ホンダ ヴェゼル▲モデル末期でも多くの人に選ばれていた初代ヴェゼル。旧型になっても魅力は色あせないどころか、「納車待ちがない」という新たな魅力が生まれた!

新型ヴェゼルの納車は当分先か

2021年4月23日、2代目となる新型ヴェゼルが発売された。

今年2月の発表でその姿が明らかになると、透明感のあるデザインや上質な雰囲気のインテリアに加え、搭載される最新のホンダセンシングとハイブリッドシステムで大きな注目を集めている。
 

ホンダ ヴェゼル ▲4月にデビューした新型ヴェゼル。販売直後にも関わらず、すでに納車待ちが発生

先代にあたる初代ヴェゼルも販売終了間際まで販売が好調だったこともあり、新型ヴェゼルには早くも月間目標販売台数を大きく上回るオーダーが入っているという。

さらに現在、世界的な半導体の供給不足により多くの自動車メーカーが減産を余儀なくされており、今後それがヴェゼルの生産台数に影響を及ぼすことも考えられる。

このような需要と供給のバランスから、今、新型ヴェゼルをオーダーしても納車は当分先、グレードによっては来年以降になるという状況なのだ。
 

ホンダ ヴェゼル ▲後ろから見るとリアが大きく傾斜したクーペのようなスタイルになっている。これは初代から採用されている形状だ

「コンパクトSUVが欲しくて、新しいヴェゼルを狙っていたのに……。そんなに待てない!」という人も多いだろう。

新型で大きく印象が変わったフロントマスクのデザインは、何物にも代えがたい! と考えているなら、残念ながら長い列に並び長期の納車待ちに耐えるしかない。そこまでのこだわりがあるなら、待っているのも恐らくワクワクした時間として楽しめるだろう。

しかし、なるべく早く車が欲しいから新型ヴェゼルはいったん諦めるものの、サイズ感や安全装備、そしてハイブリッドという条件は変えずに別の車を探そうと思ったなら、ぜひ注目してほしいモデルがある。

それは先代ヴェゼル後期型の、上級グレードである「ハイブリッドZ ホンダセンシング」だ。
 

「ハイブリッドZホンダセンシング」とはどんなモデルか?

ホンダ ヴェゼル ▲存在感あるヘッドライトやグリルの立体感により、SUVとしての力強さは初代の方が強調されているようにも見える

「型落ちモデルは、性能面で妥協する点が多いだろう」と思われがちだ。しかし、この初代ヴェゼルの「ハイブリッドZホンダセンシング」に関しては、そうとは言い切れない。

「妥協の度合い」は人によって異なりで数値化できるようなものでもないが、検討の価値は十二分にある。早速どのようなモデルなのか具体的に紹介したい。

2013年12月にデビューした初代ヴェゼルは、瞬く間に日本のコンパクトSUV市場をけん引するモデルになった。2014年の年間販売台数は9万5000台を超え、SUV販売台数No.1を記録。その後も売れ行きは絶好調だった。

新車は一般的にはモデル末期になると販売台数は減ってしまうことが多いが、ヴェゼルは2020年の年間販売台数が3万3000台近くと、文字どおりホンダの稼ぎ頭であり続けたのだ。
 

ホンダ ヴェゼル ▲インラインタイプのLEDヘッドライトで先進的なイメージが強調されている

2018年のマイナーチェンジで後期型に移行。バンパーやグリルデザインの変更、インラインタイプのLEDヘッドライトなどにより、初代のコンセプトである“SUVの力強さとクーペのあでやかさ”を融合したスタイリッシュなデザインが進化し、洗練されたイメージが一層強調された。

また性能面でも、ハイブリッドがチューニング変更されたことで加速が一層スムーズになるとともに、ブレーキフィールも改善されている。
 

ホンダ ヴェゼル ▲ブラウンでまとめられた「ハイブリッドZホンダセンシング」のインテリア

中でも上級グレードの「ハイブリッドZホンダセンシング」は、アルミホイールが17インチになり、LEDのフォグライトやボディサイド下部のガーニッシュで高級感を高めた外観となっている。

また、インテリアは専用色であるブラウンでシックにまとめられており、運転や移動の時間の満足度を引き上げてくれるだろう。
 

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)× 後期 × ハイブリッドZホンダセンシング × 全国

ハイブリッドZホンダセンシングでも十分満足できる理由

新型ヴェゼルは透明感のある雰囲気が魅力だが、そのデザインは初代のイメージを進化させたもの。初代の後期型も十分洗練されたデザインを採用しているので、古いモデルを買ったというネガティブなマインドにはなりづらいのではないだろうか。

