同じ旧型でも「クーペ」を選べば何かが変わる!
2017/04/10
![▲普段から見慣れているセダンやステーションワゴンだと「旧型」は少々古くさく見えてしまうことも多い。しかしやや希少な「クーペ」であれば、同じ旧型でもまた違った見え方、感じ方がするものだ](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_1.jpg)
年式的な中途半端感がバレにくいクーペという存在
車というのはフルモデルチェンジが実施され、そして大幅に改変された「新型」の方が高い評価を得ると、型遅れとなった「旧型」の相場はジリジリと、あるいはガクンと大きく下がっていく。
それゆえ中古車ハンター的には「じゃ、お安くなった旧型の方をそろそろ買うべえか」と思うわけだが、物事はそう簡単には運ばない。なぜならば「旧型」となった車には、お安いという美点と同時に「少々古くさく感じられる=どこかイケてない感じもする」という微妙な欠点も、当たり前だが存在するからだ。
まぁいっそ20年ぐらい経過してしまえば「クラシカルでステキ」という別の評価軸が生まれるのだが、ほんの数年前まで現行モデルだったものにそれはなく、ただただ「最新でもなく、かといってクラシカルでもなく……」という、やや中途半端な状況だけが残るのである。
そうなったとき、取るべき方策は一般的に「新車あるいはそれに近い現行高年式中古車を買う」というプランAと、それとは真逆の「いっそ20年前とかのクラシカルなやつを楽しむ」というプランBの、大きく分けて2方向であるはずだ。
それはそれで正解と思うわけだが、筆者はここにもう一つの展開、すなわち「プランC」を提案したい。
それは「旧型は旧型でも、そのセダンやワゴンではなくクーペを狙う」という作戦だ。
昨今隆盛のSUVにこの作戦は適用できないが、もしもあなたが憎からず思っている車がセダンあるいはステーションワゴンであるならば、この作戦は意外とハマる可能性が高い。すなわち「お安く買える旧型であるにも関わらず、中途半端な古さ(イケてない感じ)はほぼ感じない」という、絶妙なお買い物になる可能性が高いのである。
![▲ちなみに写真は約8年前の09年にデビューした、旧型EクラスをベースとするW212型クーペの前期型。同じW212前期型でもセダンと違い、言われなければ8年前のモデルとは思わないのでは?](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_2.jpg)
同じ旧型Cクラスでもセダンとクーペで印象は大違い
一例だがメルセデス・ベンツ Cクラスで考えてみよう。
14年途中に登場した現行CクラスおよびCクラスステーションワゴンは、ご存じのとおり旧型比で性能もビジュアルもググッと向上したことで、かなりのスマッシュヒットとなっている人気作。そんな現行Cクラスを脇目に「安いから」という理由で旧型のCクラスを買うのも、決して悪い選択ではない。現行型の出来があまりにも良いためやや見劣りするのは事実と思うが、旧型Cクラス単体で見るならば、あれはあれでかなりステキなセダン/ステーションワゴンである。
![▲07年6月から14年6月まで販売された旧型メルセデス・ベンツ Cクラス。写真は11年5月以降のいわゆる後期型](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_3.jpg)
が、世の中というのは「それ単体で成り立つ」ということは基本的にないため、旧型Cクラスのセダンまたはワゴンを今このタイミングで買うと、どうしたって「やっぱ現行と比べると少々ビミョーかも……」と思ってしまうのである。これは「周囲からそう思われる」というだけでなく、「自分自身もそう思う」ということだ。他人の意見などある意味放っておけばいいが、自分自身もそう思ってしまうとしたら、それはかなりの大問題である。
しかし旧型は旧型でも「クーペ」を選んだとしたら、果たしてどうだろうか?
![▲こちらは旧型Cクラスに11年10月に追加されたクーペ。写真上の旧型セダン後期とほぼ同世代にあたる車なわけだが、見た目全体から受ける印象はかなり違うと思うが、どうだろうか?](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_4.jpg)
![▲旧型Cクラスクーペのリアビュー。後席の頭上空間などはさすがにセダンと比べて狭いが、大人2人がそれなりの安楽さで乗車することはできる。特に小学生ぐらいまでの子供であればスペース的な問題はほとんどないはず](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_5.jpg)
……ビジュアルから感じるものというのは人それぞれだろうが、「なんだかよくわからない風格または色気、あるいは新しいモノ感」みたいなものが、ビビビと感じられないだろうか?
