AK Sportscars AK427

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMCであるBoseが、カーセンサーで気になる中古車を探して実際に見に行く本企画。

今回は伝説的なAC コブラのレプリカに初同乗! コンパクトな旧車を愛するBoseさんに、マッスルカーはどう映る?
 

Bose

スチャダラパー

Bose

1990年にデビューし、1994年「今夜はブギー・バック」が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。現在、ニューアルバム『シン・スチャダラ大作戦』が絶賛発売中! 詳しくは公式HPへ。愛車はフォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアット ウーノターボ
 

2L以下の車ばかりな僕には、異次元の世界だよ!

編集部 今回はいつもの中古車販売店探訪とは毛色を変えて、歴史的な名車のレプリカモデルを販売するショップを訪問しようと思います。

Bose このお店、知っているよ。確かランチア ストラトスのレプリカを入れているところだよね。

UK CLASSIC FACTORY代表 勝見祐幸さん Boseさん、いらっしゃいませ。あいにくストラトスが別の場所にあるので、今日はコブラを見ていただければ。
 

日刊カーセンサー▲代表の勝見さん(写真左)。かつてはATに載せ替えた先代ディフェンダーの輸入も手がけていたそう

Bose これ、レプリカと言われても本物と違いがわからないよね。唯一わかるとしたら「新しいからレプリカ?」というくらい。

勝見 イギリスには古くからキットカーの文化があることもあり、様々なレプリカメーカーが存在します。コブラだけでも20社くらいのレプリカメーカーがあるんですよ。

Bose そんなにあるんだ!

勝見 このコブラを手がけるAK Sportscarsは、30年もACコブラのレプリカ製作を行っているブランドで、フレームから自分たちで手がけているんです。
 

AK Sportscars AK427▲今回見せていただいたAC コブラのレプリカモデルであるAK427

勝見 日本だとコブラのレプリカは南アフリカ製が多くなります。一度アメリカに持っていき、エンジンを乗せて、日本にやってくるのです。

Bose レプリカというとベースモデルのボディを載せ替えるイメージだけど、かなり気合を入れて作っているんですね。このレプリカはどういう経緯で作られたんですか?

勝見 AK Sportscarsの創業者はFRP(繊維強化プラスチック)の専門家だったのですが、当時入手可能だったコブラレプリカのクオリティに満足できなかったようで、自らレプリカの製造を始めました。専門領域であったFRPで、自分が理想とするコブラのボディを作ってしまったんです(笑)。

Bose もはや彫刻の発想だ(笑)。近くで見るとかっこいいな。デザイン的に完璧だよ。
 

AK Sportscars AK427

Bose ちなみに、もうひとつのレプリカ、ストラトスはどんなものなのですか?

勝見 LB Specialist Carsという会社が手がけたもので、“the STR”というモデルになります。「AUTOCAR」の名物編集者がこのレプリカに乗って絶賛している動画がバズって、2年分のバックオーダーを抱えるヒットモデルになりました。

日刊カーセンサー▲こちらがタイミング合わず見ることができなかったストラトス

Bose もともと少数しか生産できないだろうから大変だよね。

勝見 そうなんですよ。私はAK Sportscarsと代理店契約の交渉をしながらLB Specialist Carsにも何度も通ったのですが、バックオーダーがあるから僕には出せないと言われて。

Bose それがどうしてOKになったのですか?

勝見 たまたま社長が私と同じ年で仲良くなりました。最終的な決め手はAK Sportscarsの代理店権を取得できたことでした。「あそこと契約できたならうちもいいよ」と。

Bose おぉ!

勝見 でも、車は2年待ちだったんです。そんなときたまたま1台キャンセルが出たので、「ならそれを売ってくれ!」と(笑)。
 

AK Sportscars AK427▲ガレージには、勝見さんが最近注力しているeMotorsportsのゲームセットも置かれています

Bose コブラとストラトスのレプリカはどんな人が買っているんですか?

勝見 やはり子供の頃に憧れていたという方ですね。ストラトスをご購入された方はアリタリアカラーで仕上げている最中です。

Bose 世代的に絶対そうなるよね(笑)。
 

オープン感がハンパじゃない! スーパーカーより楽しいかも!!

勝見 せっかくお越しいただいたのですし、運転席に座ってみませんか?