サイズ感も大きく変わらない。新型の方が、後席のスペースを若干広くしているが、初代もコンパクトでありながら後部座席や荷室の広さには定評があったので、不便さはそれほど感じないだろう。
 

ホンダ ヴェゼル ▲5人乗車でも393Lのスペースが確保されている
ホンダ ヴェゼル ▲センタータンクレイアウトによる低床パッケージで、ミニバンに匹敵する空間を確保

ハイブリッドシステムは新型がほとんどのシーンをモーターで走るe:HEVなのに対し、初代はSPORT HYBRID i-DCDを搭載している。主役はエンジンだが、発進時や市街地でのクルージングではクラッチがエンジンを切り離してモーターのみで走行してくれるというものだ。

燃費はWLTCモードで新型が24.8km/Lなのに対し、初代は19.6km/Lと、その差は5.2km/Lだ。初代もSUVとしては、燃費性能はかなり高いといえる。

ちなみにガソリン代に換算をすると、年間5000kmの走行なら8023円、1万kmの走行なら1万6046円程度の差額になる計算だ。(1L=150円で換算。小数点以下切り捨て)

安全装備のパッケージであるホンダセンシングの機能は、新型が11種類なのに対し初代は8種類。新型はアダプティブクルーズコントロールに渋滞追従機能が備わるのが魅力だが、初代でも十分満足できる機能が盛り込まれている。搭載されるのは以下の機能だ。

■衝突軽減ブレーキ:先行車、歩行者、対向車との衝突を回避または被害軽減のための支援を段階的に行う機能。
■誤発進抑制機能:前方の障害物を検知してドライバーがアクセルを踏み込んだときの急発進を防止する機能。
■歩行者事故低減ステアリング:路側帯を歩く歩行者との衝突回避のための支援を行う機能。
■路外逸脱抑制機能:車が車線をはみ出しそうになったとき、車線内へ戻すように支援する機能。
■アダプティブクルーズコントロール:先行車との適切な距離を維持しながら追従走行する機能。
■車線維持支援システム:高速道路の白線を認識し、車線の中央付近を維持するようステアリング操作を支援する機能。
■先行者発進お知らせ機能:信号待ちなどの停車時に、先行車の発進を音とディスプレイ表示で知らせてくれる機能。
■標識認識機能:道路標識をカメラが捉えてディスプレイに表示し、注意を促す機能。
 

ホンダ ヴェゼル ▲2016年2月から8種類の先進安全装備を搭載

最後に価格だ。新型ヴェゼルを新車で買う場合、e:HEV Z(ハイブリッドの上位グレード)は車両本体価格が約289万円、乗り出しの価格は300万円を超えることになる。一方で、初代後期型の「ハイブリッドZホンダセンシング」は諸費用も含んだ総額で200万円から探すことができる。この差額は、先に挙げた燃費差を相殺して余りある金額だ。

繰り返しにはなるが、何より初代は納車待ちがないのが大きな魅力。今からじっくり探しても夏には新しい車を楽しむことが可能なのだ!
 

新車派も満足度が高い、高年式・低走行の中古車がたくさん!

初代後期型の「ハイブリッドZホンダセンシング」は、マイナーチェンジしたばかりのときに登録されたものがちょうど初回車検を迎えたタイミングだ。そういったこともあり、すでに流通量が350台近くある。
 

ホンダ ヴェゼル ▲人気のクリスタルブラック・パールも新型より安く買える

その中で走行距離が1万km以下の中古車も120台近く見つかった。この条件だと価格帯は車両本体価格で210万~290万円。予算230万円から買えると思っていいだろう。
 

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)× 後期 × ハイブリッドZホンダセンシング × 走行距離1万km以下

新車を検討していたなら、少しでも年式が新しい方がいいという人も多いはず。そんな高年式は2020年式以降に的を絞ってみよう。流通台数は約80台、価格帯は220万~290万円で見つけることができる。

この年式なら車検も2年前後残っている物件があるし、走行距離が10km前後の登録済未使用車を探すことも可能だ。
 

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)× 後期 × ハイブリッドZホンダセンシング × 2020年以降
ホンダ ヴェゼル ▲純正のインターナビはデジタル機器との連携も強化されている

200万円台後半の高価格帯の物件には純正のホンダインターナビが付いているものが多い。スマートフォンのように操作でき、購入後の満足度アップに大きく寄与すること請け合いだ。このナビが付いても新車より購入価格を抑えることができるので、ぜひ純正ナビ付きを探してみよう。
 

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)× 後期 × ハイブリッドZホンダセンシング × 全国

※記事内の情報は2021年4月19日時点のものです。
 

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/ホンダ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL