日刊カーセンサー

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMCであるBoseが、カーセンサーで気になる中古車を探して実際に見に行く本企画。

今回は、若かりし頃のBoseが雑誌を見ながら「いつか乗りたい」と夢見ていた名車をチェック!

Bose

スチャダラパー

Bose

1990年にデビューし、1994年「今夜はブギー・バック」が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。現在、ニューアルバム『シン・スチャダラ大作戦』が絶賛発売中! 詳しくは公式HPへ。愛車はフォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアット ウーノターボ
 

普段使いとコレクションの狭間で生き残りをかける名車!?

編集部 今回はBoseさんがカーセンサーで見つけると必ず“お気に入り”に入れちゃうルノー 5(サンク)が置いてあるお店に来ました!

Bose ジャルジャルの後藤くんと「最近5が気になっているんですよ」「いいやつ見つけたよ」というやりとりをして、お互いこの5をチェックしているのがわかったんだよね。

buddyオーナ 本房さん(以下、本房) Boseさん、こんにちは。今や5はめったに入庫しない希少車になってしまいました。うちにもたまたま1台だけ入ってきた感じです。以前はもっと簡単に店に並べることができたのですが。

日刊カーセンサー▲「5で当時の日本車にはないオシャレな雰囲気を楽しんでほしい」と本房さん

Bose この時代のハッチバックって、実は一番シンプルなやつがベストだと思うんだよね。豪華な電装品は便利だけれど、逆にそこは故障の原因にもなるからね。最低限クーラーさえ付いていれば、パワーウインドウも必要ない。クルクル回す手動式で十分!

編集部 Boseさんはこれまで、5に乗ったことはあるんですか?

Bose 実はないんだよ。免許を取った頃からずっと乗りたいと思っていたけれどお金がなくて買えなかった。仕方なく当時は雑誌を眺めながら中古で安くなったら買おうと思っていたけれどなかなかタイミングがなくて……。それから30年、気づけば台数が激減していて焦ってる(笑)。

本房 5にはバカラという高級グレードも設定されていました。ベースグレード、バカラともに日本でもそこそこ売れたのですが、この時代のフランス車は部品がなかなか出てこないこともあり、ある程度古くなると廃車になるケースが多かったんですよ。

Bose 部品取り用の車すら用意できない状態ですね。直すことすらできず、朽ち果てるのを眺めるしかないなんて……。

日刊カーセンサー▲ベーシックモデルは際立った特徴がないので、ある程度の年数がたつと廃車されるケースが多い。キレイな状態で残っているのは超希少!

本房 これは最終モデルなので5の中では新しく、しかも前オーナーがていねいに乗っていたのが、状態からわかりますね。

Bose それはすぐわかりました。バンパーとか、きれいに塗り直していて、赤い塗装も状態がいいですよね。エアコンが付いていて、しかもインパネにスマホホルダーも付いているから、前オーナーは日常的に乗っていたんだろうな。

本房 車は機械ですからね。僕も古い中古車は低走行のものより普段使いされていたものの方が程度の面で安心できます。

Bose 1980年代から90年代初頭のイタフラ車は、普段使いとコレクションの狭間にあるのかもしれないですね。ランチア デルタのようにコレクション側になると、高いお金をかけても乗りたいという人が出てくるから車も残る。フィアット パンダも最近そちら側になりかけている気がするけれど、5はそこに入るほどタマ数がない。だから前オーナーもお金をかけて乗り続けるか迷って手放したのかもしれないですね。

本房 もう少しパーツが探しやすかったり、あとはこだわり抜いて高いお金を払ってでも乗り続けたいという人が一定数いたら、専門店も出てくるかもしれませんが(笑)。現状は難しいでしょうね。

日刊カーセンサー▲横浜にあるbuddyは、MT車ばかりを集めたBose好みのお店。比較的買いやすい価格の中古車が揃っています!

Bose ちなみにここに置いてある5は、ターボが付いていない一番ベーシックなやつですよね?

編集部 そうなんです。5はターボやターボ2だとカーセンサーでもたまに見かけますが、素のグレードは本当に珍しいですよ。

こんなに状態の良いルノー 5は、次にいつ会えるかわからないよ!

日刊カーセンサー▲「ちょっと古くて小さな車は、乗ると本当に楽しい! この魅力を多くの人に知ってほしい」とBose

編集部 Boseさん、5を実際に見ていかがでしたか?

Bose カーセンサーで写真を見て「キレイな車っぽいな」とは思っていたけれど、想像以上に状態が良いね。さびもないし、ボディカラーの赤があせていないでしょう。まだこんなにキレイなのが残っていたことに驚きだよ。

本房 おそらく前オーナーは屋根付き駐車場で保管していたのではないでしょうか。20年近く前のものでこれだけ状態が良いのは、かなり気を配っていた証しだと思います。

Bose やっぱり5はデザインが秀逸ですよね。エクステリア、インテリアともに複雑な線を使っているわけではないのにとても個性的。シンプルで飽きがこないから長く楽しめそう!

本房 Boseさんのような車好きはもちろん、個人的には若い女性に小粋に乗りこなしてほしいなと思います(笑)。

日刊カーセンサー▲フランス車はシートのカラーリングがオシャレ! 座り心地も絶品です

Bose 運転席はさすがにヤブレやシミが出ているけど、助手席やリアシートはまだまだキレイ! 色使いのセンスもいいし、女の子が乗ったら似合うと思うな。シートの座り心地は昔のフランス車っぽい、柔らかく包み込んでくれる雰囲気。この感じも病みつきになりそう。

本房 エンジンルームもきれいですよ。ぜひ見てください。

日刊カーセンサー▲排気量は1.4L。キャブ車ならではのダイレクト感ある走りを楽しめます

Bose 確かに。エンジンも一発でかかるから安心だね。こういう部分からも前オーナーが手間をかけながら日常的にこの車を楽しんでいたのが伝わってくるよ。あとは買った後にこの状態をどうやって維持していくか。冗談抜きでパーツとかが簡単に手に入るなら、今すぐ僕が買いたいくらい。

編集部 Boseさんの現在の愛車、フォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアット ウーノにルノー5が加わったら……。奥さんが本気で怒りそうですね(笑)。

Bose 「同じような形の、しかもいつ動かなくなるかわからない車ばっかり! 意味わかんない!!! 」 ってね。もうすでにかなり怒られてるから(笑)。だからこそこれは僕じゃなくて、「ちょっと昔のコンパクトカーが好き」という人に手に入れてもらいたいな。とくに5が欲しいと思っている人は、見つけたらすぐに動かないと次にいつ出合えるかわからないよ。

編集部 新しくオーナーになった人に、ぜひ取材したいですね。

Bose そうだね。ぜひ会ってみたいな。買ったらお店を通してぜひ編集部に連絡を! カーセンサーで取材にお邪魔しよう!!

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/篠原晃一