フェラーリ 812GTS▲812スーパーファストのスパイダーとして登場。フロントV12のオープンルーフにもかかわらず、並外れた安定性と刺激を味わうことが可能。スパイダーモデル専用のエアロダイナミクス設計をもつなど、性能へのこだわりを象徴するマシン

今まで聞いたこともない強烈なサウンドが、これは車なのかと疑わせる

フェラーリ 812GTSは謎に満ちたスーパースポーツカーだ。排気量6.5Lの自然吸気V12エンジンが奏でるサウンドが謎に満ちている。初めてその音色を耳にした者は、おそらくこれが自動車の発するエンジン音であるとは信じられないはず。それくらいフェラーリのV12エンジンは、澄んだ乾いたエグゾーストノートを響かせる。

回転数に連動した周波数だけが耳に届くサウンドは、エンジンをはじめとする部品の無粋な共振を徹底的に排除して初めて実現できるもの。その意味でいえば、あの天上の歌声は恐ろしいほどのコストを費やした証明ともいえるのだ。

このエンジンの魅力はそのサウンドだけではない。スロットルペダルに軽く足を添えるだけで、レブカウンターの針はなにかにはじかれたかのように鋭く跳ね上がる。

4カム、4バルブのV12エンジンといえば、あきれるほど多くのパーツを組み合わせて作られているはずだが、このシャープな吹き上がりのエンジンはそうした無数ともいえるパーツの存在を一切意識させることなく、完璧な調和を保ったまま超高速運動をこなしてみせる。

俊敏さは、獲物を見つけて草原を走り始めた肉食獣をほうふつとさせる。巨大なはずのV12エンジンがどうしてこれほど鋭敏に反応できるのかは、やはり謎だ。
 

フェラーリ 812GTS▲スパイダー化に伴い空力効果を最適化し、底面からのダウンフォースを最大限引き出している。また、フロントウインドウ上部にフラップを付け、オープン時の風の巻き込みを防ぐなど、そのエンジン音を楽しめるよう工夫がなされている
フェラーリ 812GTS▲エグゾーストサウンドにもスパイダー独自の改良が施されている。排気音そのものに調律を施し、オープン時の音質を高めている
フェラーリ 812GTS▲ルーフ形状は左右が隆起するトンネルバックスタイル。リトラクタブルハードトップ(RHT)は45km/h以下であれば走行中も14秒で開閉が可能
フェラーリ 812GTS▲搭載されるV12エンジンは800ps/718N・m発生させるハードコア仕様。0-100km/h加速を3秒以下でこなす圧倒的性能を誇る

フロントにV12エンジンを積んでいると聞けば、シャープなコーナリングは期待できないと考えるのが普通だが、この点でも812GTSは常識を超えている。直進付近にもまったく遊びのないステアリングは指1本分の操舵にも瞬時に反応し、V12エンジンの慣性モーメントがまたたく間に消え去ったかと思うような素早さで進路を変えてみせる。

最新のフェラーリらしくリアタイヤは圧倒的なスタビリティを発揮し、ドライバーにみじんほども不安を感じさせない。キャビンの前にV12エンジンを積んでいながら、これだけ鋭いステアリングレスポンスを示すことも謎だが、そのシャープな回頭性とリアの驚くほどのスタビリティを両立させていることも812GTSの謎のひとつに違いない。

しかも、驚くべきことにこの超高性能なスーパースポーツカーはオープンボディに仕立てられているのだ。前後の巨大なタイヤが生み出す振動のエネルギーはさぞかし強大だろうに、このアルミモノコックボディにはサスペンションの動きを逆に跳ね返すような強靱さがある。おまけに、ルーフを開け放ってもキャビンにほとんど風を巻き込まない点も謎だ。

フェラーリ 812GTSとは、かくも謎に満ちたスーパースポーツカーなのである。
 

フェラーリ 812GTS▲インテリアはこれまでのフェラーリを踏襲。スイッチ類をハンドルまわりに集中させ、ドライバーの視線移動が少ないよう設計されている
フェラーリ 812GTS▲このエキゾチックなフロントV12レイアウトは、1969年の名車365GTS4(通称デイトナ)以来50年ぶりとなる。812とは”800”馬力の”12”気筒モデル、GTSはグランツーリズモ(GT)スパイダー(S)という意味をもっている
文/大谷達也、写真/デレック槇島、フェラーリ

【試乗車 諸元・スペック表】
●F1 DCT

型式 7BA-F152BE 最小回転半径 -m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.69m×1.97m×1.28m
ドア数 2 ホイールベース 2.72m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.67m/1.65m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 1645kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード    
標準色

ジアッロモデナ、ロッソスクーデリア、ロッソコルサ、ロッソムジェロ、ビアンコアヴス、ネロ、ブルーポッジ

オプション色

グリジオイングリッド、グリジオアロイ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオ、グリジオシルバーストーン、ネロデイトナ、ブルーアブダビ、ブルーミラボー、ブルーツールドフランス、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、グリジオフェロー、アヴォリオ、カンナ ディ フチーレ、グリジオスクーロ、ヴェルデブリティッシュ、ブルースコツィア、アズーロカリフォルニア、ブルースワター、ロッソ70アニヴェルサリオ、ビアンコセルヴィノ、グリジオGTS

掲載コメント

※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております
※車両重量の数値は乾燥重量の数値です

型式 7BA-F152BE
駆動方式 FR
ドア数 2
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 ジアッロモデナ、ロッソスクーデリア、ロッソコルサ、ロッソムジェロ、ビアンコアヴス、ネロ、ブルーポッジ
オプション色 グリジオイングリッド、グリジオアロイ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオ、グリジオシルバーストーン、ネロデイトナ、ブルーアブダビ、ブルーミラボー、ブルーツールドフランス、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、グリジオフェロー、アヴォリオ、カンナ ディ フチーレ、グリジオスクーロ、ヴェルデブリティッシュ、ブルースコツィア、アズーロカリフォルニア、ブルースワター、ロッソ70アニヴェルサリオ、ビアンコセルヴィノ、グリジオGTS
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.69m×1.97m×1.28m
ホイール
ベース
2.72m
前トレッド/
後トレッド
1.67m/1.65m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1645kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております
※車両重量の数値は乾燥重量の数値です
エンジン型式 - 環境対策エンジン -
種類 V型12気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 92リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 6496cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 800ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
718(73.2)/8000
エンジン型式 -
種類 V型12気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 6496cc
最高出力 800ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
718(73.2)/8000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 92リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -