▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回はオンリーワンの車選びについて。発売中のカーセンサー本誌でも「人とかぶらない車」を特集▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回はオンリーワンの車選びについて。発売中のカーセンサー本誌でも「人とかぶらない車」を特集

消費の二極化によって進むオーダーメイド化の流れ

社会や経済、教育、医療など、様々なシーンで“二極化”という言葉が頻繁に使われるようになった。

身近なところでは、富裕層向けのと超高額な商品やサービスが次々に誕生しヒットする一方で、ファストファッションやファストフード、100円ショップといった低価格商品の需要と供給も拡大している現象、いわゆる消費とサービスの二極化もそのひとつと言えるだろう。

その背景やメカニズムに関しては専門家に譲るとして、ここでは二極化と合わせて語られることの多い、オーダーメイドの商品とサービスについて少し触れてみたい。

オーダーメイドの商品は、レディーメイド(既製品)のように大量生産できないため、生産コストはもちろん手間と時間がかかり、その分価格が高くなる。

したがってこうした商品やサービスは、富裕層をターゲットとしたものが多くなる。

衣類や宝飾品、インテリアなどでは伝統的だが、最近では旅行、医療、金融、トレーニングなど様々なジャンルに、オーダーメイドプログラムが導入されているのは、ご存じのとおりだ。

これは真性の富裕層だけではなく、アッパーミドルを含む中間層も、高級品とされる商品やサービスを消費する傾向、つまり二極化の流れを受けていると考えられる。

オーダーメイドの最大のメリットは、自分のニーズにマッチした消費やサービスを利用できる(作れる)ことだ。

そしてそれが一点物、オンリーワンで人とかぶらないものであるということも、愛着と満足感を喚起するポイントに違いない。

車の世界も例外ではない。

イギリスの高級車メーカーであるロースルロイスは、特注に対応するプログラム「ビスポーク」を用意する他、跳ね馬のエンブレムで有名なフェラーリも、専任デザイナーとともに自分だけのフェラーリを仕立てるパーソナリゼーションプログラムを設定している。
 

所得に関わらずオンリーワン消費は進むか

大衆車レベルでも、内外装色を選べるセミオーダーシステムを導入したモデルが存在したが、大きな反響を呼んだという評判はあまり聞いたことがない。

いくら世界にひとつだけの色の組み合わせであっても、大量生産されている車ではオンリーワン感が希薄なのかもしれない。

だが、ニーズはある。グラフ①にあるとおり、3割近くが誰ともかぶらない自分だけの車に乗りたいと思っている。

年代別では、若い世代ほどその傾向が強い(グラフ②)。

※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より
※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

資産の有無はさておき、自分の好みやライフスタイルにフィットしたオンリーワンの商品やサービスを求める昨今のトレンドが、この結果に反映されていると考えられる。

情報誌カーセンサーの2019年7月号では、人とかぶらない車として、流通量の少ない希少車を28モデル紹介した。

こうした車を手に入れることも、オンリーワン感を得るひとつの方法だ。

さらにオーダーメイド商品がもつ“フィット感”を求めるなら、古いモデルにコツコツ手を加えながら乗るというやり方もある。

二極化の流れを考えると、性能と品質、そして希少性を極限まで高めた富裕層向けオーダーメイドプログラムは、今後もさらに進化発展していくだろう。

と同時に、愛着と満足感に価値を置くオンリーワン消費への関心が、富裕層以外の幅広い層でもさらに高まっていけば、自分好みに育て上げる余地の残った古くて流通量の少ない物件に注目が集まるかもしれない。


希少性×育成で世界にひとつだけの車に!? 予算100万円で買えるオンリーワンモデル3選

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文/編集部
写真/トヨタ、マツダ、いすゞ