ボディ剛性の向上やEVシステム・ダンパー変更などで“走り”が進化した 三菱 アウトランダーPHEV(試乗レポート)
2017/04/01
見た目はそのままだが、中身はガラリと変わっている
アウトランダーPHEVは、前期型からデザインも性能も素晴らしいものであった。
走りも、バネ上の重量の恩恵で、乗り心地良好。強いて言えば、路面の凹凸を拾ったときのボディの振動でリアハッチの剛性感不足を感じたことと、アクセルを強く踏み込むような高負荷時におけるエンジンの騒音が気になったこと程度である。
今回の改良点は、実は見えにくい部分にある。
例えば、プラグインハイブリッドのEVシステム変更。エンジン始動を遅らせ、EV走行時間を持続させたという。また、加速時にモーターへの電力供給が素早くなったことにより、シャープな加速も可能になっている。そして、充電時間の短縮や予防安全技術の充実なども盛り込んである。
今回は、このあたりの進化について、試乗した印象をお伝えしたい。
トラクションの良い4WDとシャープで鋭い加速が好印象
ちなみに昨年、プロトタイプで雪上と氷上の混成コースを試乗したが、車両制御システム「S-AWC」は、滑りやすい路面では滑ったときに余計な電子制御の介入が抑えられ、ドライバーの意思に素直なハンドリングだった。それが、アスファルトではどのようなフィーリングになるのか……そのあたりも気になったので試してみた。
試乗したモデルは最上級の「S Edition」。ビルシュタイン製ダンパーを装着した4WDモデルだ。
走り出しは、モーターのため静かだ。モーター特有の音も気にならない。深くアクセルを踏み込めば鋭い加速を味わうことができた。条件にもよるが、従来モデルではエンジンも同時に始動していたのだが、今回はモーターのみで加速していく。このあたりにEVシステム変更の効果が見て取れる。
そして、安定しているうえシャープな加速は、モーターで駆動させる4WDならではのもの。会場の敷地内で8の字を描いて加減速とコーナリング時の動きも見てみたが、四輪に違和感のない適切な制御が行われ、タイヤのスキール音など皆無である。現在でもバイワイヤー方式の4WDでは最も優れている1台だと思う。
既存モデルの欠点を解消し確実に進化している
一般道に出ると乗り心地の向上をより感じることができた。
これはビルシュタイン製ダンパーが唐突な路面凹凸の入力に対して突っ張らずに寛容に機能しているからだろう。ダンパーがきちんと機能する理由の一つがボディ剛性の向上。
以前気になったリアクオーターとフロントフロアから発生していた気になる振動も、ほとんど感じられない。タイトなワインディングでも、ボディサイズが小さく感じるほどスイスイ走らせてくれるハンドリングが印象的だ。これもモーター制御と動力制御のたまものである。
加えて急加速したときのエンジンの再始動も静粛性が増したように思える。このプラットフォームの限界まで性能を向上させているような印象だ。
2015年のマイナーチェンジで、見た目の印象がアグレッシブになったが、それ以上に今回の改良によって走りは「大人の乗り心地」を手に入れたように思う。EVシステムや足回り、ボディ剛性などの進化に加えて、優れた4WDシステムだということを改めて感じられた。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:S Edition ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC ■総排気量:1998cc
■最高出力:87(118)/4500 [ kW(ps)/rpm]
■最大トルク:186(19)/4500 [N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力:前60(82)後60(82)[ kW(ps)]
■モーター最大トルク:前137(14)後195(19.9)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:電気式CVT
■全長×全幅×全高:4695×1800×1710(mm) ■ホイールベース:2670mm
■車両重量:1900kg
■JC08モード燃費:19.2(㎞/L)
■ガソリン種類/容量:レギュラー/45(L)
■車両価格:478.926万円(税込)
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