T 邸・G T- R の家 + 鶴田伸介
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2012/08/09
Made in Japanへのこだわり
匠が継承する日本独自の伝統的な工法とハイテク。これらを高度にバランスさせることで、住宅とクルマが共生する「GT-Rの棲む家」が創り出された
広大な和の空間とモノトーンで統一されたクールなガレージ
T邸の存在を知ったのは、建築家・鶴田伸介さんからいただいた内覧会のお知らせだった。そこには「GT-Rを格納するための……和のガレージハウス」と記してあった。このキャッチーな言葉に魅せられ、T邸をお訪ねした。
千葉県松戸市某所、自然の多い新興住宅街にT邸はあった。私鉄駅から徒歩5分程度という好立地にあり、敷地110坪という羨ましい環境。少し離れて観察するとフロアレベルが若干異なる平屋造りに見える。広いシャッター付きガレージを備えた豪邸という印象だ。「純和風の家で育ったTさんのために、和のテイストにしたかったのです。愛車とのマッチングを考えながらじっくり話し合いました」と鶴田さん。
さっそくガレージから。オーバースライダーがスルスルと開くと、外観の印象とは異なるクールで無機質な空間が現れた。黒系のタイルと打ちっ放しの壁面、そしてガンメタリックのGT-R。まさに男の空間だ。GT-Rの真上には「司令室」と呼ばれる書斎が設けられ、鉄製の階段で結ばれている。まるで戦艦内部のようだ。「GT-Rはヘビーデューティで、イタリアン・スポーツなどとは違うストイックさがあります。そこに日本人特有の美意識を感じたので、あえてメカニカルな空間に仕上げました」と、鶴田さん。
「あまり見えすぎず、たとえばゲストがトイレに向かう途中でチラリと見えるとか……」と、家の中からのGT-Rの見え方にもこだわっている。書斎からだけではなく、玄関脇の階段や和室に続く廊下からもGT-Rの一部を見ることができる。玄関から邸内に入ったゲストが、純和風の邸内とガレージとのギャップに気付くという小さなサプライズも、鶴田さんの作戦。
世界に誇るGT-Rは、じつに日本的なキャラクターをもつ。エクステリアデザインからは侍や刀というキーワードを連想させ、搭載されるテクノロジーには日本人特有の匠の技が凝縮されている。それらは、T邸と密接にリンクする。T邸のリビング&ダイニングは広大だ。柱が少ないので、実際のサイズ以上に広がりを感じる。庭側のひさし部分の張り出しから続く水平方向の梁により、強度が確保されているという。これを鶴田さんは「モノコック構造」と表現した。また、鶴田さんが手掛ける住宅では初めてという、全てをLED照明としている。
このように伝統的工法とハイテクとの組み合わせは、まさにGT-Rのキャラクターに合致する。
T邸・GT-Rの家
建築家・鶴田伸介
tel.03-3469-6773
所在地:千葉県松戸市 主要用途:専用住宅
構造:木造 敷地面積:370.14㎡ 建築面積:164.05㎡ 延床面積:250.79㎡
設計・監理:
熊工房/鶴田伸介
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村博道 photos / KIMURA Hiromichi
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】