▲一応はリアシートもあるし、実用性は低くはない。とはいえ、そのステアリングを握ったら間違いなく誰だって、目の前のコーナーをいかに攻略するかに夢中になってしまうはず。それはもうワガママな1台であることは間違いない ▲一応はリアシートもあるし、実用性は低くはない。とはいえ、そのステアリングを握ったら間違いなく誰だって、目の前のコーナーをいかに攻略するかに夢中になってしまうはず。それはもうワガママな1台であることは間違いない

立派になっても“まさしくロータス”

個人的には久しぶりの対面となったロータス エヴォーラ。最新のエヴォーラ400は今風のエアロトリムをまとい、従来より56psアップ、車名のとおり400psを超える最高出力406psのV型6気筒3.5Lスーパーチャージド・ユニットを積む。

正直、内外装はずいぶん立派になり、そのぶん他と比べて極端に軽いわけでもなくパワーアップで速さを稼ぐロータスなんて、どうなの? という思いもあったのだが、いざワインディングロードを走らせてみたら唸らされた。その走りはまさしくロータス。しかも進化した形が、そこに具現化されていたからだ。

まず何より好印象だったのがシャシーで、普通にステアリングを切るだけでも十分よく曲がるのだが、それならと攻めればさらにグイグイと曲がり出して、気分をより一層鼓舞してくる。コーナーに車体を放り込むように飛び込んでいくぐらいでちょうどいい、この軽さ感は、まさにロータス。車重1.4tもあるのに!

やみくもにエンジンパワーを上げているわけではなく切れ味バツグン。ターボじゃなくスーパーチャージャーを使っているのは、なるほど……さすがの見識である。そんなエンジンなので6ATも悪くないが、オススメはやはり6MT。車との一体感は凄まじいほどだ。

絶対性能は向上していて、事実とても速い車だが、ロータスとして守らなければならない掟は、しっかり継承されている。久しぶりにイギリスの走りの職人たちの巧みな技に触れて、サイコーに楽しい気分になれたのである。

走りに真剣に向き合う週末を過ごしたいという人なら、エヴォーラ400を見逃していては損というものだろう。

▲2/3以上の装備を一新、22kgの軽量化も実現した。外観はより低くワイドな印象に仕立てられた ▲2/3以上の装備を一新、22kgの軽量化も実現した。外観はより低くワイドな印象に仕立てられた
▲サイドシルは横幅43mm、高さ56mm狭くなり乗降性が向上。後席幅も280mm広がった ▲サイドシルは横幅43mm、高さ56mm狭くなり乗降性が向上。後席幅も280mm広がった
▲スーパーチャージャー強化や新インタークーラーなどにより出力向上。マウントも5.6kg軽量化 ▲スーパーチャージャー強化や新インタークーラーなどにより出力向上。マウントも5.6kg軽量化

【SPECIFICATIONS】
■グレード:EVORA400 ■乗車定員:4名
■エンジン種類:V6DOHCスーパーチャージャー ■総排気量:3456cc
■最高出力:406/7000[ps/rpm]
■最大トルク:410/3000-7000[n・m/rpm]
■駆動方式:MR ■トランスミッション:6MT
■全長×全幅×全高:4390×1850×1240(mm) ■ホイールベース:2575mm
■車両価格:1355.4万円

text/島下泰久
photo/向後一宏