インフィニティ Q50 ハイブリッド|海外試乗

日本導入時には新型スカイラインとなるアメリカのインフィニティ Q50。間近に迫る日本導入を控え、アメリカでハイブリッドモデルに乗ることができた。これからの日産を象徴するデザインと圧倒的なパフォーマンスは、日本仕様のスカイラインへの期待を一層高めるものだった

存在感、高級感を増す次期スカイライン

温良にして流暢なデザインで勝負

高級ブランドとして1989年に立ち上げられた「インフィニティ」のアッパーミディアムセダンを担うモデルである。まだ11月初旬の段階では正式にはアナウンスされていないが、日本では新型「スカイライン」となるモデルだ。

スカイラインは先代のモデル辺りからかなり高級感が増した。それはインフィニティという高級ブランドらしい質感に留意してデザインと生産のクオリティの向上を図った結果である。では次期スカイラインはどうであろう。

サイズはヨーロッパ勢のアウディA4、BMW3シリーズよりも大きい。勿論レクサスISよりもだ。恐らくそれ以上の存在感を示し、バリューを持ってアピールする戦略なのであろう。実際に目の前にあると存在感はなかなかのものだ。

昨今の高級ブランドモデルでは、実際の大きさに対して小さく見せようとするデザインが多いが、日産はアメリカマーケットを意識した少し違うアプローチをしてきた。

何よりも実質的で堂々とした雰囲気を大切にしており、スマートでエッジの効いたプレスラインよりも流暢なデザインで勝負している。

内装は細いAピラーをもって視認性が考慮されている。エクステリアと協調を持ったインテリアは、そのセンターコンソールからドライバー志向なのがよく分かるデザインとなっている。スポーティな要素のひとつであろう。

驚くべきその加速力

試乗は簡易的なジムカーナコースで行われた。スタートラインに着き、シグナルがブルーに変わった瞬間フラットアウトで加速した。

そこでの加速には本当に驚いた。基本的なシステムはフーガHVと同様だが速い! エンジントルクがマキシマムへ上がっていくところを、モーターで押すような、トルクの谷を作らないような制御の恩恵によるものだ。

ブレーキングからステアリングを切り込んだ時の挙動も重さを感じず、まさにスポーツセダンである。出で立ちからは想像し難いスポーティーさである。

フラットな路面だったこともあって、乗り心地については日本でアナウンス後に改めて報告することにして、1.7トンのセダンとは思えないハンドリングであった。

ブレーキのフィールもリニアに努めHVとして悪くはない。とはいえ一つだけ苦言を申せば、エンジン音が気持ち良くなくスポーティーな雰囲気にはなれないということだ。

エンジンの性能としては申し分ないのだから、もう少し修正して他のモデルと共用すればそれほどコストは上がらないと思うのだが。

とにかく、まもなく出る新型「スカイライン」を期待して待ちたい。

低い位置にあるヘッドライトとフロントグリルからボンネットに流れるラインで、低い身構えを演出。スカイラインらしさを感じるポイントだ

低い位置にあるヘッドライトとフロントグリルからボンネットに流れるラインで、低い身構えを演出。スカイラインらしさを感じるポイントだ

ドライバーオリエンテッドと呼べるセンターコンソールのデザイン。高級感の中にもスカイラインらしいスポーティさがちりばめられている

ドライバーオリエンテッドと呼べるセンターコンソールのデザイン。高級感の中にもスカイラインらしいスポーティさがちりばめられている

エンジン出力296馬力、モーター出力67馬力でシステム出力は354馬力となる。スタイリングと同様にスペックもスポーティさを醸す

エンジン出力296馬力、モーター出力67馬力でシステム出力は354馬力となる。スタイリングと同様にスペックもスポーティさを醸す

Tester/松本英雄 Photo/日産