どっしりとした安定感、セダンとは異なるスポーティな味つけ

(Tester/西川淳 Photo/篠原晃一)

コンセプト
国産最後の牙城、車好きの思いが届いたクーペ

日産 スカイラインクーペ フロント|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ リア|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ|ニューモデル試乗
とうとう国産唯一の本格2+2GTクーペとなってしまったスカイラインクーペ。最後の牙城を守ってくれ!という車好きの思いが通じたのか。相当に気合の入ったモデルチェンジとなった。セダンより低くワイドに構えたスタイリングで、先代のシンプルで古典的なクーペスタイルを踏襲しつつダイナミックさと精緻さを加えたのが特徴。全体の美しさはもちろんのこと、存在感や見映え質感も旧型を大きく上回っている。

新開発VVEL付き3.7LV6を搭載。3.5Lに比べて全域でトルクが増し、環境性能も向上。BMW335iに負けないパフォーマンスを目指した。5ATに加えて、6MT車も用意されている。2シーターのフェアレディZじゃ実用性がちょっと、というスポーツ派を狙った。

室内&荷室空間
内装はセダンに近いが、着座した印象は結構異なる

日産 スカイラインクーペ インパネ|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ フロントシート|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ リアシート|ニューモデル試乗
外観ではセダンとの共通性がほぼ皆無だが、インテリアの雰囲気はセダンとよく似る。シートやドアトリムこそ異なるものの、ダッシュボード回りが同じ意匠だからだ。ただし着座位置がセダンに比べて17mmも下げられているため、座ってみた印象はかなり異なる。

和紙調アルミトリムのカラートーンが明るくなるのもクーペの特徴。ボーズ製オーディオ(オプション)はスピーカーが1つ追加されて合計11個となり、運転席専用のサウンドモードが新たに加わった。

370万円見当の370GTをベースに、タイプP、S、SPというグレード展開。タイプS系にはセダンでも人気のアイテム、4WASが標準装備される。歩行者保護対策としてポップアップフードを採用。美しいカタチとの両立を実現した。

ドライブフィール
19インチタイヤを履くスポーツ系が好印象

日産 スカイラインクーペ 走り|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ アルミホイール|ニューモデル試乗日産 スカイラインクーペ ラゲージ|ニューモデル試乗
結論から言うと、19インチを履くモデルの完成度、バランスが最も好ましかった。セダンとは異なるチューニングの4WASは、広がったトレッドと大径タイヤの恩恵もあってか、セダンほどの違和感もなく、それでいて低速域での取り回しの良さや高速域での安定感など、メリットは変わらない。どっしりと落ち着いた走りをみせる。ちょっとBMWっぽい走り味だ。

期待の3.7Lエンジンだったが、過剰じゃないが十二分の値をキープするトルク特性もあって、スムーズで洗練された加速をみせてはくれるものの、ドキドキするようなパワフルさや官能フィールがない。そこが、ちょっと惜しい。セダンではタイプPが秀逸だったが、クーペは逆。18インチを履くPは少しバランスが崩れている。

こんな人にオススメ

クーペ絶滅の危機!クーペ大好き派としては、すべての人に勧めておきます。ムダを承知の美しさ。機能優先ではあり得ない存在感や贅沢さ。人や荷物をいっぱい積まなきゃ、という人以外、複数台所有できる余裕のある方には、一度でいいから乗ってほしいな。あとは、やっぱりガイシャ派ですね。パフォーマンスでも負けてません。
主要諸元のグレード 370GTタイプSP
駆動方式 FR
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4655×1820×1390
ホイールベース(mm) 2850
車両重量(kg) 1660
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3696
最高出力[kW(ps)rpm] 245kW(333ps)/7000rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 363N・m(37.0kg-m)/5200rpm
10・15モード燃費(km/L) 8.9
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/80
車両本体価格 370GTタイプSP 447万3000円
370GTタイプP 401万1000円