Bose ぜひぜひ! うわっ、オープンで開放的だから意識しなかったけれどかなりタイトですね。これ、レプリカと言っても本物と違いがわからないよ。もしわかるとしたら、本物は古くて劣化しているからこんなに新しい本物はないだろうなってところだろうな。
 

AK Sportscars AK427▲普段は小さな欧州車ばかり乗っているBoseさんがコブラに座った、貴重なカットです(笑)

Bose コブラはゲームのグランツーリスモでは乗ったことあるけれど、驚きだな。ストラトスもグランツーリスモで運転したけれど、こんなに運転しづらいの? ってびっくりしたよ。
 

勝見 エンジンはコルベットが積んでいる6.2L V8になります。

Bose レプリカでも、そのあたりは本物に合わせたチョイスになるんですね。僕は2L以下の車ばかり乗っているから異次元の世界だよ(笑)。
 

AK Sportscars AK427▲6.2L V8エンジンは、600馬力オーバー!

Bose コブラもストラトスも、レプリカモデルはプラモデルのような世界なのかもしれないな。子供の頃に憧れて、大人になって免許を取ったものの、本物は天文学的な価格でとてもじゃないけれど手に入れられないから。ストラトスなんか、ゲームの中でも高くて買えない(笑)。

勝見 おっしゃるとおりだと思います。

Bose しかも本物は朽ちていく一方だから気軽に外に出せないよ。それならもっと気軽に楽しめるレプリカを手に入れて、当時憧れた世界を擬似体験した方がよほど充実しているのかもしれないね。
 

日刊カーセンサー▲クラシカルな雰囲気のインパネ

編集部 せっかくなので、Boseさんを助手席に乗せて走らせてもらえませんか? ナンバーも付いていますし。

勝見 大丈夫ですよ。じゃあ、うちのスタッフが運転しますので。

Bose よろしくお願いします! うわっ、エンジン音もすごい! アイドリングなのに隣にいる人と会話するのが大変なくらいでかい!

(「ETCカードが挿入されていません」~♪)

Bose うーん……このアナウンスと車の世界観のアンマッチさがすごいな。テンションが違いすぎる(笑)。

スタッフ 確かに(笑)。では、動かしますね。
 

日刊カーセンサー▲いざ、同乗試乗へ! 初めて体験するマッスルカーの走りとは?

Bose 今すれ違ったおばあちゃんの顔、すごかったな。これが走ってきたら、歩いている人は「なにかの撮影!?」って思うよね。それにしても速い! たった3000回転ですごい世界に入っていくんだ!

スタッフ 助手席だと余計にそう感じるかもしれないですね。

Bose しかも車の中にいるのに外にいる感がハンパじゃないね。僕もいろんなオープンカーに乗ってきたけれど、この感覚は初めてだよ。飛ばされていっちゃいそうで、フェラーリなどとは全然違うヤバさだ。でも気持ちいいなぁ~。

スタッフ 一般道の速度域なら、かなりおとなしい感じで走れます。シフトも3速より上は使わないですね。
 

AK Sportscars AK427▲ボディサイドのマフラーは、一度走るとかなり高温になるので、乗り降りする際は要注意!

Bose ちなみに車両重量はどのくらいなんですか?

スタッフ 1tを切っていると思います。それで600馬力ありますから。しかも、電子制御もないんです。

Bose 一瞬で横滑りしそう(笑)。僕だとグランツーリスモくらいしか乗る機会がないから、マッスルカーの“踏むとお尻を振る感覚”っていうのがよくわからないんですよ。

スタッフ 例えば今だと、アクセルペダルはつま先で数ミリの微調整レベルしか踏んでいません。それだけでもグッと前に出ていきます。

Bose 全然踏めないんだ(笑)。これをサービスエリアに止めていたら、あっという間におじさんたちに取り囲まれるだろうな。おじさんホイホイ(笑)。

スタッフ Boseさんはこの車で仲のいい友達とドライブに行ける感覚、ありますか?

Bose 男の車好きには自慢したいよね。それ以外だと誰に話せばいいのかわからないよ。子供も奥さんも喜ばないだろうし(笑)。でもこうやって乗せてもらうと、フェラーリに乗っている人の何人かはこういうのに乗ってみればいいのにって思うね。非日常感はダントツにこっちの方が上だろうから。

スタッフ ぜひ体験していただきたいですね。

Bose いやぁ、おもしろい! まるで遊園地に来ているみたいだ。金銭的に余裕があって、何台も車を持てる人なら、プラモデル感覚で1台これをラインナップに入れるのはアリだと思うな。
 

AK Sportscars AK427
文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/篠原晃一