【インタビュー】カーセンサー認定車を検査している「中古車検査の匠」はどのようにして生まれるのか?
2016/06/07
研修で得た知識を元に現場で対応力を身につける
1台1台状態の違う中古車を公平で客観的に検査し、状態を表示している『カーセンサー認定』。一般の人には分かりにくい中古車の検査を行うのは、検査専門機関であるAISの検査員です。(カーセンサー認定の詳細は、ページ下部の関連リンク「カーセンサー認定について詳しくはこちら」をご覧ください)
どんな中古車でも正確に見極める“中古車検査の匠”はどのようにして生まれるのか。AISの石井さんに話を伺いました。
--AISの検査員は、どのようなトレーニングを経て現場に出るのですか?
「まず自動車の構造を頭に叩き込みます。車の構造は、外装パネルの内側に骨格という部分が重要となり、家で例えるなら柱の部分となりますが、メーカーはもちろん車種によっても異なります。それを徹底的に見て覚えるんです。車の骨格は、各パーツがスポット溶接という方法で組込まれていきます。極端な話、スポット溶接の数まで覚えていく感じですね。その後、内装や外装の状態表示トレーニングや修復歴の状態を的確に判断するためのトレーニングを行います。期間は最低でも6ヵ月くらい。一人前の「匠」検査員になるには2年以上かかりますかね。
--資格を取得し現場に出るようになると、トレーニングとは別の大変さが待っていると思います。検査で最も気をつけていることは何でしょう?
「評価に大きく関わる修復歴の有無を的確に判断することでしょうか。車の修復技術は日々進化しているため、検査員も修復方法をしっかり見極める必要があります。外的な要因から板金の修理跡や外装パネル交換跡などから『おや?』と思ったら時間をかけて骨格などを検査していく形ですね。検査員は修復の原因となる現場や修復過程を見てはおらず、あくまで目の前にある車からいろいろなことを判断します。だからこそどのような因果関係があって今の車の状態になっているかをイメージする力、どういう乗り方をされていたかを想像する力が必要になります」
--つまり状態の判断だけではなく、いろいろなケースでどのような修復が行われるかも理解していないといけない。膨大な知識と情報量が求められますね。
「そうですね。だから時間があるときは修理工場で車を直しているところを見せてもらったりもしますよ。私たちの仕事は『この車はいいよ、これはダメだよ』と話すことではなく、正確に評価点を付けることです。例えば評価点数が4点の車でも『これはどういう状態の4点なのか』、修復歴車なら『これはどういう状態か』を車に詳しくない人にも分かりやすく伝えなくてはなりません。ユーザーさんが買うときに判断しやすくなる材料を提供するのが使命だからこそ、客観的な視点が必要なんですよね」
--検査をするうえで大変なことはありますか?
「やはり雨や雪など悪天候での検査ですね。自分たちは雨合羽を着て作業すればいいので問題ないのですが、車体が濡れると細かいキズやへこみが見えづらくなるんです。でも公正な検査をする以上それらを見逃すわけにはいきませんので、濡れたところを拭き取りながら検査をしていきます。夏場は日差しが強く、車体色がパールホワイトも大変です。車体がレフ板のようになり、目がやられてしまうんですよ。また検査する車がどこに置かれているかは現場によって異なります。私たちは車の写り込みを利用してボディの板金跡などを見極めますが、目印が何もないケースも珍しくありません。そういう場合は自分の体で影を作ったり、雲を目印にしたりします。これらはマニュアルではなく自分の経験で見につけていくしかないんですよね」
ショールームで新型車の塗装の厚みをチェック!?
--円滑に検査を進めるために、日頃から多くの車を見たりするのですか?
「新しい車がどのようなボディラインをしているか、塗装の厚みはどれくらいあるかなどは覚えておくようにしています。私が検査員になり立ての頃は休日にショールームに足を運んで新しい車をチェックしたりしていました。装備などではなく塗装の厚みや骨格などを見ているのですから、お店は不思議がっていたと思いますよ(笑)」
--毎日多くの車を見ていると、街を走っている車も自然に目がいっちゃうものですか?
「信号待ち中に前を走る車の板金跡に目がいっちゃいます(笑)。車を見るときは自然に何かを探す癖がついてしまっているんですよ。完全な職業病ですね。友人は私に車を見せたがりません(笑)」
いかがでしたか? 技術を身につけるために特別な訓練をした検査員が、さらに現場で自分を磨き検査の精度を高めていることがお分かり頂けたと思います。みなさんが安心して車を比較できるカーセンサー認定、ぜひご利用してみてください!
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