピーで一世を風靡した日産 セレナをはじめとするミニバンだった。<br />
<br />
だが、今後はカヤックやSUPなど、人里離れた場所へアクセスできるツールを積めたり、絶景を求めて車中泊しながら移動できるような、規格外(エクストラ)の広さ(スペース)を備えた車(ビークル)=“XSV”に注目が集まる可能性大だ。<br />
</p>
<h3>予算100万円で買えるXSV(エクストラ・スペース・ビークル)3選</h3>
<p><b>1:トヨタ ハイエースバン(現行型)</b><br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="トヨタ ハイエースバン" data-credit="トヨタ" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65870/03.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">▲その広い室内空間とタフな性能から、ビジネスユースはもちろん、アウトドアの相棒としてもすっかり定着。カスタムパーツも豊富で、自分好みの1台に仕上げられるのもグッド!</span></div>
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<li><a href="https://www.carsensor.net/usedcar/search.php?STID=CS210610&FAIR=96835&fed=contnikkancs_20210616_oc20210616001to" target="_blank">総額100万円以下のトヨタ ハイエースバン(現行型)の中古車はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/catalog/toyota/hiace_van/F002/" target="_blank">トヨタ ハイエースバン(現行型)の詳しい情報はこちら</a></li>
</ul>
<p><b>2:日産 NV350キャラバン(現行型)</b><br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="日産 NV350キャラバン" data-credit="日産" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65870/04.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">▲ハイエースの牙城に切り込んだ日産渾身のバン。2012年6月のデビュー当初からアウトドア使いも積極的にアピールしていた。ハイエースとかぶりたくない人はこちらを!</span></div>
<ul class="Base_Templete_Link3">
<li><a href="https://www.carsensor.net/usedcar/search.php?STID=CS210610&FAIR=96836&fed=contnikkancs_20210616_oc20210616001to" target="_blank">総額100万円以下の日産 NV350キャラバン(現行型)の中古車はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/catalog/nissan/nv350_caravan/F001/" target="_blank">日産 NV350キャラバン(現行型)の詳しい情報はこちら</a></li>
</ul>
<p><b>3:スズキ エブリイワゴン(2代目)</b><br />
</p>
<div class="taC w600_img mB10"><img alt="スズキ エブリイワゴン" data-credit="スズキ" src="//wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_65870/05.jpg" width="600" /> <span class="CP_txt">▲軽1BOXの人気定番モデル。5ナンバーの乗用車ながら、室内アレンジの自由度が高いのが魅力。タフなアウトドア仕様や車中泊仕様など、カスタムを楽しむ人が急増中だ</span></div>
<ul class="Base_Templete_Link3">
<li><a href="https://www.carsensor.net/usedcar/search.php?STID=CS210610&FAIR=96837&fed=contnikkancs_20210616_oc20210616001to" target="_blank">総額100万円以下のスズキ エブリイワゴン(2代目)の中古車はこちら</a></li>
<li><a href="https://www.carsensor.net/catalog/suzuki/every_wagon/F002/" target="_blank">スズキ エブリイワゴン(2代目)の詳しい情報はこちら</a></li>
</ul>
<div class="author2019">文/編集部、写真/Photo AC、トヨタ、日産、スズキ</div>
<h3 class="link_tit">【関連リンク】</h3>
<ul class="Base_Templete_Link3">
<li><a href="https://www.carsensor.net/contents/tag/tag_2972/" target="_blank">この他の「カーセンサー自動車総研」記事はこちら</a></li>
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