これは、ざっくり言ってしまえば目が慣れてないがゆえの「ダマシ効果」である。
希少性と色香で年式をうやむやにする「クーペマジック」
メルセデスのCクラスといえば世界的な一大人気商品の一つであるため、車に詳しい人もそうでない人も、そのビジュアルやオーラはばっちり把握している(またはなんとなく把握している)。しかしそのクーペは率直に言ってさほど人気があるわけでもないため、さほどの数は流通していない。つまり、人々の目が慣れていないわけだ。
そういった状況下で1台の旧型Cクラスクーペが街角に「ズズーン!」と登場すると、人はなんだかけむにまかれたような感じで「……よくわかんないけど、なんかステキだね」と反応するものなのだ。そして大切なのは、周囲の他人だけでなく自分自身も「うん、なんかイイじゃんこの車。安い型遅れの中古だけど!」と心底思えることだ。これが、その車種の主戦場がセダンまたはステーションワゴンである場合に有効となる、俗に「クーペマジック」と呼ばれる幻惑作戦である。
![▲「年式はよくわかんないけど、なんかステキな車だねえ!」と独りごとを言う、馬を連れたおじさん……という趣旨の広報画像かどうかは知りませんが、何かと目を引く車であることは確かでしょう!](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_6.jpg)
もちろん旧型メルセデス・ベンツ Cクラス クーペは、人をマジック(手品)によってけむにまくだけでなく、乗って素晴らしい上質な4シータークーペであることも間違いない。その乗り味は「安楽なのにタイト」という、ある種矛盾した状態を高次元でバランスさせており、エンジンパワーも、最廉価グレードであるC180ブルーエフィシェンシーであってもほぼ不満はないはず。
それでいて相場は、走行5万km以下の中古車がおおむね車両150万~198万円で狙えてしまうという、高年式メルセデスとしてはなかなかのお手頃水準。……これはもう、車両100万円台ぐらいの予算感で「何か面白くてステキな欧州車はないか?」と探している人は一度チェックしてみるしかないと思うのだが、どうだろうか?
旧型Cクラスクーペとほぼ同様のロジックで周囲をけむにまける(そして自身も心底満足できる)旧型メルセデス・ベンツ Eクラスがベースの現行Eクラスクーペ前期型(こちらはおおむね180万~198万円)と併せ、ぜひご注目いただけたなら幸いだ。
![▲Eクラスクーペは今現在、まだW212こと旧型Eクラスをベースとするモデルが現行型として販売されている。写真はその前期型だが、これまた言われなければほとんど古さを感じさせないビジュアルだ](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_62267/cecp_7.jpg)
【関連リンク】
▼検索条件
メルセデス・ベンツ Cクラスクーペ(初代)/Eクラスクーペ(現行型)×車両本体価格200万円以下×走行5万km以下×修復歴なし日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
手にするものはすべてがアート。自然を愛するアーティストは世界で1台だけのメルセデス・ベンツ Gクラスに乗る
小沢コージが自動車界の勇者・救世主を探すべく「激レア変態車」の取引現場、白金の魔窟を直撃!【カーセンサーニッチ】
メルセデス・ベンツの“異端児”CLAシューティングブレークに乗るとテリー伊藤に胸毛が生える!?
本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】
絶版クラシックモデルが今でも現役、オーバークオリティで時代を先導するセダンの最高峰 メルセデス・ベンツ Sクラス【Back to Sedan】
テリー伊藤がオフィス仕様のメルセデス・ベンツ Vクラスで桜前線を追いかける旅を夢見る
欧米のしゃれた車中泊スタイル「バンライフ」をカタチにする、DIYマスター
末はナイトライダーのK.I.T.T.かR2-D2か!? IoT化が進んだ先にある未来の車とは?
新車時価格の半額以下も余裕! 今が乗りどきの超高性能なAMGモデル