スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

CG、ワイヤー、スタント一切ナシ! 生身のアクションを堪能せよ

今回紹介するのは、2004年公開のフランス映画『アルティメット』。あのリュック・ベッソンがプロデュースと脚本を手がけた怒涛の肉体派アクションムービーだ。

舞台は近未来のパリ。手がつけられぬほど荒廃が進み、ついには壁で覆われてしまったバンリュー13地区で暮らす青年レイト(ダヴィッド・ベル)は、ドラッグを一掃するために孤軍奮闘していた。だが、街を牛耳るタハ(ラルビ・ナセリ)の怒りを買い、黒い初代インプレッサ(GC8型)を乗り回すタハの片腕K2(トニー・ダマリオ)に妹を拉致されてしまう。

一方、潜入捜査官のダミアン(シリル・ラファエリ)は、「タハ一味に奪われた時限爆弾を見つけ出し、起爆を阻止せよ」との命を受ける。時限爆弾はすでにバンリュー13に運び込まれている。素性を隠して壁の向こうを熟知したレイトをパートナーにつけようと画策するダミアン。爆発までのタイムリミットが迫ってくる。

…とまあここまで通り一遍のストーリー紹介をしたものの、サスペンス部分はあくまで記号でしかなく、映画の主目的はCGやワイヤーどころか、スタントさえも一切使用しない超ド迫力のアクションを見せつけることにある。

多勢に無勢をいかに乗り切るか、という古典的な構図をベースに、冒頭からひたすらラン&ジャンプを繰り返すのだが、これがもう圧巻。あらゆる小道具を使って敵を翻弄し、階段から階段、ビルからビルへと飛び移り、絶体絶命かと思われる室内でも、「こんなところから!」というような脱出経路を見つけ出して針の穴を抜けるが如く鮮やかに姿をくらますのだ。

中盤以降はこれを2人の役者が息をピッタリ合わせてやってくれるのだから、口をあんぐりあけて観ているほかない。よくもまあ、生きてクランクアップを迎えられたものだと感心するばかりである。復讐のストーリーであっても、まったくドロドロした部分がないのも◎。85分間でスパッと終わるし、気分が落ちているときにオススメの爽快な一本だ。

アルティメット|映画の名車
(C)2004 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION.
DVD『アルティメット(Blu-ray Disc)』発売中 04年・仏 製作・脚本=リュック・ベッソン 監督=ピエール・モレル 出演=ダヴィッド・ベル、シリル・ラファエリ、ビビ・ナセリ、トニー・ダマリオほか 販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 4,980円(税込)

+++映画に登場する車たち+++

スバル インプレッサSTI

スバル インプレッサSTI|映画の名車
※劇中の車はかなりスポコン仕様のため、グレード等が不明。ここでは初代インプレッサの中からSTiを紹介しておきます

冒頭、ギャング集団タハ一味の若頭K2が、ドラッグを奪ったレイトを襲撃すべく、黒いインプレッサ(GC8型)で乗りつける。これがギャングの愛車とは思えぬスポコン仕様で、かなりシブい。インプレッサはレガシィの下位モデルという位置づけで、特に欧州におけるCセグメント市場を狙ったスバルの世界戦略車としての役割も担った。GCは初代モデルで1992年から2000年まで販売された。果たして妹をK2にさらわれたレイトは、単身でタハ一味のアジトに乗り込む。


Text/伊熊恒介