ちまたでは「お笑い第7世代」が人気のようだが、ところで中古車にも「第7世代」はあるんじゃないか?
カテゴリー: クルマ
タグ: ホンダ / マツダ / スバル / 三菱 / CX-8 / デリカD:5 / ロードスター / インプレッサスポーツ / S660 / MAZDA3ファストバック / 伊達軍曹
2020/05/17
7という数字に意味はないが、それでも「新世代」について考えてみたい
「お笑い第7世代」というフレーズあるいはカテゴリーをご存じの方は多いと思う。
とはいえ7という数字に特に意味はなく、数字は提唱者である霜降り明星・せいや氏の思いつきとのことだが、いずれにせよ世間一般におけるお笑い第7世代の定義は、
「平成生まれで、なおかつ 2010年以降にデビューした芸人」
だとされている。
要するにそれは「それまでの世代とは若干異なるノリをもつ、若い世代のお笑い芸人」ということなのだろう。
しかしここで言いたいのはお笑いについてではなく、「ところで中古車にも“第7世代”があるのではないか?」ということだ。
もちろんお笑い第7世代のそれと同様、中古車第7世代の「7」という数字にも意味はない。思いつきである。すみません。
だが、それは要するに「それまで主に注目されていた中古車とはちょっと異なるノリを持つ、より新しい世代の中古車」ということであるため、注目してみる価値は大であるはず。そして中古車第7世代の詳しい定義は下記のとおりとなるだろう。
「平成にシリーズとして登場し、なおかつ2010年以降にフルモデルチェンジまたはビッグマイナーチェンジを受けた車。あるいは、2010年以降に新登場したシリーズ」
これこそがカーセンサー的中古車第7世代である! ……と「!」を付けて大まじめに力説する類の話ではないのだが、「2010年式以降の車も実はけっこうお安い中古車になってますよ!」という意味で、割と有益な情報であろうとは思う。
ということで次章以降、ちまたを賑わせている人気の第7世代芸人とからめる形で「第7世代中古車」の数々をご紹介しよう。
第7世代中古車1台目は、霜降り明星に似ているホンダ S660!
デビュー年月:2015年4月
中古車相場:100万~400万円
「お笑い第7世代」という概念の提唱者である霜降り明星。その笑いの根底にあるのは下記の一連の流れである。
1. ボケ担当・せいやが超クイックな動きをする
2. だが、その動きの意味や意図は少々わかりにくい
3. そこにツッコミ担当・粗品の一言ツッコミが入ることで、せいやの動きの真意が明らかになり、笑いが起こる
この1~3の流れは「ホンダ S660に近い!」と言うほかない。
ホンダ S660とはご存じのとおり、ホンダ ビートから数えて19年ぶりに登場した軽オープン2シーター。その動きというか走りは非常にクイックなのだが、辛口のマニアから言わせると「やや物足りない。スポーツカーとしての魅力が少々わかりにくい」という部分もなくはない。
だが、数多く市販されている「S660用チューニングパーツ」という一言ツッコミ(?)を加えてやると、この車のスポーツカーとしての魅力はいきなり「よくわかる!」というニュアンスに変化するのだ。
それはまさに霜降り明星のネタの流れと同じであり、よくよく見てみればS660の小ぶりなボディは、霜降り明星・せいやさんの小柄な体型にちょっと似ている(ような気もする)。
2台目はまさにEXIT!な三菱 デリカ D:5(現行型)
マイナーチェンジ年月:2019年2月
中古車相場:300万~480万円(※2019年式以降)
「ネオ渋谷系漫才」で名をはせているコンビ・EXIT。その特徴は、いわゆるパリピ風の超絶チャラい口調と衣装で2人がくっちゃべるというもので、その姿を昔風に言うなら、要するに「不良」である。
「こんな不良男2人と夜の街で遭遇してしまったら、自分はカツアゲされちゃうのではないか……?」とビビるわけだが、よくよくネタを見てみると、根はマジメそうな2人である。というか実際に苦労人あがりだけあって、かなり実直な性格らしい。
それはまさに現行型の三菱 デリカD:5と同じだ。
2007年にデビューした現行型三菱デリカD:5は、デビュー当初は実直なニュアンスのデザインを身にまとっており、その上質な走りにもかなりの高評価が与えられた。
しかし何を思ったか、2019年2月のビッグマイナーチェンジで顔面(フロントマスク)の整形手術を行い、一部では「まるで電気ひげそりのようだ」とも揶揄されるゴリゴリ系フロントグリル「ダイナミックシールド」を採用した。
その姿は、前から見る限りはやたら押し出し感の強い「不良風」になったわけだが、実際に運転してみると、「とってもよく走るマジメなミニバン」であることがすぐにわかる。そしてその感慨は、EXITのネタを見ている際の感慨とほとんど同じなのである。
3台目はその本質が四千頭身そっくりなスバル インプレッサスポーツ(現行型)
モデルチェンジ年月:2016年10月
中古車相場:100万~280万円
