クーペのようなハッチバックは“スタイル買い”しても間違いはない

  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック(ラリーアート) フロントスタイル|ちょい乗り試乗
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック(スポーツ) リアスタイル|ちょい乗り試乗
三菱から登場したギャランフォルティスの派生車、スポーツバックの試乗会に行ってきました。
ライバルとされるスバル インプレッサがハッチバック→セダン(アネシス)と世に出たのとは対照的に、こちらはセダン→ハッチバックという順番。
インプレッサの場合、スポーツモデルといえばハッチバックのWRX STIですが、こちらは既にセダンでランサーエボリューションXがあります。つまり今回のスポーツバックは、戦闘性を高めるためのハッチバック化ではないのです。

今回登場したスポーツハッチバックの狙いは、欧州で大きなシェアを占めるCセグメントのハッチバック市場。
日本でもこの2Lクラス、セダンはほぼ壊滅状態で、トヨタ オーリスや日産 ティーダ、マツダ アクセラといったハッチバックが主力となっています。
インプレッサはここを狙ってハッチバックを主にしましたし、先日発表されたホンダ アコードは、セダンベースでその上のクラスに移行する方法をとりました。

こういった流れから見ると「なぜハッチバックであるスポーツバックがセダンより全長が15mm長くなったのか」を理解しやすくなります。
全長が延びた大きな要因は「スタイルを重視した(三菱の技術者)」ことにあります。
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック インパネ|ちょい乗り試乗
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック フロントシート|ちょい乗り試乗
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック リアシート|ちょい乗り試乗

ハッチバックでありながらクーペのようなデザインを目指し、同時に、ハッチバックとしての使い勝手の良さも追求する。その要素を押さえながらもキレイなラインを描こうとしたら、15mm長くなったというわけです。そのかいあって他のハッチバックとは違ったスタイリッシュなフォルムになっています。
最近はM・ベンツCLSやVWパサートCCという、セダンなんだけどクーペっぽい車が欧州では人気ですが、こちらはハッチバックだけどクーペっぽいスタイルですね。

トランク容量はセダンの430Lより少ない345Lで(VDA法)、トヨタ オーリスの350Lに近い値です。
ラゲージにあるレバーを引くだけで6:4分割の後席シートバックが簡単に倒れ、テールゲートには閉めやすいように大きなグリップ(下右の写真)が備わるなど、使い勝手も工夫されています。

  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック(ラリーアート) SST|ちょい乗り試乗
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック  ラゲージ|ちょい乗り試乗
  • 三菱 ギャランフォルティススポーツバック テールゲートのグリップ|ちょい乗り試乗
スタイル&実用性重視なのは間違いないですが、ボディの補強によりセダンとほとんど同じ剛性があり、またセダンより前後重量配分が50:50に近づいたため、結果的に「セダンより操縦安定性は良くなっている」とのこと。

試乗したのは2Lシングルターボ+ツインクラッチSST(パドルシフト付き)+4WD+専用サスペンションのラリーアート。セダンにも同等グレードがありますが、ランエボXはちょっと過激すぎて…という人にピッタリの一台です。

スポーツバックでもその印象はまったく変わらず、ACD(前後トルク配分を自動的に適正化)やASC(横すべり防止装置)など電子デバイスがあるという安心感と、室内に聞こえてくる気持ちのよい咆哮が、ついついアクセルを踏ませます。
乗り心地は多少コツコツ来ますが、ランエボXと比べたら随分としなやか。ちょっとやんちゃな大人のツーリングカーという印象です。

もう一台乗れたのが2L+パドルシフト付き6速CVT+2WD+スポーツサスペンションのスポーツ。
こちらはラリーアートに比べれば全然静かですし、スポーツサスペンションという言葉からは想像できないほど、しなやかな乗り心地を提供してくれます。ターボがないのでラリーアートのような加速感はありませんが、そんな時はパドルシフトでギアを落としてアクセルを踏むと楽しめます。

いずれも乗って楽しい車で、かつ乗り心地も含め十分実用性が高い車になっています。スタイルが気に入ったから、という買い方をしても間違いない一台。
ちなみに大きなリアのルーフスポイラーは「付けた状態でデザインを考えていた」のだとか。 たしかに広報資料のデザインラフには、このスポイラーが描かれています。オプションで4万2000円。購入される際は、ぜひ付けることをオススメします。
<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>