今シーズン日産自動車大学校の学生たちが参戦するスーパー耐久シリーズは、残すところあと1戦。初参戦となったツインリンクもてぎ戦から菅生戦、岡山戦の3レースに参加した上級生3人、杉本雅信くん、丸山仁くん、湊真之介くんに、このプロジェクトに参加して感じたこと、レースの現場で学んだことを聞いた。

--まずはこのプロジェクトに参加した感想を教えてください
杉本 今まで体験したことのないプレッシャーがありました。とても大変でしたが、これ以上の責任感をもってできる仕事は他にないかもな、と感じました。

丸山 僕もすごく良い経験ができました。レースはたったひとつのミスでみんなの想いが壊れてしまう場所。精神的にとても疲れました(笑)。ただ一戦ごとにクルマが安定してきて、戦闘力があがっていく様子をナマで見ることができたので、参加したすべてのレースがとても印象に残っています。

 1戦目、2戦目、3戦目と自分に任せられることが増えていき、自分の成長を知ることができました。もともと話をするのがあまり得意ではなかったんですが、こういう場でも落ち着いて話ができるようになったことも大きな変化ですね。

--何故このプロジェクトに参加しようと思ったんですか?
杉本 もともとクルマ好きなんですが、レースは小さな頃から見てきました。学校に通いながらそんなレースに携われるなら、自分に何ができるかわからないけど参加してみたいと手を挙げました。

丸山 僕もこの学校に入ったきっかけがレースなんです。レース好きからクルマに興味がわいて、この学校に入りました。今回のプロジェクトはレースが好きな自分にとっては最高のチャンスだったんです。

 僕はレースのエンジニアって自動車整備士の中で頂点にいるような人たちだと思っているんです。そんな人たちの中で一緒に働ける、学べるということだったんで、絶対参加したいと思ったんです。

--実際にレースの現場でどんなことを学びましたか?
杉本 実習で触るクルマはお客様のクルマだと思ってやりなさいと言われてるんですが、インターンシップで実際にお客様のクルマに触れたときは全く違う緊張感がありました。今回、レーシングカーに触れたときはさらに気を使いました。このクルマは1台しかない、調整もコンマ何ミリという世界…最初は触るのが怖かったです。1台のクルマにどう向き合うべきか学べました。

丸山 レースメカニックの方から学んだことは、整備の技術だけでなく、社会でうまく仕事をやっていくためのコミュニケーションの大切さでした。レースの現場は、すごく努力している方々が集まっていることがわかりました。努力すれば結果が付いてくることも学べたので、自分も努力したいと思います。

 僕は1戦目、2戦目に参加したあとインターンシップがありました。実際に働く先輩たちの作業が早くて確実なことがわかりましたが、レースメカニックの作業がまるで神業のように見えました。結果が全てで、コンマ何秒を縮めるために整備、調整するんです。どこを調整すれば良いか瞬時にわかる。センスと経験がものを言うすごい世界なんだなと実感しました。

※カーセンサーS耐プロジェクトについて
若者の車離れを食い止めたい、そんな思いからKONDOレーシングを率いる近藤真彦監督と国家整備士を育成する日産自動車大学校のコラボレーションが実現し、学生達によるスーパー耐久シリーズ参戦が始まった。カーセンサーはこのプロジェクトに賛同し、今シーズン彼らのレース活動をサポートしている。

初参戦もてぎで近藤監督の話を聞く杉本くん。この日、学生たちは憧れのレース界に飛び込んだ

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ピット裏でボンネットの脱着を行っている秦くん。恐る恐るマシンに触れているのが表情でわかる

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インタビューに応じる秦くんと丸山くん。上級生は残り2戦を残し卒業、後輩が後を継いでいる

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