日産 GT-R|ニューモデル試乗

内外装の仕立てといい、パフォーマンスといい、はっきり言ってサーキット専用。ナンバーを付けて公道を走っていいというだけの車を、選択する人のワガママ純度100パーと言わずして何と言う? 逆に標準仕様のRは、かなりワガママ度が減ってフツウの車に。時代を感じる

サーキットの近くに住んでみたくなる

GT路線とレーシング路線の追求

今回のイヤーモデル、もちろん注目はニスモだったわけだが、個人的には全く違うポイントに注目していた。それは、人。そう、R35GT-Rといえば水野和敏率いるユニーク組織内組織による傑作だ。そして、今年はじめ、ボスの電撃退職が発表され、GT-Rは一瞬、宙ぶらりんになった。春、後を引き継いだのが、田村宏志。R34GT-R最後の開発責任者であり、熱烈なR32GT-Rオーナーとしても斯界に知れ渡る人物である。短い時間で、彼はいかにGT-Rを再調理したのか?

まずは規定路線、という大方の予想をあざ笑うかのように、彼の打ち出した戦略は明白だった。GT路線とR(レーシング)路線の追求。結果、後者として誕生したのがニスモであり、スタンダードモデルは前者を目指して“フツウ”のハンドリングテイストをもつ車に生まれ変わった。良し悪しは、好みの問題だ。

ニスモの強烈パフォーマンスは圧巻のひと言

というわけで、サーキットのちょい乗りだったけれども、ニスモの強烈パフォーマンスは圧巻のひと言だった。

何と言っても驚いたのは、激っぱやの発進加速とウルトラフラットな高速コーナーの安定感の2つ。強力無比で操りやすいブレーキ性能と相まって、小さなサーキットでもぎくしゃくすることなくスムースに駆け抜ける。これは、無敵。

ちなみに、スタンダードモデルに関しては、ニスモとまるで真逆のテイストで、ノーズの出し入れがくっきり鮮明に分かる前アシのセッティングになっていた。乗り心地もずいぶんとカドが取れている。

ちなみに、ニスモのさらに上、ニュル仕様は、もう少し“柔らかい”らしい。

スタンダードモデルは安定性と乗り心地を高めるため、サスペンションやステアリング、ブレーキのチューニングがされている

スタンダードモデルは安定性と乗り心地を高めるため、サスペンションやステアリング、ブレーキのチューニングがされている

ステアリングやコンビメーターをはじめニスモ専用パーツを多数採用。レカロ製となるカーボンバックバケットシートも備えた

ステアリングやコンビメーターをはじめニスモ専用パーツを多数採用。レカロ製となるカーボンバックバケットシートも備えた

エンジンはレースモデルGT3に使われているタービンの装着や加圧式リザーバータンクなど、ニスモ専用チューニングが施された

エンジンはレースモデルGT3に使われているタービンの装着や加圧式リザーバータンクなど、ニスモ専用チューニングが施された

SPECIFICATIONS

グレード NISMO
駆動方式 4WD
トランスミッション 6DCT
全長×全幅×全高(mm) 4680×1895×1370
ホイールベース(mm) 2780
車両重量(kg) 1720
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V6DOHCターボ
総排気量(cc) 3799
最高出力[ps/rpm] 600
最大トルク[N・m/rpm] 652
車両本体価格(万円) 1501.5
Tester/西川淳 Photo/篠原晃一