お笑いトリオ・四千頭身の中心人物である後藤拓実さんはカーセンサーのテレビCMにも出演しているわけだが、それはさておき四千頭身の最大の特徴は、その後藤さんが作るネタの凄まじいまでのセンスの良さと、独特の脱力感。それゆえメディアからは「脱力系漫才」と称される場合が多い。
だがあらためて冷静に四千頭身のネタを見てみると、彼らの舞台での立ち居振る舞いはさほどの脱力系ではない。
いやもちろんアッパー系ではないのだが、「若い人々の普段のテンション」といったぐらいの感じなのだ。要はリアルなのである。だが他の多くのお笑い芸人のテンションが、リアルな日常とはかけ離れた過剰なアッパー系であるため、あえて普通ぐらいのテンションに抑えている四千頭身が「脱力系」に見えるのだ。
これはもうほとんど現行型スバル インプレッサスポーツと同じである。
2016年に5代目のインプレッサとして登場した現行型インプレッサスポーツは、四千頭身の後藤さんが作るネタと同じぐらい、凄まじくハイレベルな走りを披露する標準的サイズの5ドアハッチバック。しかしそのボディデザインについては「あまりにも地味だ」と言われることが多い。
たしかに現行型インプレッサスポーツのデザインは決して派手ではない。だがインプレッサスポーツが地味なのではなく、「他の車のデザインが派手すぎる」と考えることもできるのではないか? そう、まるでスタジオのひな壇で空騒ぎをしていた、多くの芸人たちのように……。
まだまだあるぞ、中古車第7世代!
第7世代芸人や中古車について語っているうちに気がつけば長くなってしまったため、以降はコンパクトに進行しよう。
まず、ボケ担当の草薙航基さんが1人で勝手に後ろ向きな妄想を膨らませてパニックに陥るネガティブ漫才で人気のコンビ・宮下草薙。彼らにたとえることができるのが、マツダのMAZDA 3 ファストバックである。
「超絶おしゃれでスタイリッシュなデザインが魅力のMAZDA 3 ファストバックと、常におどおどして不安そうな表情の草薙とはぜんぜん違うよ!」
そんなツッコミもあるだろう。だが、自ら勝手にネガティブ思考のスパイラルにハマっていく草薙さんの姿と、おしゃれという崇高な概念を追求しすぎたせいか、販売成績の面では若干ながら負のスパイラルに陥っているMAZDA 3 ファストバックの姿は、どこか重なる部分を感じざるを得ない。
また演劇性の高いコントを展開する2人組のかが屋は、現行型のマツダ ロードスターに酷似している。
彼らの舞台はお笑いというよりも「お笑いという道具を使いながら、人間の本質を描き出している」と評した方が正しいかもしれない。
その意味で、軽量オープン2シーターという枠組みを使いながら「自動車というもの本質」を追求した現行型マツダ ロードスターが、立ち位置としては非常に近いのだ。ちなみにかが屋の賀屋壮也さんは、マツダの本社所在地である広島県の出身である。
最後に紹介する第7世代中古車は、マツダCX-8という3列シート採用のSUVだ。
世の中には3列シートのSUVもそこそこたくさん存在しているが、そのほとんどの3列目は狭すぎるため「実用的」とは言い難い。
しかしマツダ CX-8のそれは、「3列目なのにぜんぜんフツーに使える!」というかなり優秀な設計となっているのだ。
CX-8のこの特徴、つまり「ぱっと見は使えなさそうなのに、実はかなり優秀」という特徴を第7世代芸人に紐づけるとしたら、果たしてそれは誰になるだろうか?ちなみに、「3列目」もヒントのひとつだ。
……答えは、ハナコである。若手ながらかなりの実力派コントを世に出し続けているお笑いトリオ・ハナコの菊田竜大さんである。
ハナコというトリオ内のでのパワーバランスは「岡部:5、秋山:5、菊田:0」と言われることが多々あり、「コント作りよりファッションが好き」だという菊田さんのトリオ内パワーは「0」だとされている。コントによっては、ほぼ何も話さないことさえある。
だが実際にハナコのネタを見れば、「コントよりファッションが好き」だという菊田さんは演者としてかなりの実力者であり、何も語らずともその存在感でコントを引っ張っている姿を度々目にすることができる。つまり、トリオの一員として大いに効いていることは一目瞭然なのだ。
それゆえCX-8の素晴らしいサードシートに腰を下ろす者は必ず、ハナコの中で菊田さんが果たしている実は重要な役割を思い起こし、静かに涙することになるのだ……というのは完全に嘘だが、とにかくこの両者はちょっと似ている。
以上、いかがだっただろうか?
ここで紹介した紐づけに対して「さすがに無理矢理すぎだろ!」との声も一部から聞こえてきそうな気はする。それについては軽めに陳謝するとともに、聞こえなかったふりをしてごまかす所存だ。
いずれにせよここで紹介した車はどれも、お笑い第7世代と同じく「今、注目しておくべき中古車である!」ということだけは、最後にあらためてお伝えしておきたい。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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