第14回:『チェンジング・レーン』 【映画の名車】
カテゴリー: トレンド
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2008/04/22
スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!
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■M・ベンツとカローラが接触! 2人の男の人生が大きく狂い始める
車に乗っている限り、誰しもが常に交通事故の当事者になる可能性を秘めている。細心の注意を払って安全運転を続けていても、避けられない事態も起こりうるのだ。そして時には、人生の軌道を大きく変えてしまうことも…。『ノッティングヒルの恋人』で一躍名を成したロジャー・ミッチェル監督がメガホンをとった2002年公開の『チェンジング・レーン』は、それまでなんの接点もなかった2人の男が交通事故をきっかけに人生を狂わせていく骨太のサスペンスだ。舞台はニューヨークのハイウェイ。弁護士のギャビン(ベン・アフレック)は重大な案件のために愛車のM・ベンツで裁判所へ急いでいた。一方、隣の車線をカローラで走る保険営業マンのドイル(サミュエル・L・ジャクソン)も同じ裁判所を目指していた。酒乱が要因で妻子と別居中だったが、断酒会への参加を通して立ち直り、親権をめぐる裁判出廷へ向かっていたのだ。
だが、渋滞に焦れたギャビンが突然車線変更をしたため、ドイルのカローラと接触事故を起こしてしまう。すぐさまベンツを停車し、自分の非を認めたギャビン。しかし、裁判の時間を気にしてドイルが申し出た示談の手続きを踏まずに、白紙の小切手を一方的に押し付け、あまつさえ、「ツイてなかったな!」と捨てゼリフを残して去ってしまう…。
ここから物語は急坂を転げ落ちるように暴走を開始。きっかけはギャビンが事故現場に忘れていったオレンジ色の重要ファイル。裁判に勝利するため、ドイルからファイルを取り戻そうと躍起になるギャビン。一方、事故のせいで裁判に20分遅刻し、親権を失ってしまったドイルは簡単には渡さない。ほんの数時間前まではなんの接点もなかった男同士が丸一日、壮絶な泥仕合を繰り広げていく。
ただし、血で血を争うバイオレンスアクションというわけではない。片や白人の若い辣腕弁護士、片や黒人の中年保険営業マンというクッキリとした対比構図ではあるが、2人とも根は温厚な一般市民なのだ。思い切った手段に出るたびに、やりすぎてしまったと瞬時に後悔する。だが、後戻りはできない。悪夢を見ているかのような報復合戦の先には意外な結末が待ち受ける…。
しらけてしまうようなご都合主義や破綻がほとんどなく、極限まで余分な脂肪を削ぎ落とした脚本、演出、編集に感服しきり。小品ながら、近年のハリウッドが量産する大味なサスペンスアクションとは一線を画する佳作だ。なんとも考えさせられるほろ苦い後味を、ぜひご堪能いただきたい。
(c) 2003 BY PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
DVD『チェンジング・レーン:スペシャル・コレクターズ・エディション 』発売中 02年・米 監督=ロジャー・ミッチェル 出演=ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、 トニー・コレット、シドニー・ポラックほか 販売元:パラマウント ジャパン 1,575円(税込)
+++映画に登場する車たち+++
■M・ベンツ CLK320スポーツライン
ベン・アフレック演じる鼻持ちならない29歳の辣腕弁護士、ギャビンの愛車はシルバーのメルセデス・ベンツCLK320スポーツライン。SLKクラスと同様、Cクラスとプラットフォームや内装を共有する派生車両だ(フロントマスクはCLK専用)。この高級車で強引な車線変更を敢行し、カローラにぶつけたために、ギャビンのとんでもなく長く辛い1日がスタートするのだ。
■トヨタ カローラ(E90系)
※写真は国産モデルのものです
名優サミュエル・L・ジャクソンが扮するドイルの愛車は、フロントにTOYOTAマークが付いているカローラ(E90系・北米仕様)。1987年から1991年まで販売されたE90系は、手ごろな価格の大衆車として愛され、バブル景気とあいまって国内外で大ヒットをとばした。だが、映画の公開された2002年にはすでに2代前の型落ちであり、ドイルのカローラも10年モノの中古車という風情。ピカピカのM・ベンツにぶつけられてクラッシュしたヨレヨレな姿を見ると、日本人としてはちょっと物悲しい気分になります。日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
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