▲つい最近まで筆者が所有していた11年式ルノー メガーヌR.S.モナコGP。箱根にて ▲つい最近まで筆者が所有していた11年式ルノー メガーヌR.S.モナコGP。箱根にて

「上質なスポーティカー」だけが与えてくれる宝物

ここ最近ハマっている釣りに専念するため、自家用車をルノーのメガーヌR.S.モナコGPから、旧型ルノー カングーという「ド」が付くほどの実用車に買い替えた。ド実用車としての旧型カングー、釣りスペシャルとしてのカングーについてはウルトラ大満足している。しかし同時に、陸送屋さんによって自宅前で納車されたカングーのステアリングを握り、約300m離れた月極駐車場まで運転してみただけで激しい後悔に襲われたことも、また事実であった。

前述のとおり道具グルマとしての旧型カングーにはいささかの不満もない。そして知っている人はよく知っているとおり、旧型カングーというのはああ見えて(道具グルマとしては)超絶ハンドリングマシンでもあるので、そのあたりについても十分以上に満足している。

しかしやっぱり違うのだ。メガーヌR.S.モナコGPという、上質にしてパワフルな世界的スポーティカーとは何もかもが。

▲精悍なメガーヌR.S.が置かれていた駐車場にやってきた、おとぼけフェイスの(?)旧型カングー ▲精悍なメガーヌR.S.が置かれていた駐車場にやってきた、おとぼけフェイスの(?)旧型カングー

もちろんカングーも、メガーヌR.S.と比較されてはいい迷惑だろう。なにせ「種目」がまったく違うのだから。その点については本当に申し訳ないと思う。カングーに対して。

とはいえどうしても比べてしまうというか、記憶をたどってしまうのである。「ここの角をこうゆっくり曲がるとき、メガーヌR.S.はこう何ていうか、シュバッと行く感じだったんだけど……」と。「ここの段差を越えるとき、メガーヌR.S.はなんつーか金庫の中に入ってるかのような感覚があったんだけど……」と。思い出すのは峠道をぶっ飛ばしていたときのことではなく、ごく日常的な走行シーンばかりである。

このことからわかるのは、上質なスポーティカーというのはその性能をフルに近い形で発揮しているときだけでなく、ごく当たり前の日常的運転をしているその瞬間にも、ドライバーに対して大きな歓びを与えているということだ。「いい車」に乗ると、それを運転している時間そのものが宝物になるのである。「たいせつなものをなくうし~たぁよおおお」というのはクリープハイプというロックバンドの歌の一節だが、本当にそのとおりだ。大切なものを失くしたよ。気づいたのが遅かったけど。

▲当然飛ばしても楽しい車だが、普通に運転しているだけでもかなりの快感だったことを、今にして思う ▲当然飛ばしても楽しい車だが、普通に運転しているだけでもかなりの快感だったことを、今にして思う

……と、なにやら感傷的になっている筆者ではあるが、しかし旧型カングーという車はメガーヌR.S.とはまた別の種目において大変素晴らしい車であることは間違いない。また筆者が今後「釣り」という種目に打ち込むうえでは最高の選択をしたことも、たぶん間違いない。それゆえ後悔はしているが、ある意味ではまったく後悔していない。わたしは、カングーとともに釣り人として生きていく。さようなら、スポーティカー。

てなわけで筆者は道具グルマの世界を歩みはじめたわけだが、当然ながらあなたがそれに付き合う必要はまったくない。というか、車好きであればぜひとも「高性能かつ上質なスポーティカー」を普段使いするべきだろう。「高性能かつ上質なスポーティカー」というのもいろいろあるが、例えばまさにわたしが失ったばかりの現行ルノー メガーヌR.S.だ。それが今、なかなかお手頃なのである。

▲11年から販売されている現行ルノー メガーヌ ルノースポール(略称R.S.)。写真は前期型 ▲11年から販売されている現行ルノー メガーヌ ルノースポール(略称R.S.)。写真は前期型

13年式以降の物件はさすがにまだ少々お高いが、筆者が乗っていた11年式か、あるいは12年式であれば200万円台後半で十分探せるようになってきている。具体的には走行2.5万kmあたりの物件が280万円前後といったところだ。これは、メガーヌR.S.のあの性能を考えればかなり「安い!」といえる金額なのではないかと思っている。

しかし問題は、そういった「安い」物件はコンディション的にどうなのか? ということだろう。

中古車というのは仮に年式や走行距離の数字がまったく同じでも、使われ方によってコンディションはまるで異なるので、一概には言えない。が、一概には言えないのを承知で、しかしまさに「走行2.5万kmの11年式ルノー メガーヌR.S.」につい先日まで乗っていた者として言わせていただければ、「たぶん問題ないです」ということになる。

もちろん店頭で内外装やエンジン、足回りの状態などをチェックし、同時に記録簿のクオリティもチェックするべきではあるが、基本的にはマニアックな人がマニアックに維持するタイプの車ゆえ、サーキットでよほど手荒く扱われた個体でさえなければ、おおむね問題ないのではと思うのである。

▲非常にスポーティな造形のインテリアなのだが、素材等の関係が、どことなく上質感もただよう ▲非常にスポーティな造形のインテリアなのだが、素材等の関係が、どことなく上質感もただよう

現行メガーヌR.S.が気になっていた人は、状態良好な前期型が手頃になってきたこのタイミングを逃さず手に入れ、幸せな毎日を過ごしていただけたらと思う。勝手なお願いではあるが、できれば筆者の分まで。

ということで今回のわたくしからのオススメはずばり「現行ルノー メガーヌR.S.」だ。

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  • Car:ルノー メガーヌ R.S.
  • Conditions:修復歴なし&車両本体価格300万円以下
text/伊達軍曹